中華麺の特徴はそのままに、米粉をブレンドしてさらにおいしく

中華麺の特徴はそのままに、米粉をブレンドしてさらにおいしく

1907年(明治40年)に創業した高橋製粉株式会社(以下高橋製粉)は、千葉県松戸市に本社を構える老舗製粉メーカーです。海外からいち早く製粉機を輸入して機械化を進めるなど、創業時から製粉技術や品質向上に努めてきました。パンや麺を製造する業者向けに高品質の製品を提供するとともに、さまざまな麺の開発にも取り組んでいます。

米粉の活用法として、新たな中華麺を開発

創業116年を誇る高橋製粉では、長年培ってきた製粉・製麺技術を生かし、米粉の活用法として中華麺の開発を進めてきました。今回開発した「新細麺」は、小麦粉が主原料である中華麺に米粉をブレンドしたもので、中華麺の風味はそのままに、モチモチとした食感がほど良いコシを生み出し、食べごたえもアップしているそうです。

取締役社長の高橋一公さんは、5代目にして初めて米粉を使った麺の開発を手がけたそうです。しかし、その製品化への道のりは、必ずしも容易ではなかったと話します。 「米粉の新たな活用法を検討する中で、米粉麺をつくってみようと考えました。当初は米粉100%、グルテンフリーの麺の開発を進めていました。しかし、なかなか納得できるものができませんでした。さらに製造コストなどを考えると、この方向性では難しいと判断しました」

米粉の活用法として、新たな中華麺を開発

そこで米粉を主原料にすることから発想を転換し、脇役として活用する方向へシフトしました。
「どのような麺を開発するかと考えた中で、ラーメンの需要が高まっていることに着目し、米粉を使った中華麺の開発に着手しました。多くの人に親しまれているラーメンは、麺やスープの組み合わせが多様です。素材やスープにこだわり、オリジナリティあふれる一杯を提供したいという店側はもちろん、おいしいラーメンを求めて食べ歩きを楽しむファンも多くいます。そういった人たちに向けて、『新細麺』が新たな魅力を発信してくれると期待しています」

『新細麺』には米粉を1%ブレンドしているそうです。
「たった1%と思うかもしれませんが、私たちが目指したのは、ラーメン好きな人に受け入れてもらえる“新しい中華麺”です。ラーメン店で使ってもらうのですから、風味や食感が中華麺から離れすぎてはダメです。その着地点が米粉1%でした。米粉は今までとは違う食感や食べごたえを生み出してくれました」と話してくれました。

米粉の配分を変えて何度も試作を重ねた結果、モチモチふっくらとした食感になり、食べごたえもアップ。さらにゆであげた時の麺の色味が良く、見た目もおいしそうな「新細麺」が誕生しました。

米粉の活用法として、新たな中華麺を開発

おいしい麺を届けるために、新たな機械を導入

業務用の麺を製造している高橋製粉では、1食分の麺を5玉まとめて袋に入れ、20袋を箱詰めして出荷しています。しかし「新細麺」は、米粉ならではの食感や風味が魅力である一方で、一般的な中華麺よりもやわらかいという特徴があるため、従来の梱包設備では麺がくっついてしまうという問題がありました。

そこで今回、自動丸め機コンベア長尺式と押込式多食詰包装機を新たに導入しました。この機械は、1食分に丸めた麺を5玉にまとめて並べ、それをコンベア上で袋詰めしていくものです。従来の機械は1食分に丸められた麺を高さ1mから下へ落として袋詰めしていたため、どうしても麺が片側に寄ってしまったそうです。

おいしい麺を届けるために、新たな機械を導入
商品開発への取り組みで成長し、農業の楽しさを広げたい

「米粉をブレンドした『新細麺』は、通常の中華麺よりもしなやかでやわらかいため、袋詰めの工程で上から落とすと、その衝撃でせっかく丸めた麺がくっついてしまいます。新しい機械は麺を水平に移動させながら袋詰めできるので、麺の品質をキープしたまま、見た目にも良い状態で出荷できるようになりました」と高橋さんは話してくれました。

また、従来の機械では1時間あたり2000玉を包装していましたが、新しい押込式多食詰包装機では、2400玉を処理できるようになり、作業効率もアップしたそうです。

日本のラーメン文化を世界へ広めたい

今回開発した「新細麺」は、ラーメンチェーンを展開している株式会社花研を通して「東京豚骨拉麺ばんから」38店舗、および高橋製粉が運営している「東京豚骨拉麺しゃかりき」2店舗で使われています。「東京豚骨拉麺ばんから」は、タイやマレーシアなど海外にも9店舗を展開しており、2024年からはこれら海外店舗でも「新細麺」の使用が始まりました。

米粉を使った麺の開発を経て、これからの日本のお米の可能性をどのように考えているか、高橋さんに伺いました。
「ラーメンは今や世界で『RAMEN』と呼ばれて親しまれている日本を代表する食文化の一つと考えています。こうした点から、ラーメン市場は国内外でまだまだ成長すると期待しています。お店に来たお客様は、ラーメンの麺に米粉が使われていることを知らないかもしれません。しかし、実際に食べてみておいしいと感じてもらい、リピーターになってもらえれば、米粉製品のニーズや市場が広がっていくのではないでしょうか。ラーメンは麺やスープなど、さまざまな要素が融合してつくられる奥深い料理です。『新細麺』は主に醤油ベースのスープのラーメンに使用されていますが、今後は味噌や塩など、ほかの風味のスープにも合うように麺のバリエーションを増やしたい。また、中華麺以外にも米粉を使った麺を開発していきたいと考えています」と話してくれました。

商品開発への取り組みで成長し、農業の楽しさを広げたい