食物アレルギーを持つ人や塩分の摂取を控えなくてはいけない人たちも、みんなと一緒にラーメンを味わってほしい。そんな思いから誕生した、麺もスープもグルテンフリーのラーメンです。千葉県産コシヒカリでつくった麺は、小麦粉の麺と言われてもわからないほど中華麺そっくり。冷やしてつけ麺で味わったり、フライパンで炒めて焼きそば風にしたりなど、さまざまなアレンジも楽しめます。スープはしょうゆ、みそ、豚骨の3種類あり、いずれも塩分2g以下に調整されているので、最後までおいしく味わえる満足度の高い一品です。
840円(税込・希望小売価格)/2食入り
・自社ECサイト
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・JA八千代市の農産物直売所など
「米」という文字を分解して社名にした株式会社八十八研究所(以下、八十八研究所)。今回、米粉のみでつくった麺を使った「米粉ラーメン あかり」を開発しました。麺もスープもグルテンフリーで、塩分もひかえめに仕上げてあります。実際に食べた人たちからは、ツルツルとなめらかな口あたりとしっかりとした食べごたえ、豊かな風味を楽しめると高い評価を得ています。
八十八研究所・代表取締役社長の駿河かおりさんは、10年ほど前、体調がすぐれないと感じていたところ、小麦粉に対してアレルギーがあることがわかったそうです。
「パンやラーメンが好きでよく食べていたので、最初は“まさか私が?”という気持ちでした。それ以来、お米中心の食生活に変えたところ、体調が回復しすごく楽になったんです」と話します。 こうした体験をもとに、駿河さんは主催していた料理教室で米粉を使ったレシピを紹介するなど、米粉の利用拡大に取り組んできました。
成人してから小麦アレルギーを発症した駿河さん。ご主人は内臓疾患による塩分摂取制限があったことから、家族でラーメンを食べるという機会がほとんどなかったそうです。
「私も主人も、時々『おいしいラーメンが食べたいね』と話すことがありました。そこで米粉を使った麺をいろいろ取り寄せて食べてみたところ、どれもラーメンとしては納得がいかなかったのです。“それなら自分でつくってみよう!”と思い立ったことが、米粉ラーメン開発のきっかけです」
今回開発した「米粉ラーメン あかり」は、自宅のある千葉県八千代市産の米からつくった米粉を使っています。アレルゲン物質を排した製造ラインで米の粉砕や製麺などの加工を行っています。
また、パッケージには、いろいろな世代の人たちが笑顔でラーメンを食べている様子がやさしいタッチで描かれています。
「商品名の『あかり』には、家族みんなでおいしいものを食べて笑顔になってほしい、そんな思いや希望をこめました」と駿河さんは話してくれました。
こうして誕生した「米粉ラーメン あかり」。駿河さんは、モニターを兼ねて料理教室の生徒や食物アレルギーを持つ人たちを中心にラーメンを試食してもらったそうです。
「その結果、96%の皆さんが『おいしい』『本物のラーメンみたい』と評価してくださいました。食物アレルギーのない人や比較的濃いめの味付けが好きな若い人たちにも評価してもらったことで、目指していたラーメンをつくることができたと実感しました」
「米粉ラーメン あかり」は、麺を5分ほど茹でたあとに軽く水で締め、お湯で溶いたスープと合わせて味わうのがポイントとのこと。このひと手間で、米粉麺のもちもちツルツルとした食感がアップするそうです。また、時間が経っても麺がくっつかないので、冷やしてつけ麺に、あるいはフライパンで炒めて焼きそばやスパゲティ風になど、アレンジレシピも楽しめます。
「ラーメン以外に食べ方のバリエーションが広がったのは、うれしい誤算でした。今後は米粉の中華麺を使ったレシピを増やしていきたいですね」
2023年1月に起業したばかりの駿河さんにとって、製品化への道のりは決して楽なものではありませんでした。例えば、米粉には地元八千代市のお米を使いたいと考え、米農家を訪ねたところ、最初は難色を示されたそうです。
「米農家の皆さんは、食用米を粉砕することに抵抗があったようです。でも、高い技術を持つ専門会社が加工した米粉を召し上がってもらったところ、米粉のイメージが変わったようで、利用を了承してくださいました。また、製粉会社の皆さんには、米粉の加工に関してほとんど知識がなかった私に勉強の機会を与えてもらいました。多くの方々のご理解とご協力があったからこそ、『米粉ラーメン あかり』を開発することができました」
おいしいお米をつくる農家、米の特性や風味を損ねることなく加工する製粉業者、食物アレルギーを持っていてもおいしいものを食べたい・食べさせたいと願う消費者、そして「やるなら一番ハードルの高いことに挑戦したい」というポジティブ思考と「おいしいラーメンを家族みんなで味わってほしい」と願う駿河さん情熱が「米粉ラーメン あかり」には詰まっています。
最後に今後の展望について駿河さんに伺いました。
「米粉ラーメンは、八千代市内のJAで2024年2月から販売を開始します。それに合わせて開催するイベントで、米粉の魅力を皆さんにアピールしたいと考えています。また米農家の皆さんには、米粉が持つ可能性をおいしさとともに知っていただけるような活動をしていきたいですね」