もちもち・つるんの食感がクセになるグルテンフリーの米粉餃子

柿の種を主力とした小型米菓を軸に事業を展開している新潟県小千谷市の阿部幸製菓株式会社(以下阿部幸製菓)。最近では「柿の種のオイル漬け にんにくラー油」がテレビで何度も取り上げられて人気になっています。米や米粉を使った商品を多数展開する同社で、このたび米粉の皮を使った餃子の商品開発をしました。常務取締役の蒔田英之さんと食品事業部部長の阿部ゆりかさんにその特徴や開発の経緯を伺いました。

試作で小麦粉の皮にはないおいしさを発見

阿部幸製菓では、米菓等の製造販売と共に、米粉麺の専門店「たねや」や惣菜販売店「食泉」なども展開しています。
「もともと惣菜として普通の餃子を販売していました。そのときは、皮は仕入れた小麦粉製のものを使用していました。そんな中、弊社では米や米粉ビジネスを拡大させていこうという考えのもと、2019年ごろに米粉麺の開発などを始めました。それに合わせる形で餃子も米粉からつくったらどうだろうと試作してみました。その結果、とてもおいしい皮ができたのです。そこでこれを商品化しようと、開発を開始しました」とその経緯を蒔田さんが教えてくださいました。

試作で小麦粉の皮にはないおいしさを発見
試作で小麦粉の皮にはないおいしさを発見

できあがった米粉の餃子の特徴は「食感」にあると食品事業部部長の阿部ゆかりさんは語ります。
「米粉を使用すると、小麦粉に比べてかなりもちもち感が出て、つるんとした食感が生まれます。使用している米はすべて新潟産のうるち米です」
実際に試食させていただくと、口に入れたときのなめらかでつるんとした食感は小麦粉の皮にはないもの。焼き面はカリッと香ばしく、餡の旨みとともにいくつでも食べられそうなおいしさでした。

餃子の皮も中の餡もグルテンフリーにこだわったそうです。
「新潟ではまだあまりグルテンフリーに注目が集まりませんが、アレルゲンを気にされる方にも安心して食べていただきたいと考えました」と阿部さん。
蒔田さんも「将来的に業務用で販売するときや首都圏等で展開する時にグルテンフリーを謳っていければ、他の商品との差別化につながります。現状では米粉でつくるとどうしても若干値段が高くなります。なので、他の商品と差別化できるポイントはいくつかあった方が良いでしょうね」と語ります。

惣菜販売店「食泉」では冷凍餃子を8個500円(税込)で販売。店前の自動販売機でも冷凍餃子を購入できます。おコメの麺専門店「たねや」では、店内で3個180円(税込)でいただくことができます。

試作で小麦粉の皮にはないおいしさを発見
開発では皮の破れやすさがネックに

開発では皮の破れやすさがネックに

開発にあたっては、皮の破れやすさの克服が大変だったそうです。
「米粉だけの皮だと餡を包むときにどうしても破れやすいので、でんぷんなど何をどれだけ配合するか検討を重ねました」と阿部さん。
今回の米粉商品開発等支援対策事業により、できあがった餃子を急速冷凍する機器も導入しました。
「品質を安定させるために急速冷凍機を導入しました。つくった餃子を急速冷凍することで、商品としてのクオリティを保つことができるようになりました」と蒔田さん。実際に製造現場も見せていただきました。

米粉の餃子は惣菜販売店用のセントラルキッチンで製造しています。現状、生地づくりは開発したレシピをもとに手作業で行っているそうです。現場では皮が破れないように、型抜きした皮を10枚並べた時の高さが均一になるようにチェックするなど、米粉ならではの気遣いで作業をされているそうです。
できあがった餃子は急速冷凍機でマイナス35度の温度で30分ほどで一気に冷凍。「今後は生地づくりの機械化も検討します。まずは重要なところに投資して、販売が伸びた段階で徐々に設備を充実させていきたいです」と蒔田さんは語ります。

今後、米粉餃子の全国展開を目指して

「まずは社内の飲食・惣菜事業の中での販売量を増やしていきたいですね。さらにECを活用して、近隣だけでなく日本全国に展開して米粉の良さを伝えられればと考えています」と阿部さん。
「ECサイトに載せることは簡単ですが、売れるためには仕掛けが必要です。例えば、展示会などで紹介して注目を集めてから売るとか。現状は、自社店舗での販売で実績づくりをしている状況です。お店で食べていただいたお客様には『おいしい!』と言っていただいているので、今後、外販商品も買っていただけるようになれば良いですね」と蒔田さん。
「業務用の販売にも力を入れていきたいと考えています。関連企業の素井興食品工業でも本事業で米粉麺の開発を行っています。米粉麺はうどんやラーメン、フォーやパスタとして使えて注目されているので、それと連動して米粉餃子も業務用として展開していきたい」と今後の抱負を語ってくださいました。

今後、米粉餃子の全国展開を目指して