虎ノ門の新店舗を米粉商品の開発基地に、タルト専門店が発信する米粉の楽しさ

虎ノ門の新店舗を米粉商品の開発基地に、タルト専門店が発信する米粉の楽しさ

株式会社ウッズ(以下ウッズ)が運営するタルト専門店AM STRAM GRAM(アム ストラム グラム)では、季節のフルーツタルトに米粉生地の商品をラインナップ。米粉でつくったアーモンドボールも人気商品です。新しいタルトを追求し続ける同社代表取締役の五條敦広さんに米粉の魅力と可能性をお聞きしました。

開発・製造・販売一貫で米粉の可能性を追求

恵比寿に本店のあるフルーツタルトの専門店AM STRAM GRAM(アム ストラム グラム)の2号店が、2023年11月、虎ノ門ステーションタワー地下2階にオープンしました。本店の開業から3年後という短期間にオープンした2号店について、五條さんは「米粉タルト商品開発の最前線基地として考えている」と言います。

「タルト専門店として小麦粉に限らず、大麦や雑穀も含めていろいろな材料でタルト生地をつくりたいと思っていました。その一環で米粉の生産者を紹介していただき、米粉のタルト生地を使った商品を恵比寿でつくり始めました」と五條さん。米粉生地のフルーツタルトは、新しいカテゴリとしてお客様に大変喜ばれたことから、虎ノ門に新店を出すにあたり、米粉にスポットを当てて展開していく構想を練りました。

開発・製造・販売一貫で米粉の可能性を追求

虎ノ門ヒルズには外資系企業も多く客層に多様性があり、健康志向やグルテンフリー対応のニーズが高く、また地下鉄駅直結の商業施設のゲートウェイに出店場所が確保でき、幅広くお客様を期待できることから、外から見えるところに製菓の厨房機器を設置。本店と同様に店舗でその日にタルト生地を焼き商品を提供しています。
「本来、恵比寿と虎ノ門の距離であれば、本店でタルトを製造して販売に特化するのが一般的な店舗経営だと思いますが、ここ虎ノ門で米粉商品を増やしていくには、開発、製造、販売まで一貫することが必要です。厨房機器・機材はお客様の購買意欲を高める役割も果たします」と五條さん。スタッフが対面でお客様の相談にのりながら商品を選ぶ接客スタイルも本店を踏襲。虎ノ門店を米粉商品の提案やマーケティングの拠点として位置づけています。

米粉の新作タルトと定番菓子、多様な食感に驚き

米粉の新作タルトと定番菓子、多様な食感に驚き

五條さんが米粉の調達先に選んだのは、新潟市で自然栽培米を生産する宮尾農園。庄内地方の知人から「新潟にすごくいい米粉がある」と紹介を受けた縁で、農薬・肥料を使わずに栽培したうるち米を細かく挽いた米粉を扱い始め、その食感の多様性に驚いたと言います。

「食感が小麦粉とまったく異なり、米粉はすごく面白い。小麦粉のタルト生地はサクサクの食感ですが、米粉はレシピによってお煎餅を想像させるようなパリパリ、カリカリになるんですよ」と五條さん。もうひとつ新たな試みとして、フランス菓子のアーモンドボール(ブールドネージュ)はその多くが小麦粉を使用していますが、五條さんはそれを米粉に代えて虎ノ門ステーションタワー店(以下虎ノ門店)の定番商品としました。

「アーモンドボールは食感がすごく面白くて、口の中で粉雪のように消えるというお客様もいらっしゃいます」(五條さん)。人気商品となった米粉のアーモンドボールは、日持ちがするというメリットもあり、シリーズとしてメニューを広げることを検討。すでに、和のフレーバーとして米粉とリンクする、ほうじ茶や酒粕を使ったレシピ開発に着手しています。

11月の虎ノ門店の開業に合わせて米粉生地の商品として洋梨のタルトを用意。その2カ月後には、宮尾農園の自然栽培お米粉使用イチゴ大福タルト、同じくみたらし芋と胡麻のタルトを開発。大福タルトもまたその時々の季節の果物を使ってシリーズ化していく構想です。

米粉の新作タルトと定番菓子、多様な食感に驚き
米粉との出会いは、新しい発見と可能性に満ちている

米粉との出会いは、新しい発見と可能性に満ちている

米粉生地のタルトの新作を着々と発表する五條さんですが、小麦粉に慣れているぶん米粉の扱いには多少の難しさがあったと言います。生地の練り方、焼く温度には試行錯誤がありました。その一方で、新たな発見もありました。
「カスタードクリームを炊くときに米粉がとても相性が良いことは新しい発見です。小麦粉とまったく遜色がないばかりか、軽いけれどコクもあり、すごくおいしいカスタードクリームができます」と五條さん。宮尾農園の米粉から興味が広がり、同農園からさらに希少な黒米の米粉の生産者も紹介してもらいました。そういった素材を取り入れながら、一般的に流通している米粉にもチャレンジしていきたいと意欲的です。

「米粉はグルテンフリー商品としても可能性があります」と五條さん。虎ノ門店がオープンして2カ月、米粉商品の売れ行きは上々。恵比寿の本店以上にお客様の反応が良いと言います。「小麦粉よりも胃にやさしく残らない」と、2度、3度、買い求めるパターンが徐々に増えてきました。12月には米粉生地タルトの特注も入り、そのニーズを実感することもできました。

いろいろな米粉にトライして、新たなタルトのラインナップを増やしていく。そのために、虎ノ門店は、五條さんの見立てどおり、米粉商品開発の最前線として機能しています。