食品アレルギー表示対象の28品目を含まない自家製米粉クッキーを真空パック。おいしさはそのままに5年半の長期保存を可能にしました。災害避難時にアレルギー対応食を必要とする全国の保育園・幼稚園の園長先生や保育士の声を聞きながら、園児一人ひとりが自分で持ち出せる乳幼児向けの防災備蓄用のセットができました。
1,450円(税別)/備蓄用米粉クッキー1袋(10g×6枚入)、パウチ飲料水300ml×1、食品加熱キット1、発熱剤1
・米SweetS ※注文販売 :ケース(24個入り)単位
岐阜県各務原市蘇原東栄町2-102-1
Tel.058-372-2861
米SweetS株式会社(マイスイーツ、以下米SweetS)は、岐阜県各務原市に店舗兼工場を構え、米粉スイーツの開発・製造・販売をしています。そのラインナップのひとつ、特定アレルギー物質28品目不使用の米粉クッキーを真空パックにしてロングライフ化。防災備蓄用にセットアップして保育士の全国大会に出展すると、販売開始前から予約・問い合わせが相次ぎました。
代表取締役の平田妙子さんが小麦アレルギー対応の米粉のスイーツをつくり始めたことからスタートした米SweetS。味に素直な子どもたちに、次も食べてもらえるおいしいレシピを追求する過程で、素材を厳選し、小麦以外のアレルギー物質も使わないお菓子づくりにたどり着きました。
看板商品として人気の米粉のシフォンケーキをはじめ、ラスク、クッキーなどが保育園のおやつに採用され、マタニティフード協会の加盟店になるなど、米SweetSは乳幼児から大人までおいしく安心して食べられる米粉専門スイーツ店として知る人ぞ知る存在です。
備蓄用米粉クッキーを製造するきっかけとなったのは、「普段食べているクッキーが備蓄できたら安心だよね」というお客さまの声。特に近年、災害が多発するなかで、保育園や幼稚園の先生方からの「やっとの思いで避難先に着き、お腹が空いていざ何かを口にしようとしても、アレルギーを持つ子どもの食べるものがないのです」という言葉が、真空パック機の導入を考えていた平田さんの背中を押しました。
「先生方は園児の誘導で手いっぱいです。園児たちが自分のものは自分で持って避難できるようにひも付きの箱にセットしました」と平田さん。これを災害用防災セットとして商品化し、保育士の全国大会や保育通信でプレゼン。現場の声を聞きながら改良を進めてきました。
「備蓄用米粉クッキーは、通常の米粉クッキーとまったく同じものです」と平田さん。店舗併設の工場で焼き、真空パックしています。賞味期限は製造日から5年半。外部の検査機関の食品保存試験を経て、5年半は味も硬さも変わらないことが実証されました。
他の商品同様にオリジナルの米粉クッキーも素材を厳選、米粉は各産地・品種を試したなかから岐阜県産のハツシモを選びました。「ハツシモは米粒が大きく、甘みがあって上品で懐かしい味がします」と平田さん。他の材料もオーガニックを中心に、食品アレルギー表示対象品目は避け、米粉に合うてんさい糖、製菓専用米油などを使用しています。
「アーモンドなどを使わないとどうしてもコクが出せません。そこでタイガーナッツを入れました」と平田さん。タイガーナッツはカヤツリグサという植物の塊茎で、栄養価に富むスーパーフードとして注目を集めています。また、生地のつなぎとしてタピオカ粉、膨張作用のある電解水を使うなど、食感を良くする工夫を重ねてきました。
製造工程では、小麦粉よりも生地が硬いため型抜きには力が必要です。当初は手で型を抜いていましたが、後に機械を導入し、自社ブランドにはハート型、OEMには丸型を使い分けているそうです。
防災用セットの提案にも試行錯誤がありました。当初はクッキー2袋をセットしていましたが、避難先で飲み物が必要となるという声を聞いてペットボトルの水を入れました。しかし、今度は子どもが持ち運ぶには重いという意見が。さらに、電気・ガスが止まったときのためにミルクをつくるお湯も必要になるという貴重な意見を得ることができました。
平田さんは取引先から、レトルトパウチの飲料水、加熱キットと発熱材を仕入れ、これらと米粉クッキーをセット。保育園の全国大会でブースを出展して行脚すると、各地で「これはいい!」と大好評。2024年1月の販売開始前から予約が相次ぎ、導入した真空パック機が量産に大活躍しています。
備蓄用米粉クッキー味は、かぼちゃ、ココア、紫いもの3種類で、単品としても400円(税別・6枚入り)で販売する予定ですが、「まずは保育園・幼稚園の注文に応えることが先決です」と平田さん。今後は生産規模を拡大するために工場の移転も検討しているとのこと。備蓄用クッキーをできるだけ多くの全国の保育園や幼稚園に届けるために、保育士の全国大会などのイベントに出展してPR活動を続けていくそうです。
「アレルギーのある方はもちろんですが、素材にもこだわった100%米粉のおいしいお菓子があることや、それをつくって売っている米SweetSの存在を一人でも多くの方に知ってもらいたいですね」と今後の抱負を語ってくれました。