90年の歴史で培ったノウハウを生かし、米粉の可能性を地域に根付かせたい

90年の歴史で培ったノウハウを生かし、米粉の可能性を地域に根付かせたい

今年で創業90年を迎える有限会社広瀬製粉(以下、広瀬製粉)は、関東一円を商圏とする老舗の製粉会社です。取り扱う商品は上新粉や米粉を中心に多岐に及び、創業当時から継続する和菓子店をはじめ、給食事業者などさまざまな顧客に、それぞれの要望に合わせた粉製品を製造販売しています。
今回の米粉商品開発等支援対策事業で新型の精米設備を導入した目的や米粉の可能性について、総務の広瀬守さんにお聞きしました。

きめ細やかな対応力でニーズに応える

「今から10年ほど前に米粉ブームがありました。当社ではその頃から米粉製品をつくり、学校給食用などに卸していました。しかし、その後は米の価格上昇も影響し、期待以上には米粉製品の生産が拡大することはありませんでした」と米粉とのかかわりについて広瀬さんは話します。しかし、最近は国による米の消費拡大への後押しやウクライナ情勢に伴う小麦の価格高騰など、米粉を取り巻く環境や関連制度が整いはじめたことで、米と小麦との価格差が以前より縮小し、米粉の需要が高まってきたと続けます。

広瀬製粉の強みは、多品種の米を小ロット生産できる対応のきめ細やかさにあります。「大手の製粉メーカーでは対応しにくい数百キロレベルの生産数にも、柔軟に対応できます。米粉の需要が伸びてきたとはいえ、米粉はまだまだ黎明期だと考えています。その意味で小ロットの依頼に対応できる自分たちの能力を伸ばしていきたい」(広瀬さん)という思いから、新型の精米設備を導入したそうです。

きめ細やかな対応力でニーズに応える

精米設備の導入にあたって、複数の機械メーカーからの提案を吟味して決めたという広瀬さん。導入した設備は、新たに研削機能が備わった精米機で「従来機と同じメーカー製であったことで従業員が使い慣れていた点も選定のポイントになりました」と広瀬さんは話します。米の糠層を研削することで精米した際の白度が上がり、米粉の品質が向上するそうです。生産能力も向上し、機械への習熟度が高まれば、従来機に比べおよそ5倍の増産を見込んでいるとのことです。

声が聞こえてこないのが、お客様から認められている証

声が聞こえてこないのが、お客様から認められている証

広瀬さんのもとに届く依頼は、OEMで生産するケースが大半を占めています。米の品種があらかじめ指定されている依頼が多く、そのため、それぞれの品種や用途に合わせた挽き方などを依頼ごとにカスタマイズしたオーダーメイドで生産しているそうです。その中には「高アミロース米を使用した米粉もあり、衛生面にはとても配慮が必要」と広瀬さんは話します。もちろん、衛生面への配慮は病院食(学校給食)向け製品に限ったことではなく、新型精米機の導入にあたって、製造環境の改善も考慮しており、生産量の増強だけでなく衛生環境面の改善も実感し、新型機導入の手ごたえを感じていると話します。

顧客からの反応はどうなのか、広瀬さんに聞きました。
「自分たちの業界ではよくある話ですが、何もお声が届かないことが、ご要望通りの製品をお届けできている何よりの証だと認識しています」。米粉に限らず粉製品は、用途によって適した粒度などが異なり、培ってきたノウハウがとても重要な要素になります。その点、90年の歴史の中で広瀬製粉はノウハウを磨き続けてきたからこそ、顧客から信頼を勝ち取っているのでしょう。

地産地消で、米粉を地域に根付かせたい

広瀬製粉は、OEM生産のほかにも、独自に茨城県内の道の駅などで一般向けに「米の粉」を販売しています。家庭で利用しやすいようにパンや天ぷらなどさまざまな料理に対応できる汎用性の高い商品です。地元に米粉を普及させたいという思いの一環ですが、ほかにも、米粉を使用したスイーツのレシピ開発や地元のJAと一緒に米粉に適した品種の取り扱いを増やす取り組みなどにも、その思いは表れています。
「米粉の扱いに慣れていないお菓子屋さんはまだまだ多いと感じています。小麦と同じ方法ではやはりうまくいかない。地道に米粉の特徴を知ってもらうために活動しています。JAとは地産地消を目指して、茨城県産の米で新商品を開発できるよう協力を進めています。グルテンフリーの米粉は健康に良い効果を発揮します。米粉を通じて子どもの確かな成長に寄与していきたい」と、茨城県を中心に地域に米粉を根付かせたいという熱い思いを広瀬さんは語ってくださいました。

地産地消で、米粉を地域に根付かせたい