創業90年の老舗パン洋菓子店がはじめて取り組んだ米粉商品の開発。生まれたのが米粉ベーグルでした。若者やインバウンド客が多く訪れる大阪コリアタウンにあるベーグル専門ベーカリーカフェで、さまざまなトッピングをあしらった“見て、食べて、楽しい”約20種の米粉ベーグルを体感できます。ハロウィンやクリスマスなどイベントごとの期間限定ベーグルは、リピート客も満足する商品です。
SUGAR 380円(税込)/1個
Quattro Chocolate 580円(税込)/1個
CREAM CHEESE and HONEY 680円(税込)/1個
Truffe Wonder Land 780円(税込)/1個
・TOMORROW TIGER BAGEL
大阪市生野区桃谷 2-8-11 Tel.080-2513-5820
大阪を中心にスーパーや直営店を通じて、近畿圏の多くの家庭で親しまれている鳴門屋製パン株式会社(以下、鳴門屋製パン)の商品に、新たに米粉を使用したベーグルが加わりました。米粉を使用した商品づくりは、昭和9年創業と90年の長きにわたってパンや洋菓子づくりを続けてきた鳴門屋製パンの歴史の中でも、大きな挑戦だったといいます。そのチャレンジについて、話を聞きました。
鳴門屋製パンで長年製造に携わってきた工場長の大野聡久さんですが「米粉を本格的に使用するのは、今回がはじめて」と話します。米粉ベーグルの開発は、大阪コリアタウンエリアへの直営店出店がきっかけでした。
「コリアタウンには韓国スイーツやケーキ店が軒を連ねています。そこでよく見かけるのは、若い女性。本場韓国にも視察に行って、韓国の若者文化も調査しました。その結果、新たに出店するお店をベーグル専門店にしました」とベーグル専門ベーカリーカフェ「TOMORROW TIGER BAGEL」責任者の長江加織さんは話します。
ベーグルの特徴は、何といってもモチモチした食感。その実現に加え、腹持ちがよい食事系パンで新たな市場を開拓したいという思いから、鳴門屋製パンはベーグルに米粉を使用することに決めました。
「米は古くから日本の主食として親しまれてきました。日本人の口に合うことも、米粉を使用する大きな理由です」(大野さん)
日本人に親しみ深い米ですが、近年は家庭における米への支出額は減少傾向にあります。一方、家事の時短需要やシニア層への浸透が高まり続けるなかで、パンへの支出額は増加しています。そこで鳴門屋製パンは、主食としての食事系パン、ベーグルの開発に乗り出しました。
「米粉は初めてのことばかりで、慣れ親しんだ小麦粉とはミキシング方法もまったく違いました。原料の配合を何度もやり直し、食感と味の確認を繰り返す毎日で、ようやく私たちがつくる商品として納得できる米粉10%の配合率に至りました。生地を練る時間も小麦粉とは違い、慣れるまで時間が必要でした」と大野さんは開発の苦労を振り返ります。
また、鳴門屋製パンでは工場で製造した生地を店舗に送るロジスティクスで運用していますが、工場での製造には工夫が必要だったと大野さんは続けます。ベーグルは通常、発酵→茹で上げ→焼き上げの工程でつくりますが、工場では茹でる設備がないため、スチームで対応しているそうです。
今回の米粉商品開発等支援対策事業を利用して、同社は成型装置「ワイドファインモルダ」を導入しました。現在の工場設備やスペースにフィットする機械を数社のメーカーから選定したといいます。機械製造により生地の伸びを均一にでき、製造の安定化と時間の効率化を図れ「手成型に比べ、想定で製造能力を100%向上できている」と大野さんは導入成果について語ってくれました。
こうして開発されたベーグルには、グルテンフリーではないけれど、健康を意識して米麹やホワイトソルガムというきび粉が含まれています。ベーグルは卵を使わないので、その点でもより多くの人に食べてもらいやすい商品になりました。もちろん、おいしさの実現も目指し、旨味の底上げに米麹が、甘みにはクセのないホワイトソルガムが、それぞれ一役買っているといいます。
工場で製造されたベーグルは、TOMORROW TIGER BAGELの店頭でさまざまなトッピングをあしらってお客様に提供。スイーツ系から食事系のベーグルサンドまで約20種類のベーグルが用意されています。
「商品の展開や販売方法は、韓国で人気のベーグルショップを参考にしています。SNSでの情報発信や拡散を意識して、クリスマスやハロウィンなどのイベント、季節に合わせたトッピングなども用意。夏場にはアイスクリームをサンドしたアイスベーグルなど、リピートのお客様であっても、常に楽しんでもらえるようにしています。また、主食として楽しんでもらえるようにスープとのセットも提供しています」と大阪コリアタウンエリアならではの、若者を意識した“飽きがこない”商品づくりや売り方を心掛けていると長江さんは話します。
2024年4月にオープンした店舗は、すでに行列ができる人気ぶりで、TOGO(トゥ・ゴー)コーナーというテイクアウト用の窓口も設置して、気軽な食べ歩きもできるようにしています。
「店舗では、ベーグルの情報だけでなく、インフルエンサー向けに米粉の情報を発信して、米粉自体の認知理解を促していきたいと思います。大阪コリアタウンにはインバウンドのお客様も多いので、日本以上に健康志向の強い海外の人たちに米粉の魅力を広めていきたいですね」(長江さん)
「現在の10%の米粉率をもっと上げていきたいですし、ベーグルだけでなく、米粉を使ったロールパンや蒸しパンなど米粉パンのラインナップを増やしていきたいと思います」(大野さん)
これから一層米粉と積極的につきあっていきたいと、おふたりは最後に話してくれました。