独自に開発した玄米ペーストで、ニーズに対応した商品を製造

すべての人にどこまでも安全で、どこまでも美味しい食事を

栄養価が高く食物繊維が豊富な玄米を、独自に開発した技術でペースト状に加工し、グルテンフリーのパンや麺類を製造している株式会社熊本玄米研究所(以下、熊本玄米研究所)。玄米ペーストを使ったパンは、九州地方の生協で販売するほか、ホテルや航空会社などでも採用されています。今回は玄米ペーストの特徴と、新たに開発したグルテンフリーのパンや麺類について、お話を伺いました。

栄養豊富な玄米をペースト状に加工

2013年に創業した熊本玄米研究所では、独自に開発した玄米ペーストを使い、グルテンフリーのパンやパスタ、ラーメンを製造しています。
「玄米はミネラルや食物繊維が豊富です。しかしそのままでは摂取しにくいという課題がありました。そこで玄米をペースト状に加工すれば、使いやすくて摂取もしやすくなるのではと考えました」と話すのは、取締役営業部長の浦博之さんです。

農業機械メーカーのグループ会社である熊本玄米研究所では、熊本県の産業振興の一環として米の消費拡大に取り組んできました。そして玄米を使ったパンや麺の開発を手がけるようになったそうです。

すべての人にどこまでも安全で、どこまでも美味しい食事を

菊陽町にある工場で製造している玄米ペーストは、水に浸した玄米を高速ミキサーで粉砕し、ペースト状にしたものです。玄米が持つ豊かな風味や栄養価を、丸ごと活かせるのが特徴です。
「ペースト状に加工した玄米は、空気にふれることがほとんどないため、酸化が進まず独特のぬか臭さが発生しません。茶色い玄米を加工しますが、でき上がるペーストは真っ白ですよ」(浦さん)
玄米ペーストは、真空パックにして冷凍すれば長期保存も可能です。

おいしく手軽に玄米の栄養を摂取できるのも、玄米ペーストの魅力です。また冷凍保存した玄米パンは、2時間ほどかけて自然解凍して味わうのがお勧めだそうです。
常務取締役営業企画部長の西山今日子さんは「玄米パンはボソボソ・パサパサしていて、おいしくないというイメージを持っている人もいるようですが、ここで製造している玄米ペーストを使ったパンは、しっとりとした食感をキープできるのが特徴です」と話します。

玄米ペーストは、アレルゲンに指定されている28品目を一切使わない専用ラインで製造されています。菊陽町の工場では2021年にGFCOのグルテンフリー認証を取得し、厳しい管理体制のもと、安心安全な製品づくりに取り組んでいます。

多品種製造で多様化するニーズに柔軟に対応

多品種製造で多様化するニーズに柔軟に対応

熊本玄米研究所では、玄米ペーストを使ってさまざまなサイズや風味の製品を製造しています。 西山さんは「キューブタイプの玄米パンは、大手冷凍食品メーカー向けには6cmサイズのサイコロ型にして1袋6個入りに、在宅介護者向けには上部を山形にして個包装にしたものを提案しています。ほかにも、使用可能な原材料や添加物に独自の高い基準を設けている企業や、長期保存ができる製品を要望する企業もあるので、そういったことに対応できるよう心がけています」と話します。

食の多様化に伴いグルテンフリー食品のニーズも高まっています。さらに健康志向やフードロスの問題なども、製品開発では大切な要素になっているそうです。こうした状況を受けて、今回、グルテンフリーの玄米パンや玄米パスタ・ラーメンを、従来品よりも長く保存できるタイプに改良、「玄米パスタGF」は3カ月だった賞味期限を10カ月に、「玄米ラーメンGF」は8カ月にのばすことができるようになりました。

浦さんは「いろいろな企業と取引をしていると、グルテンフリーの食品を求めているお客様の声も多く届きます。小麦アレルギーを持つお子さんが、グルテンフリーの玄米ラーメンを初めて食べておいしいと喜んでくれたなどという話を聞くと、こちらもうれしくなります」とも話してくれました。

多品種製造で多様化するニーズに柔軟に対応
新商品と新店舗で日本の米のおいしさを伝えたい

新商品と新店舗で日本の米のおいしさを伝えたい

自社のECサイトとともに、実店舗「コメノパンヤ 玄氣堂」を運営している熊本玄米研究所。2024年1月に大津町にあった店舗を本社工場のある菊陽町へ移し、リニューアルオープンしました。

西山さんは「新しい店舗は広々とした造りで、ゆったり買い物ができるようになりました。店舗の一角にはイートインスペースも設け、できたての玄米パンとドリンクを楽しめるようにしたいと考えています」と話します。

さらに日本を訪れる外国人や海外に向けて商品を展開することにも積極的に取り組んでいます。グルテンフリーの玄米パンは、ホテルや航空会社の機内食で採用されています。また2024年後半には、菊陽町に建設している台湾の半導体メーカーの工場が稼働を開始する予定です。新店舗にも近いので、工場で働く人たちにも、日本の玄米でつくるおいしいパンを味わってもらいたいと考えているそうです。

2024年2月には、アメリカ・ニューヨークにある日系食料品店で、グルテンフリーの玄米ラーメンを試験的に販売するとのこと。食品アレルギーや美容健康の目的でグルテンフリーを実践している人が多いアメリカでも受け入れてもらえることを期待しているそうです。

熊本玄米研究所は、玄米ペーストを使った製品で、さらなる飛躍と米粉の消費拡大を目指します。

新商品と新店舗で日本の米のおいしさを伝えたい