ご当地インスタント麺の米粉を4倍増、もちっと優しく懐かしい

愛知県碧南市を中心とする西三河地方でお馴染みの「キリマルラーメン」。発売から60年、復活から15年、地元のファンに支えられてきたことに感謝を込めて、子どもからお年寄りまで幅広い世代に末永く愛されるご当地ラーメンを目指してリニューアルに取り組みました。

国産原料100%、豆乳と米粉が隠し味

キリマルラーメンは、小笠原製粉(愛知県碧南市)が1965年に発売したインスタントラーメンです。1998年に一時生産が中止されたものの、地元の人たちの熱い要望に応えて復活を果たしたのは2010年のことでした。その際、地域の人々に感謝を込めて、原材料を外国産から国産に変更。農業が盛んな地元の生産者が育てた小麦を挽いた小麦粉・その裏作の大豆でつくった豆乳・米粉を使ったもっちり感のある国産原料100%のインスタント麺を開発しました。

国産原料100%、豆乳と米粉が隠し味
国産原料100%、豆乳と米粉が隠し味

「米粉によるもっちりとした食感と歯応えは、キリマルラーメンの特徴です。その特徴を伸ばすために、米粉の配合量を増やしたいと考えていました」と話すのは、小笠原製粉4代目社長の小笠原充勇さんです。しかし、米粉の量を増やすとそのぶん麺が脆くなる懸念があるため、なかなか実行に移せずにいました。

そんな折、小笠原さんが製造面でできる工夫はないかと機械会社に相談すると、麺の壊れやすさは、振動を低減することで改善される余地があることがわかりました。「生産ラインで人が手を触れずに麺が流れるようにすればいいのではないか」と、機械会社からの提案もあり、生産ラインの一部自動化を検討しました。

「これまで人の手で丁寧に麺を扱うほうがロスが少ないと思っていましたが、実はそうとも限らず、無意識に衝撃を与えてしまっている場面がいくつかありました」と小笠原さん。今回の米粉商品開発等支援対策事業を活用し、ダンボールの開梱・梱包、トレー供給、ベルトコンベアなどの機械を導入しました。「その結果、麺が割れにくくなったことに加え、生産効率も上がりました」と話します。

こうして、ついに米粉の量を従来の4倍にした麺へのリニューアルが実現しました。

幅広い世代へ、米粉増量でもちもち感アップ

「麺リニューアルで目指したのは、子どもからご年配まで幅広い層に好まれる麺にすることです」と小笠原さん。キリマルラーメンが復活した当時30~50代だったファン層は、時を経て嗜好や家族構成が変わっています。「子どもに麺を食べさせるならなおのこと、もっちりと柔らかい麺が安心できると思います」と話します。

米粉の配合率は企業秘密ですが、まず従来の1.5倍の量を目標にして試作を重ね、徐々に4倍まで引き上げてきました。主原料の小麦粉、豆乳、米粉は変わらず国産100%。リニューアル後の初回生産では愛知県産「あいちのかおり」の気流粉砕した米粉を使用し、2024年末に販売を開始しました。今後は産地・米品種を広げ、将来的に米粉の量をさらに増やせるように試作を重ねていく予定です。

幅広い世代へ、米粉増量でもちもち感アップ

小笠原さんは、自ら対面販売やセールスに携わり、実際に消費者の声を聞く機会も多くあります。パッケージは変わっていませんが、ファンのお客さんには麺が変わったとわかるようです。キリマルラーメンのコアな客層が多いJAのファーマーズマーケットでは、「食感が良くなった」「もちもちする」という声が聞かれたそうです。

また、商談の場でバイヤーに試食してもらうと好意的な評価が得られ、生産効率の向上にも魅力を感じてもらえるそうです。 「本来は米粉を増やすとそのぶんの値上げも考えられますが、自動化で生産効率が上がったため価格を据え置くことができました」と小笠原さん。米粉を4倍に増量した新生キリマルラーメンの出足は好調です。

家庭の食卓に米粉の良さを推していく

家庭の食卓に米粉の良さを推していく

国産米粉は「キリマルラーメン」のみならず同社のブランディングにも一役買っています。
「米粉には健康的で優しいイメージがあると思います。健康や優しさは、キリマルラーメンが復活して以来、大事にしてきたことです。食料自給率向上にも貢献できると思うので、米粉を推していきたいです」と小笠原さんは話します。一昨年から同社では、調理や製菓向けに小売用の米粉と玄米粉を開発し、地元のイベントやマルシェで販売するなど、地域の家庭への供給にフェイストゥフェイスで取り組んでいます。その結果、地域の米粉ファンともつながりました。

「今後、アルファ化米粉などが低価格で提供できるようになったら、パンづくりなどに使ってもらえるように商品化したいです」と小笠原さん。BtoBではキリマルラーメンのOEMにおいて、「OEMの米粉量は旧来どおりですが、リニューアルしたキリマルラーメンの成功事例があれば米粉の懸念点が払拭されると思うので、提案につなげていきたいです」と展望を語ります。

復活から15年を経た2025年は、同社がこれまでキリマルラーメンのブランドとともに大事に温めてきた米粉を、一気に広めていく年になりそうです。