食物アレルギー対応工場でつくる、みんなにおいしい米粉パン

東北日本ハム株式会社(山形県酒田市、以下東北日本ハム)は、日本ハムグループの中でも国内唯一の食物アレルギー対応工場です。特定原材料8品目(乳、卵、小麦、そば、落花生、えび、かに、くるみ)を一切持ち込まないように管理された同工場で製造された食物アレルギー対応商品は、日本ハムグループのブランド「みんなの食卓®」シリーズとして送り出されています。今回、新たに日本生活協同組合連合会のPB商品として国産米粉のホットドッグを共同開発。本生産を開始しました。

米どころ酒田でおかずに合う主食のパンを米粉で開発

「東北日本ハムでは、2009年から米粉商品の開発・製造をしています」と教えてくれたのは、同社代表取締役社長の落合貴浩さんです。特定原材料7品目、2023年3月よりくるみが加わり8品目を一切使わない専用工場として、ハムやソーセージを製造・販売してきた同社が米粉パンの開発・製造に取り組みはじめたのは、「せっかく食物アレルギー対応のおかずがあるのだから、主食もつくればみんなで囲む食卓がもっと楽しくなる」という想いからでした。

「小麦アレルギーの方でも食べられる主食のひとつが米粉パンです。酒田市にある当社の周りは見渡す限りの田んぼですから、せっかく米粉パンをつくるなら、地域のお米を使おうと、酒田市産のはえぬきの米粉を原材料としてきました」と落合さんは話します。その背景としてもうひとつ、米どころ酒田市の企業として地域の米生産者を少しでもサポートしたいという思いもありました。

米どころ酒田でおかずに合う主食のパンを米粉で開発

はえぬきは米飯としてどんなおかずにも合うことが特徴で、外食産業でよく使われる米品種。酒田市で最も生産量の多い品種でもあり、同社で製パンのテストをしたなかで目指す米粉パンをつくるのに適した性質があったことから原材料として使われてきました。近年は酒田市産だけでは供給量が足りなくなり、酒田市産を主体に隣の鶴岡市産も含む山形県産のはえぬき米粉(「CO・OP 国産米粉のホットドッグ」は100%、「ふっくら米粉パン」は97%)で、各種米粉パンを開発・製造しています。

ウインナーと米粉パンで強みを発揮、新商品を安定生産

ウインナーと米粉パンで強みを発揮、新商品を安定生産

東北日本ハムの長年にわたる食物アレルギー対応工場での米粉パンの実績が、今回の日本生活協同組合連合会のPB商品「CO・OP 国産米粉のホットドッグ」の開発・製造に結びつきました。食物アレルギーケア商品は、同会が大切にする商品カテゴリのひとつです。

「『CO・OP 国産米粉のホットドッグ』は、東北日本ハムの強みであるウインナーと米粉パンの掛け合わせです」と落合さん。従来も自社ブランドとしてホットドッグを製造していましたが、今回の新商品には生協組合員の支持が高い無塩せきウインナーを使用。「ウインナーはパンを切ってはさむのではなく、パンの上にのせて生地と一体化させて焼くことで食べやすく、最後の一口までおいしいホットドッグを目指しました」と言葉を続けます。

米粉パンとウインナーの分量のバランスも一から見直しました。ウインナーが主張しすぎてパンが目立たなくならないように、なおかつもの足りなさを感じさせないちょうど良いバランスに仕上げています。

商品開発で難しいのは、量産に乗せるための生産体制の整備といってもいいでしょう。東北日本ハムとしても米粉パンのホットドッグを製造していますが、生産量は少なく、販売も日本ハムグループの通販サイトに限られていました。安定的に量産するには設備投資が必要です。そこは今回の事業で設備の拡充を図りました。

特に米粉のパン生地の粘性に合った高性能なデポジッター(充填機)は、微調整を重ねてきたウインナーとのバランスを再現するために欠かせない機械です。こうしてオファーから半年かけて完成したCO・OPブランドの「CO・OP 国産米粉のホットドッグ」は、米粉パンとウインナーのどちらも主役。食物アレルギー対応はいわずもがな、「おいしさにこだわった商品です。表面はカリッと中はもっちりの米粉パンとポークウインナーの味わいをより多くの方に楽しんでいただける商品です」とそのコンセプトを落合さんが語ってくれました。

ウインナーと米粉パンで強みを発揮、新商品を安定生産
米粉だからおいしい日本のパンをより多くの人へ

米粉だからおいしい日本のパンをより多くの人へ

もうひとつ、東北日本ハムで進められてきたのが米粉パン商品の拡充です。小麦アレルギー対応のグルテンフリーパンとして需要が伸びている角食パン「ふっくら米粉パン」の製造方法を見直し、新たに山形県内で製粉した県産はえぬきの米粉を使ってリニューアルしました。

今後、中国での販売も拡大していく予定です。パッケージはあえて中国語ではなく日本語で表記。メイドインジャパンを打ち出していく構えです。

「米粉パンを開発・製造して良かったことは、小麦アレルギーで一人だけおにぎりを食べていた子どもさんが、お弁当やおやつにみんなと同じようにパンを食べられることです。エネルギー補給や体調を整えるという点でもすぐれた主食だと思います。小麦の代わりではなく米粉だからおいしいパンをつくり、ご飯にも負けないものにしていきたいですね」と、これまで開発を重ねてきた米粉パンの未来を語ってくれました。

米粉だからおいしい日本のパンをより多くの人へ

※本記事は2024年3月現在の内容です。