福岡県産米「ふくのこ」でつくった米粉を使った「べいめん」と、発芽玄米をブレンドした「博多べいめん 玄兵衛」。今回の米粉商品開発等支援対策事業では、これまで乾麺と生めんの2種類だった「博多べいめん 玄兵衛」に冷凍ゆでめんタイプが加わりました。冷凍ゆでめんは、乾麺よりも短い時間で調理可能で、生めんの課題であった賞味期限を約1年にできました。両者の特徴を生かした“いいとこどり”で生まれた「冷凍ゆでめん」は、使い勝手も抜群です。無添加・グルテンフリーの米粉麺として、国内での販売拡大はもちろん、海外への展開も期待できる商品となっています。
博多べいめん 玄兵衛(冷凍ゆでめんタイプ) 1,000円(税別)/150g×2食入り
※業務用は1ケース150g入り×5食×6Pで販売予定(受注製造のため数量などはヘ調製可)
・自社ECサイト
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・米粉麺専門店「糀(こめのはな)」
福岡県遠賀郡遠賀町上別府八久保1401 Tel.093-293-9678
福岡県北部に位置する遠賀町や近隣の直方市で、米農家が丹精込めて育てた品種「ふくのこ」を主原料にした米粉麺「べいめん」の開発に取り組んでいる遠賀屋(おんがや)。米粉100%、無添加・グルテンフリーの「べいめん」は、同社が営む米粉麺専門店「糀(こめのはな)」で提供しているほか、通信販売も行っており、多くのファンを獲得しています。今回の米粉商品開発等支援対策事業では、乾麺・生めんに続く新たな形として「冷凍ゆでめん」を開発しました。“地産地消”を実践し、地域を盛り上げる同社の取り組みについて伺いました。
遠賀屋が製造・販売している米粉麺「べいめん」に使われている「ふくのこ」という米の品種は、岡山県で栽培されていた品種をもとに福岡県で改良を重ねて誕生したもので、アミロースの含有率が27~28%と高いことが特徴です。アミロースは米に含まれるデンプンの一種で、その量が米の粘りに大きく関わっています。アミロースが少ない米は粘り気があり、もちもちとした食感を楽しめますが、麺に加工すると、その粘りがゆでたときに麺離れを悪くする要因となってしまいます。アミロース含有量が高い「ふくのこ」は、製麺に適した品種として活用されています。
遠賀屋代表・金田淳二さんは「ほどよい甘みと粘りをもつ『ふくのこ』は、麺に加工しやすいうえ、もちもちとした食感に仕上がるのが魅力です。しかしなんと言っても、地元で栽培されているお米でつくられていることが最大の特徴と言えるでしょう。『べいめん』には、なくてはならないお米ですね」と話します。
さらに金田さんは、「地元の米でつくる『べいめん』は、米農家の皆さんもお店や家庭で食べることができます。自分たちが大切に育てた米がどのような姿になり、どんな風に食べてもらえるのかを知ることが、翌年の米づくりのモチベーションにつながっています。私たちも“おいしい米をつくってくれたから、さらに良い製品をつくらないと”という思いで製品開発に臨んでいます」と教えてくれました。
遠賀屋では、白米粉を使った「べいめん」と、白米粉に発芽玄米をブレンドした「博多べいめん 玄兵衛」の2種類の米粉麺を製造しています。今回、栄養価が高く、食物繊維が豊富な「玄兵衛」で「冷凍ゆでめん」を開発しました。
「冷凍ゆでめん」を開発した経緯について金田さんに伺ったところ、「乾麺は常温で1年間保存できますが、調理に手間や時間がかかる点がマイナス要素です。一方、生めんは乾麺よりも短時間で調理できますが、冷蔵で1週間という短い賞味期限が保存や流通面で課題となっていました。そこで両者の良い点を併せもつ新しいタイプの麺として『冷凍ゆでめん』をつくってみようと考えたのがきっかけです」と振り返ります。
「冷凍ゆでめん」は、製麺したあとに一度ゆでてから急速冷凍し、再び加熱して喫食します。このとき風味や食感が変わらないように、米粉と発芽玄米の配合を調整しながら、何度も試作を重ねたそうです。そんな試行錯誤を経て完成した「冷凍ゆでめん」は、-18度以下であれば賞味期限は約1年、調理時は冷凍のままお湯に入れればOKという手軽さを実現しました。
金田さんたち開発チームは“まずは手に取ってもらうこと”を念頭に置き、黄金色に実った稲穂や調理例をパッケージのデザインに採り入れて米粉麺のおいしさをアピールしました。さらに価格を抑える工夫として、2食入りパックで販売を開始しました。金田さんは「少量パックなら一般のお客様はもちろん、飲食店でも使いやすくなるので、メニュー開発に役立ててもらえるのでは」と期待を寄せています。
今回の「冷凍ゆでめん」開発にあたり、遠賀屋では米粉商品開発等支援対策事業を活用してロール式製麺機や計量器、急速冷凍庫などの設備を導入しました。これにより生産効率が向上し、コストを抑えながら量産できる体制を整えることができました。
「博多べいめん 玄兵衛」に「冷凍ゆでめん」タイプが加わり、用途や選択の幅が広がった遠賀屋の米粉麺。金田さんは次の目標として、米粉麺市場の拡大を挙げます。
「当社の製品は、無添加・グルテンフリーで食物繊維が豊富、さらに塩分や血糖値が気になる人も安心して食べることができます。美容や健康に関心をもつ人たちはもちろん、一般の人たちも日常的に米粉麺を楽しんでもらえるとうれしいですね。そして、安心・安全でおいしい日本の米でできた麺は、海外市場でも広く受け入れてもらえると期待しています」と話します。
海外での販路開拓を目指す金田さんは、2024年10月にシンガポールで開催された日本食の見本市「Food Japan 2024」に市場調査を兼ねて参加したところ、日本の米や米粉製品のニーズの高さを改めて実感。そして米粉麺を食べる文化があるアジア以上に、欧米やオーストラリアに商機があると感じたそうです。
「当初は海外でもBtoCでの販売を想定していました。しかし、現地の日系企業が興味を示してくれるなど、海外の市場は多様かつ規模が大きいことがわかり、BtoBでの展開も視野に入れるべきだと感じました」と金田さんは話します。 そして海外での販路開拓には、様々な経験をもつ商社などにお任せするのが一番効率がよいと考えたそうです。 「米農家の皆さんが品質のよい米をつくり、私たちつくり手がそれを製品化する。そして販売や流通にノウハウをもつ人たちが販路を拓いていく。多くの人に製品を知ってもらうのには、タイミングやスピード感も必要になるでしょう。そうしたときに、それぞれの分野のプロが的確に動くことが、最も効率が良いのでは」とも話してくれました。
「いいものができたので、あとは皆さんに食べてもらうだけ」と話す金田さん。生産者、製麺業者、販売・流通業者、それぞれの分野のプロたちが、日本の米の可能性を広げていきます。