用途に合わせた製粉方法で、さらにおいしく使いやすく

地元九州産の米を使い、地域に根ざした企業として、製品開発に取り組んでいる熊本製粉株式会社(以下、熊本製粉)。このたび、一般家庭向けに少量タイプの「ふんわり米粉」を開発、同時に業務用にはグルテンフリーでボリュームあるパンができる「Nグルテンフリー米粉パンミックス」を新発売。製粉会社として長年培ってきたノウハウを駆使し、利用者のニーズを捉えた米粉製品を開発しています。

使いやすさと少量パックで“米粉ビギナー”を応援

使いやすさと少量パックで“米粉ビギナー”を応援

「ふんわり米粉」は、家庭向けの製品として2023年9月に発売しました。企画マーケティング部の林いずみさんは、「お客様から『米粉に興味があるけれども、使い方がわからない』『粉製品を購入しても、量が多すぎて使いきれない』といった声をいただいておりました。そこで米粉をもっと気軽に使っていただくためには、どうしたらいいかを考え、誕生したのが『ふんわり米粉』です」と話します。

開発にあたり、第一に追求したのは品質面でのおいしさと使いやすさです。米は硬いため、米粉も粒度が粗くなりがちで、膨らみにくいという一面があります。そこで熊本製粉では、独自に開発した「ふんわり微粉末製法」で米を粉砕、細かく均一の粒子に加工しています。お菓子づくりでボリュームに必要な気泡をつぶし過ぎることなく、ふんわりと仕上げることができるようになりました。
この製品のもう一つの特長は、120gという少量パックにしたことです。米粉でお菓子をつくってみたものの、粉が余ってしまい放置されてしまう…ということが、米粉を使うハードルを高くしている理由の1つになっていると考え、使い切りできるサイズにしたそうです。
「米粉をちょっと使ってみたいな」という“米粉ビギナー”に向けたこの製品は、ほどよいサイズ感に加えて、パッケージのデザインにもひと工夫しました。粉製品のパッケージといえば、調理例の写真を使うものが多いのですが、「ふんわり米粉」は写真を使わず、明るいブルーを主体にしたシンプルなデザインになっています。

使いやすさと少量パックで“米粉ビギナー”を応援
使いやすい少量パックで“米粉ビギナー”を応援

「まずはお客様の目に留まり、手に取ってもらうこと。そのため見た目にもこだわりました」と林さんは話します。
また、少量にしたことで価格面でも手に取りやすくなるというメリットもあったそうです。購入者からは「使いやすかった」「ふわふわ、しっとりとしていておいしかった」といったコメントが寄せられています。

林さんは、「今回発売した『ふんわり米粉』のパッケージには、簡単なレシピを載せています。さらに動画を配信して、つくり方をわかりやすく紹介しています。おかげさまで発売以来、動画は840万回以上再生されており、皆さんの関心の高さを実感しています」と、手ごたえを感じています。

おいしい米粉パンがつくれる業務用ミックス粉を開発

熊本製粉では、家庭向けの製品とともに、業務用のミックス粉の開発も進めてきました。2024年1月に発売した「Nグルテンフリー 米粉パンミックス」は、工場やベーカリーでの使用に対応できるよう、既存のミックス粉に改良を加えた新製品です。
SCM本部長の浦郷弘昭さんは、この製品について「製造現場でも、グルテンフリーで食物アレルギーに対応した米粉のニーズが高まっていると感じています。今回リニューアルしたミックス粉には、当社独自の粉砕技術が生かされています」と話します。

おいしい米粉パンが作れる業務用ミックス粉を開発
おいしい米粉パンが作れる業務用ミックス粉を開発

浦郷さんは、業務用ミックス粉には家庭向け製品とは違う工夫が必要だったと話します。「業務用で常に一定のクオリティで製品をつくるためには、家庭用と同じ配合では作業性が悪いなど、難しい点がいくつもあります。そこで米粉の製造ラインをさまざまなパラメーターで設定し、作業性が良く、しっとりもちもちとした米粉らしい食感とボリュームが出る配合を目指しました」

こちらの製品にも「ふんわり米粉」と同様、パッケージに稲穂やお米の粒をあしらい、米粉製品とわかりやすい、親しみのあるデザインにしています。

米粉には米粉の役割がある。食の多様性を見据えた製品づくりを

地域産の穀物のおいしさを追求し、米粉製品の開発に取り組んできた熊本製粉。これからの米や米粉の可能性と展望について、次のように話します。

「私たちの会社がある熊本県は、米どころとして知られています。栽培に適した気候や良質な水が、おいしいお米をつくっています。そんな地元の利点を生かして製品をつくることは、地域活性化の一助になりますし、ひいては米の消費拡大にもつながると考えています。今後もさまざまな製品を開発し、米粉のおいしさを多くの人に伝えていくこと、それが私たちのミッションだと考えています」(林さん)

「グルテンフリーの米粉製品は、食物アレルギーや食事制限のある人だけでなく、もっと多くの人に楽しんでもらいたいですね。米粉が単に小麦粉の代用品として広まっていくのではなく、独特の食感や風味など、米粉ならではの特性を生かした製品を開発し、皆さんに提供していきたいと考えています。さまざまなタイプの米粉製品が普及することで、“食の多様性”も広がっていきます。私たちは製粉会社として、米粉の魅力や可能性を見極め、『米粉にしかできないこと』を製品という形で皆さんにお届けしたいですね」(浦郷さん)

熊本製粉が掲げる「暮らしにすてきをとどけたい」という理念のもと、多様化するニーズを捉えた上質な製品づくりを進めていきます。

米粉には米粉の役割がある。食の多様性を見据えた製品づくりを