宮崎県産の有機栽培米からつくった米粉と、スーパーフードと呼ばれるビーツとデーツを使ったビスコッティ。小麦粉、卵、乳製品に砂糖も使わない安心・安全で体にも良い、グルテンフリーでギルトフリーなお菓子です。ビーツには甘酒を混ぜ込み、素材のやさしい甘さを感じられる味に。デーツにはアーモンドやココナッツも加えて、噛み心地や甘さの違いが楽しめます。しっかり歯ごたえのある食感と腹持ちの良さで、少量でも満足できるのも特長です。
BAKED GOODS ビーツ 300円(税別)/40g
BAKED GOODS デーツ 300円(税別)/40g
・自社ECサイト
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・大手通販ECサイト
・宮崎県高千穂町内の道の駅でも販売予定
宮崎県西臼杵郡にある株式会社高千穂ムラたび(以下、高千穂ムラたび)は、地元のお米などを使ってさまざまな食品を製造しています。例えば、地元のお米を使ったどぶろくや甘酒、そこから出る米ぬかに、米粉を使ったドッグフードなど。OEMでもたくさんの商品を製造しています。
商品開発で大切にしているのは「安心・安全で体に良いもの」。いつも「地域にある素材を使ってなにか素敵な商品がつくれないだろうか」と考えている佐伯勝彦さんと、勝彦さんのアイデアをカタチにする絵里子さんのご夫妻に、新たに生まれた商品「BAKED GOODS」についてお話をお聞きしました。
高千穂ムラたびは、宮崎県西臼杵郡高千穂町の中心部から車で30分ほど山道を分け入ったところにあります。人口100名ほどで、もともと住んでいる人はすべて親族という小さなムラ。ですが、最盛期には年間約30,000人が訪れる観光地でもあります。特に氏神様である秋元神社には、遠方から参拝客が訪れる名所。そんな地元を盛り立てようとさまざまな活動をしているのが高千穂ムラたびです。
「秋元神社の境内から湧き出す御神水は、水温がしっかり冷たい上に超軟水。その御神水で育ったお米はうまみが増してとてもおいしいのです。そのお米をもっと広く紹介しようと、2011年にどぶろくの製造をスタートしたのが食品製造のはじまりになりました」と話すのは勝彦さん。秋元神社にまつわる神楽には、どぶろくをつくることで夫婦愛を表現するシーンがあるそうです。その神楽のシーンをイメージして、地元産のお米を使い、乳酸菌を入れた、健康に良いどぶろくをつくっています。
「どぶろくの後には、甘酒、米ぬかのお菓子、そして米粉を使ったドッグフードなど、一貫して米製品をつくってきました。こだわってきたのは、誰にでも安心して口にしてもらえ、健康に良いものをつくるということ」と話す絵里子さんは、勝彦さんの製品イメージを受け取り、高千穂ムラたびのコンセプトに沿って実現してきました。
その高千穂ムラたびが今回新たに発売したのが、米粉を使ったビスコッティ「BAKED GOODS」。栄養価が高く、海外ではスーパーフードとして広く食べられているビーツやデーツを使ったお菓子です。
「お菓子には砂糖や乳製品、卵や小麦粉が使われることが多い。そのせいで健康志向の方には手を出しにくかったり、卵や乳製品、小麦などにアレルギーを持つ方にとっては食べられない。そこで、私たちのコンセプトはそのままに、米粉でつくったギルトフリーなお菓子はつくれないかと考えていました。今回は、卵や乳製品、小麦粉を使わないのはもちろん、砂糖も使わないと決めました。結果、食べても罪悪感のない、体も心も満足するお菓子がつくれました」
笑って話す勝彦さんですが、その開発にはたくさんの苦労があったそうです。
「高千穂ムラたびでは大手ECサイトでも商品を販売しています。そのサイトでは、お客様がどのような商品を閲覧して私たちの商品にたどりついたか、といったお客様の行動をトレースすることができます。それを分析していると、多くの方が海外産の健康食品などをチェックしたり購入された後で、私たちの商品も閲覧されているのがわかりました。日本にまだ浸透していない、手に入りにくい食品を探してらっしゃるんですね。逆に言えば、米粉はまだ海外に浸透していない健康に良い食材。海外で人気の健康に良い食品と、日本で流通している米粉を組み合わせれば、お客様のニーズを満たす製品がつくれると考えました」
勝彦さんは、そこでビーツとデーツに目をつけたそうです。ビーツはポリフェノールやカリウム、マグネシウムなどを豊富に含む、甘さと赤い色が特徴の野菜。デーツは、甘さはもちろん食物繊維やミネラルが豊富な木の実で、中近東では「生命の樹」と呼ばれるほど。どちらもスーパーフードと呼ばれる健康に良い、人気のある食品ですが、日本ではまだまだ手に入りにくいのが実情。
「取り寄せて食べて見ると、どちらもとても甘くておいしかった。そしてビーツには水分が、デーツには粘度がしっかりとあります。それを活かして、素材の味を楽しめるやわらかいクッキーをつくろうと最初は考えていました。初めて扱う食品なので、工場の製造機械で対応できるのかなども考慮して生地をつくっていったのですが、なかなかうまくいかず、とても苦戦しました」
絵里子さんは、ベンチマークとした商品の配合を参考にして試作を進めたそうですが、やわらかさを追究すると米粉が持つ水分量のせいもあり、生地が固まらないという壁にぶつかったそうです。一般的なクッキーは小麦粉とバター、砂糖、卵があるため固まりやすくなります。また製造を容易にする添加物などもあり、使うことで製造の難易度はぐんと下がります。
「ですがそれでは高千穂ムラたびのコンセプトから外れてしまう。酒粕を混ぜたりと工夫しながら試作を続ける中で、やわらかさではなく、食感や味をより追究しようと方向を転換することにしました。そういった経緯で、現在の歯ごたえのあるビスコッティタイプの『BAKED GOODS』が生まれました」(絵里子さん)
ビーツには甘酒を混ぜ込むことで、より素材のやさしい甘みが感じられるビスコッティになったそうです。デーツにはアーモンドやココナッツも加え、素材本来の甘みや歯ごたえの違いが楽しいお菓子に。
「どちらも米粉を使っているので少量でも腹持ちがいい。また噛み応えがあり、味も濃いめにつけているので、満足感が高いんです。それでいてギルトフリーでグルテンフリーな点がポイントです」(勝彦さん)
「新商品の製造を行う設備の購入に米粉商品開発等支援対策事業を活用しました。パッケージ作成にも利用しています」(勝彦さん)
高千穂ムラたびは、廃校になった学校の給食室を製造場所として活用しています。そこにオーブンやチラー、保冷庫を新たに購入して設備を充実させたそうです。生産量はこれまでの倍に増強されたと勝彦さん。大きく増強された製造力を活かして、2024年中に海外進出も予定しているそうです。
「先ほどもお話ししまたが、米粉はまだ海外では浸透していません。一方で米は健康的な食品として人気が出てきています。海外の健康志向の方に、グルテンフリーで、かつ卵・乳製品、砂糖も使わない私たちの米粉商品は刺さるはず。そうして販路を広げることで、より宮崎県と高千穂、ムラの魅力を発信していきたいですね」
今回使用した米粉は有機栽培された宮崎産のものに限定しているそうです。そうやってこだわればこだわるほど、体にも心にもより良い食品が届けられる。それが高千穂ムラたびの強みでもあると、お二人は考えているようです。
今後も地元産、そして米を軸として、「安心・安全で体に良い」商品を、日本だけでなく、海外にも届けることで、多くの人のニーズを満たしつつ、地元にも還元していく。それが高千穂ムラたびの目標だとお二人は話します。