パリでスイーツの修行を積んだオーナーシェフ・小住匡彦さんがつくる、米粉の利点を最大に活かして美味しさと食感にこだわったグルテンフリーの焼菓子。軽やかな口当たりとほろほろと崩れる繊細な食感を米粉が生みだしています。米粉のやさしさと、サクサクの幸せを楽しめる、Masahiko Ozumi Parisならではの特別なサブレ。塩バニラ、レモンライム、抹茶、フレーズ、ショコラの5種類の味で販売中です。
700円(税込)/8本
・Masahiko Ozumi Paris 本店
大阪府大阪市中央区大手通2-4-8 assess 大手通ビル 1F
Tel.06-6355-4218
地元大阪はもちろん、日本中から、海外からもファンが訪れ、行列の絶えない人気パティスリー「Masahiko Ozumi Paris」(大阪府大阪市)。パリの有名パティスリーやショコラトリーで研鑽を積んだオーナーシェフ・小住匡彦さんの手による新商品が、米粉でつくったスイーツ「バトンサブレ」です。小住さんが自身の最高傑作と太鼓判を押す米粉スイーツ、その誕生秘話をお聞きしました。
「Masahiko Ozumi Paris史上、最高の焼菓子だと自信を持っています」と米粉でつくった新商品「バトンサブレ」について話す小住さん。
小住さんは大学で建築を学んだ後、渡仏。パリでル・ゴルドン・ブルー、ベルエ・コンセイユなど名だたるパティスリーやショコラトリーで修業を重ね、弱冠28才でParisの五つ星「palece hotel」でスーシェフを任せられ活躍するまでに。帰国後は「Kent house plus」の2代目シェフに就任。セカンドブランドとして「Masahiko Ozumi Paris」を立ち上げ、まるで本物のニットで編んだような「Zabuton モンブラン」を発表し、出店する催事では軒並み話題をさらいました。
満を持して2022年に独立し、大阪市中央区に「Masahiko Ozumi Paris」をオープン。唯一無二の美しい、そしてなにより最高においしいスイーツで瞬く間に人気のスイーツ店となり、2023年10月には阪急うめだ本店に2号店がオープン。連日ファンが殺到するお店となっています。
そんな人気店を立ち上げた小住さんは、パリでの修業時代からずっと「米粉のスイーツ」の実現を考えていたといいます。
「海外には健康志向からグルテンフリーの食事を好む方が多く、どのお店も彼らのニーズに応えるスイーツをつくっていました。私もパリで米粉を使ったスイーツに挑戦したことがあります。日本でお店を開いてからも『小麦アレルギーだけど、スイーツを楽しみたい』といった声をいただくことがあり、なんとか応えたいと試作を繰り返していました」
と話す小住さんですが、「Masahiko Ozumi Paris」の名前の元で販売できる米粉スイーツの実現は難しかったそうです。
「小麦粉でつくったスイーツと同様の見た目は完成し、グルテンフリーも達成できました。ですが味や食感はまだまだ店に出せるクオリティには届かなかった。タピオカやコーンスターチを使って食感を向上させたり、白砂糖やココナッツシュガーで甘みを工夫したりとこだわってみましたが、こだわるほどにコストが高くなり、売れない価格になってしまいました」
そんな小住さんに救いの手を差し伸べたのが、自身が顧問を務めている栃木県小山市の日の本穀粉株式会社(以下、日の本穀粉)でした。「Masahiko Ozumi Parisらしい米粉のスイーツをつくりたいが、うまくいかない」と相談したところ、スイーツに最適な米粉を紹介してくれたそうです。その米粉を手に取り、小住さんはそのきめ細やかさに驚いたと話します。
「まるで小麦粉でした。厳選された細かい粒子の米粉は、これまで出会ったことがないさらさらとした手触り。これはいける、と実感しました」
実際に小麦粉と同じレシピでスイーツがつくれ、課題だった米粉由来のざらっとした舌触りがなくなったそうです。また、焼くと固くなる小麦粉と違い、米粉ならではのサクサクした軽やかな口当たり、ほろほろと崩れる繊細な食感が独特で、スイーツとしてのクオリティも圧倒的に高まったといいます。その米粉を使い、看板スイーツである「Zabuton モンブラン」も米粉でつくることができました。
「さらに、米粉商品開発等支援対策事業のことを知り、米粉のスイーツを多くのお客様に届けたいと考え、本事業を利用して機械設備を導入しました」
2号店がオープンしたこともあり、本店のキッチンだけでは新商品を加えた多品目のスイーツの生産は厳しい状況だったそうですが、本事業を利用することで機械設備をそろえることができ、12月には本店近くにセントラルキッチンを開設することができたそうです。
「バトンサブレは発売以来たいへん人気で、毎日300個近く生産しています。サクサクの幸せと、ほろほろととけるように崩れるやさしい食感は米粉ならでは。冒頭でも話しましたが、私がこれまでつくった焼菓子の中で、最高傑作だと自負しています」
バトンサブレは塩バニラ、レモンライム、抹茶、フレーズ(いちご)、ショコラの5種類で展開。なかでも小住さんのお気に入りはレモンライムだそうです。
小麦粉でもフランス産の高品質なものを使うなど素材にこだわりのある小住さんですが、米粉を使うメリットは大きいと話します。
「昨今は小麦粉など海外産の材料は値上げが激しい。また世界情勢に影響され、手に入らないこともある。でも国産米粉はそういった影響を受けないのです。日の本穀粉の米粉は品質も高く、供給も安定しています。さらに価格も一定なので、むしろ従来の商品より生産コストは抑えられているかもしれません」
そういった理由などから、いつかはすべてのスイーツを米粉でつくりたいと小住さんは話します。
「今まで以上に広くMasahiko Ozumi Parisのスイーツを楽しんでもらえるのがなにより嬉しい。昨今、海外ではグルテンフリーのスイーツの人気は高まっています。日本は海外で流行したものが入って来て大きく流行する傾向がある。これから米粉のスイーツは日本でより注目を集め、流行するはずです。米粉には可能性しかない、と思っています」
まずはカフェ業態のオープン、さらに大きな夢は米粉スイーツを持ってパリにお店を出すこと。そして、いつかはパティスリーとしてミシュランの3つ星を獲得する快挙を達成することが目標という小住さん。それを叶える大きな支えに米粉がなってくれそうです、と笑って話してくれました。