りょう農園は、兵庫県丹波市にて自然栽培でコシヒカリをていねいに育てています。その良質なお米をもとに、「環境保全×生物多様性×動物福祉×食べる人の健康を支える」活動を進める京都府京都市のきたやま南山がつくったのが「りょう農園さんの米粉」と「カップケーキミックス粉」です。人にやさしく、自然にやさしい、体に馴染む米粉。きたやま南山では、米粉の販売だけでなく、この米粉を使った多彩なスイーツも提供しています。
りょう農園さんの米粉 1,000円(税込)/500g
カップケーキミックス粉 500円(税込)/200g
・NANZANヒトヨシストア
京都府京都市左京区下鴨北野々神町31
Tel.075-722-4131
京都府京都市の株式会社きたやま南山(以下、きたやま南山)は、50年以上にわたり地元に愛されてきた老舗の焼肉店。現在は、お店と同じ敷地で食育型保育所「さとのやま保育園」を運営したり、「子どもの居場所×お料理コミュニティ」として「nalba(なるば)」を開催したりと、食を中心にさまざまな活動を行っています。
それらの活動を進めているのが、取締役会長である楠本貞愛さん。米粉に大きな可能性を感じているという楠本さんに、活動内容や今後の展望についてお聞きしました。
2024年1月27日、土曜日の午後、多くの人が集まりにぎわいを見せている「焼肉南山」。1階にあるレストランはもちろん、その店舗前や2階にも人が多く出入りしています。張り出されているポスターに書かれている文字は「米粉フェス」。楠本さんが開催する「nalba」などが協力しているイベントです。
会場をのぞくと、小さな子どもから高齢者の方まで幅広い年代の方が詰めかけています。手にしているのは、どれも米粉を使った料理ばかり。米粉パンやカレー、お好み焼き、タコス。食事だけでなく、ちんすこうやバスクチーズケーキ、フィナンシェなどのスイーツもたくさん。誰もが笑顔で米粉フーズを楽しみ、主催する人たちとの会話に花を咲かせています。
イベントでは米粉も販売されており、参加した人が手に取っては「米粉パン、つくってみたかったの」と、楠本さんや生産者である高野さんと会話をしています。
この「米粉フェス」は米粉の認知を広めることはもちろん、米粉を摂ることでより健康な暮らしを手に入れようと、米粉の魅力を発信するイベント。きたやま南山では「米粉フェス」のような活動を幅広く行っており、それを「米粉プロジェクト」と呼んでいます。その米粉プロジェクトが開催するイベントや事前の広報、そして楠本さんが進めるきたやま南山の活動に、米粉商品開発等支援対策事業が一役買っているのです。
「きたやま南山では『環境保全×生物多様性×動物福祉×食べる人の健康を支える』ということをテーマに、焼肉で提供する牛肉は尊敬する農家さんから産直で一頭買いし、お米や野菜はもちろん、調味料やワインなどの酒類も、つくり手さんを探して出逢い、会話しながら、分けていただくようにしています」と楠本さん。その中で楠本さんが感じていたのが、米農家さんの苦悩だったと言います。
良質なお米をていねいに生産しても売上が上がらず、辛抱たまらなくて米粉にして売っているという農家さんの姿を見て、「良いお米でつくられた米粉をもっといろいろな方法で使えないだろうか」と考えたそうです。
「米粉ならグルテンフリーで健康にも良い。なにより、米粉をたくさんの人に使ってもらえれば、米農家さんに貢献できる。そう考えて、まずは保育園やnalbaで米粉パンをつくろうとチャレンジしました」
米粉のパンは、子どもたちにもとても好評。米粉は大きな可能性を秘めている、と楠本さんは確信しました。
「その後もチヂミを米粉でつくってお店で提供したりと工夫していました。その後、もっと米粉を普段の生活に活かせないか、と料理研究会などが始まり、米粉プロジェクトが加速していったのです」
その中で、りょう農園さんの存在も知りました。きたやま南山からアプローチをして訪問し、それぞれの想いを語り合い、共鳴する部分があることがわかりました。こうして二者が手を取って、健康であり安心・安全でもある米粉の販売が始まったのだそうです。
「りょう農園さんはパートナーのひとつ。安心・安全で、私たちのようなおとなはもちろん、未来を担う子どもたちの健康も考えて農業をしている方と、しっかり手を組みたい。第二第三のりょう農園さんのようなつくり手さんと出逢って、多彩な米粉の商品をつくりたい。そうして世の中にもっと安心・安全で健康に良い食を広めたいですね」
「ただ米粉をつくっているだけでは物足りないと感じています。米粉をどう使うか、どんな料理ができるのかまで、広く伝えていかないといけない。それでnalbaでは米粉を使ったさまざまな料理のレシピを研究しています。その成果の発表が、今回の米粉フェスだったのです」
本事業では、レトルトパックやフリーズドライの加工ための機械、スチームコンベクションオーブンを購入したそうです。それらを使って料理のバリエーションを増やすことができました。今後はさらに多くの種類の米粉の料理にチャレンジし、商品化ができないかも探っていくとのこと。
「この事業を知ることで、米粉プロジェクトは大きく前進しました。これまでの活動を、より広く世の中に発表できる推進力を得ることができたのです」と楠本さんは話します。
また、機器を購入することで、米粉を使ったスイーツのバリエーションも増えたと言います。試作品をいくつもつくり、完成したスイーツは、お店のデザートとしても提供しています。また、地下のギューテロワールに併設された「肉とワインの食堂 nanzan la cave」で提供されているほか、売店「NANZANヒトヨシストア」でも米粉マークを付けてアピールし、販売しています。
「きたやま南山が力を入れてアピールすることで、米粉がもっと身近な食品になれば良いなと思います。そうして消費が増えれば、それに合わせて活用方法も増えていくはず。そして、価格も下がって、より使われるようになる。それが農家さんのためにもなっていく」と楠本さん。その先には、子どもたちが自国の食べ物をしっかりと食べ、元気に育ち、自国のことを考えるようになってほしいという、大きな夢も描かれています。
きたやま南山と楠本さんが推進する米粉プロジェクトは、今後もさまざまなイベントに積極的に参加して、米粉の魅力を伝えていくとのこと。イベントに足を運び、未来への思いがこもった米粉の料理の数々を楽しんでみてはいかがでしょうか。