分厚くカットした「こめ粉クッキー」は、サクサクとした食感が楽しく1個でも食べごたえ満点。むらさき芋や耶馬溪産緑茶など12種類の味をラインナップしています。「米粉のわんぱくクッキー」は、愛犬家の声から生まれた犬用のおやつです。米粉を使ったパンは、素朴な味わいのカンパーニュやベーグルなど種類豊富です。いずれも有限会社野村が指定管理者を務める「道の駅やまくに」の売店で販売しています。「米粉うどん」と「米粉からあげ」も、「道の駅やまくに」のレストランで味わえます。
こめ粉クッキー 320円/4個入り
米粉のわんぱくクッキー 320円/9個入り
米粉パン各種 カンパーニュ 800円/1個、ベーグル 280円/1個 ほか
米粉うどん 780円~
米粉からあげ 550円
※すべて税込
・道の駅やまくに
大分県中津市山国町中摩3485-4
Tel.0979-62-3680
豊かな自然と清流に恵まれた中津市は、県内屈指の米どころとして知られています。地元で生産する米を加工して米粉製品を製造・販売する有限会社野村(以下、野村)では、米粉の焼き菓子やパンを製造し、近隣の「道の駅やまくに」で販売しています。2024年1月からは、道の駅のレストランで米粉を使ったメニューの提供も始まりました。
商品開発を担当するのは、企画室の野村博美さんです。ご本人に食物アレルギーはありませんが、花粉症には悩まされていたそうです。
「もともとお菓子づくりが好きで、グルテンフリーの食品にも興味があったので、勉強を兼ねて米粉を使ったお菓子をつくり始めました。すると2週間ほどで体調が良くなってきたんです。そこで米粉を使ったお菓子やパンをつくり、皆さんに米粉の魅力を知ってもらいたいと思うようになりました」
米粉製品の開発には「地元の米や特産品をもっと活用したい」という父・徹さんの思いも大きかったようです。2022年に販売を開始した「こめ粉クッキー」は、耶馬溪産の緑茶やほうじ茶など、地元の素材を使いながら新たなフレーバーを次々と開発し、今では全12種類になっています。
また、2023年12月から販売している犬用のおやつ「米粉のわんぱくクッキー」は、「愛犬と同じものを食べたい」というお客様の声を受けて開発しました。大分県産の原木しいたけのパウダーを加えるなど、ワンちゃんも安心して食べられるように工夫しています。
博美さんのこだわりは、焼き菓子やパン、麺類など、製品によって複数品種の米粉をブレンドして使うことです。「米粉は品種によって風味が微妙に異なります。ここではウチの田んぼでつくっている食用米に、『ミズホチカラ』や『越のかおり』『笑みたわわ』など米粉に適した品種をブレンドして使っています。粒子が異なる米粉を数種類使うのは大変ですが、お客様には焼き菓子、パン、麺類とそれぞれに一番おいしい状態で食べてもらいたいと考えています」と話します。
野村では、2024年1月から道の駅に併設するレストランで「米粉うどん」と「米粉からあげ」の販売を開始しました。「米粉うどん」の開発にあたり、博美さんは各地から米粉麺を取り寄せて食べ比べ、つなぎに使う素材や麺の太さなどを調整し、半生タイプの麺をつくり上げました。レストランでは小麦粉の麺を使ったうどんメニューにプラス100円(定食に付いているミニうどんはプラス50円)で米粉の麺に変えることができます。「米粉からあげ」は、ご当地グルメとして全国的に人気を集めている「中津からあげ」の衣に米粉を使用したものです。
野村の代表取締役を務める兄の彰さんは「『米粉うどん』は、ほど良い食感に茹で上げるのに少しコツが必要ですが、小麦粉のうどんとはまた違うモチモチとした食感を楽しめます。『米粉からあげ』は、醤油やニンニクベースのタレにつけ込んだ鶏肉に、米粉の衣を付けて揚げてあります。米粉は小麦粉と比べて油の吸収率が低いので、冷めても油っぽくなりにくいのが特徴です。テイクアウトしてもおいしく食べられますよ」と話してくれました。
地元の人はもちろん、他県から訪れて道の駅を利用した人たちにも味わってもらい、米粉のおいしさを知ってもらいたいと期待を高めています。
野村で製造している米粉製品は、「道の駅やまくに」の売店やレストランでの販売が中心ですが、毎月道の駅で開催する「やまくにマルシェ」などのイベントでも積極的に発信しています。
博美さんは「クッキーやパンは手づくりしているため、常に全種類用意できません。米粉パンは週1回のペースで販売しています。道の駅やマルシェで商品を購入したお客様からは『おいしかったのでまた買いに来たのに、同じものがなかった』と言われることもありますが、新しい商品を知ってもらう良い機会と捉えています」と話します。
彰さんは、事業の傍ら父・徹さんとともに米づくりをしています。「このあたりは田舎ですから、新しく事業を興すには難しい部分があります。しかし、地域の産業として農業に関連したもので何かできればと考え取り組んでいます。ウチの田んぼでつくっている米は食用米ですが、将来的には米粉用の品種にも挑戦して、自社製品で使ってみたいですね」と話してくれました。
徹さんは「日本は人口減少とともに米の消費も減ってきています。そこでお米を別の方法で活用できないかと考えていました。そんなときに2人から米粉を使った製品づくりをやってみたいと言われました。農業もそうですが、何かをつくることは、とても大切なことだと考えています。2人を応援することが、地域への貢献・恩返しになると思っています」と話します。
家族で事業に取り組んでいる野村の3人、レシピづくりや製造は博美さん、商品のPRや情報収集などは彰さんと、それぞれに役割を担って活動しています。試作品は徹さんを含めた“家族会議”で意見を出し合い、レベルアップを図っているそうです。これからも地元愛とお客様からの喜びの声をモチベーションに、家族で協力して製品づくりに取り組んでいきます。