新たな機材を導入し、洋菓子づくりを本格スタート

主に和菓子の製造販売を手がけてきた和楽スイーツファクトリー(以下、和楽SF)は、最新鋭のコンベクションオーブンを導入し、新たな一歩として洋菓子の製造に着手しました。その第一弾として手がけたのが、米粉を100%使ったシフォンケーキです。

コンベクションオーブンを導入し、製品開発に取り組む

これまでフルーツが入った大福やどらやき、水ようかんなど、和菓子を中心に製造販売してきた和楽SF。「上新粉やもち粉はこれまでも使ってきましたが、米粉を使う機会はほとんどありませんでした」と話すのは、製造課の山崎達也さんです。

和楽SFでは、多機能のコンベクションオーブンを導入し、洋菓子づくりを開始しました。コンベクションオーブンとは、庫内に高温の熱風を循環させて調理する機材で、外側はカリッと、中はふんわりジューシーに焼き上げることができるのが特徴です。調理する素材によって温度を細かく設定できるうえ、庫内全体に熱がまわるため、焼きムラができにくいとされます。

コンベクションオーブンを導入し、製品開発に取り組む
コンベクションオーブンを導入し、製品開発に取り組む

和楽SFでは新機材の導入に際し、米粉を使った洋菓子の開発を始めました。山崎さんたち製造スタッフは、多機能のコンベクションオーブンを使いこなすことが最初の課題だったそうです。
山崎さんは「温度や風量などを細かく設定できるのがこの機器の特徴ですが、それだけに素材の特徴や風味を最良の状態で仕上げるポイントを見極めるのが大変でした」と振り返ります。

第一弾となった「お米の粉のシフォンケーキ」は、生地づくりからカップの大きさ、一回に焼き上げる数など、さまざまな項目を設けて試作を繰り返し製品化に至りました。

扱いやすい米粉で手早く作業、成功も失敗もいい経験に

「お米の粉のシフォンケーキ」は、既存のレシピを参考に、山崎さんが米粉用にアレンジを加え、3名のスタッフを中心に、一つひとつの工程を確認しながら作業を進めています。
「粒子が細かい米粉は、卵液に加えてもダマにならずさっくりと混ざるので、作業時間を短縮できます。一方で小麦粉のようにグルテンをもたないため、膨らみにくいという難点があります。今回のシフォンケーキでは、泡立てた卵白をできるだけ潰さないように手早く作業します」(山崎さん)

扱いやすい米粉で手早く作業、成功も失敗もいい経験に
扱いやすい米粉で手早く作業、成功も失敗もいい経験に

卵白の泡立て方や生地と合わせたときのバランスが、ふんわりとした食感のカギとなるため、攪拌するたびに計量を行い、細かくチェックし目安とする数値に近づけていきます。生地が完成したら、紙製の型に流し込み、温めておいたコンベクションオーブンで30分ほど焼き上げます。

コンベクションオーブンでは、一度に72個焼くことができます。均一に膨らむように設定していますが、中にはあまり膨らまないものが出てしまうこともあるそうです。
山崎さんは「同じ状態で焼き上げても、生地の微妙な状態で膨らみ方が変わることがあります。どんな状況のときに膨らみが悪くなるのか、スタッフで原因を考えながら作業をしています。現在、シフォンケーキは3名のスタッフが中心となって作業を行っています。生地のつくり方や焼き方など、彼らの経験すべてが、ほかのスタッフへのお手本になっていきます」と話します。

扱いやすい米粉で手早く作業、成功も失敗もいい経験に
今後も米粉を使った新商品の開発に挑戦

今後も米粉を使った新商品の開発に挑戦

和楽SFでの米粉を使った洋菓子づくりは、始まったばかり。「お米の粉のシフォンケーキ」は、2024年2月中旬から自社のECサイトで販売を開始し、その動向やレビューでの感想などをチェックしながら、価格やパッケージの仕様を調整する予定です。
「通信販売では冷凍品として扱います。米粉は水分含有量が多いので、冷凍に向いていると思います。家庭の冷凍庫で長期保存できますし、自然解凍でおいしく食べられるのも米粉の魅力です」(山崎さん)
「お米の粉のシフォンケーキ」は百貨店のカタログギフト向けに仕様を変更したり、プレーン以外のフレーバーもラインナップに加えたりといったことも検討中です。

今後はシフォンケーキと平行して開発を進めていた米粉のクッキーや米粉入りのチーズケーキの製品化を目指すとのこと。山崎さんは「米粉のクッキーは、完成まであと少しという段階まできています。スタッフ全員が新しい“相棒”となるコンベクションオーブンを使いこなして、バラエティ豊かな製品づくりに取り組んでいきたいと考えています」と話してくれました。

和楽SFでは、さまざまな形で米粉を楽しんでもらえるように、製品開発に取り組んでいきます。