米粉が生み出す食感の驚き、新作タルトで東京駅の利用客へ

タルト専門店を運営する株式会社ウッズは、恵比寿、虎ノ門ヒルズに続き3店舗目となるAM STRAM GRAM nobolyquedaly(アム ストラ グラム ノボリクダリ)グランスタ東京店を、2024年秋、JR東京駅のエキナカ商業施設にオープンしました。これに合わせて、東京駅の利用客のニーズに応えるべく、米粉を使った新作タルト2商品を発売しました。

選択肢の充実に欠かせない米粉

「AM STRAM GRAM」は、フランス語の数え歌で「どれにしようかな」という意味。選ぶ楽しさを、その店名にしています。同店では、フィリングやトッピングのみならず、タルト生地にもバリエーションを追求し、以前から米粉を取り入れた商品開発を行ってきました。小麦粉とは異なる食感を活かしたタルトを生み出し、新しい味わいを提供しています。

選択肢の充実に欠かせない米粉
選択肢の充実に欠かせない米粉

ウッズ代表取締役社長の五條敦広さんは、米粉を使う理由について次のように語ります。
「小麦粉を使ったお菓子は、すでに多く流通しているため味や食感が予測でき、食べたときに想像を上回る驚きをなかなか提供することができません。その点、米粉を使うことで、これまでにない食感や味のインパクトを生み出せることが非常に面白いと感じています」

今回、新店舗のグランスタ東京店のオープンに際し、米粉商品開発等支援対策事業を活用し、米粉を使った新たなタルトの開発に取り組みました。グランスタ東京店のコンセプトである列車の「上り下り」にちなみ、日本各地の食材を北から南まで追いかけ、同店限定の新商品となる直径6cmの「タルティミニ」シリーズでの展開を目指しました。

「私たちのタルトは生菓子が多く、消費期限が1日と短いことが課題でした。東京駅に出店するからには遠方のお客様にお土産にしてもらえるよう、消費期限を複数日延ばせる半生菓子として開発しました。また、東京駅を通勤で利用される方にも手に取っていただけるようにという商業施設を運営する側の要望にも応えました」と五條さん。

こうしてグランスタ東京店の開業と同時に、「米粉のピーナッツバターケーキ」と「タルティミニマカダミアん」の2種類が誕生しました。

食感の妙を探求、半生菓子に生かす

米粉のピーナッツバターケーキの開発は、同社が以前から持っていた小麦粉でのレシピを、契約農園の米粉に置き換えて試作をしたことがきっかけ。その際に新しい食感に驚き、さらに素材の持ち味を活かすためにレシピをブラッシュアップしました。

「小麦粉を使った場合、焼き上がりの表面はカリッと、中はしっとりとした食感になります。一方で米粉を使うと、表面はパリッと煎餅に近い感じでありながら、中は小麦粉よりももちっと仕上がります。さらに、米粉の穏やかで優しい風味が、国産落花生のピーナッツバターの香ばしい風味を引き立ててくれることがわかりました。これは『おいしい!』と確信して、レシピの調整を重ねて完成させました」と五條さん。こうして、小麦粉のピーナッツバターケーキを超える味わいにたどり着いたのです。

食感の妙を探求、半生菓子に生かす
食感の妙を探求、半生菓子に生かす

もうひとつの「タルティミニマカダミアん」は、タルトでマカダミアナッツの饅頭をつくりたいという発想から生まれました。アーモンドクリームに餡を混ぜ込み、求肥を忍ばせたフィリングを米粉のタルト生地に詰めて焼き上げ、仕上げに刻んだマカダミアナッツをトッピング。

「米粉のタルト生地のパリッとした食感に、フィリングの餡がもちっとした対比を生み出し、さらに求肥で変化をつけました」と五條さん。商品名の「マカダミアん」は、マカダミアナッツと餡の組み合わせを表現するために、語尾をひらがなの「ん」にするなどネーミングにも遊び心を取り入れています。

AM STRAM GRAMでは、これまでも和の要素を取り入れたタルトを商品化し、例年、春の季節商品として米粉生地のいちご大福のタルトを販売しています。人気商品のひとつですが、生菓子であるため消費期限が1日と短く、その日のうちに食べなければなりませんでした。「タルティミニマカダミアん」は、半生菓子として開発したことで翌日まで日持ちし、多くのお客様に喜ばれています。

米に感じる日本の季節、タルトで表現していきたい

「東京駅に出店して米粉商品に新しい需要が生まれていると思います」と五條さん。「生菓子はデザート感覚ですが、半生菓子としたことでよりカジュアルなおやつ感覚で楽しめるようになり、オフィスで働く方や新幹線車内で召し上がるお客様が増えていると感じます」と言葉を続けます。直径6cmのミニサイズであり、果物や生菓子と比べて持ち運びがしやすく、「タルティミニマカダミアん」は税込み390円という手頃な価格も人気の理由と考えられます。

同社が使用する米粉は、新潟で無農薬・無肥料の自然栽培をする宮尾農園のもの。2023年に虎ノ門ヒルズ店を米粉商品の旗艦店とした際に仕入れを開始し、2024年はグランスタ東京店のオープンもあってその仕入れ量が倍増。米粉商品への人気の高まりが窺えます。

商品開発で事業に弾み。可能性が広がるグルテンフリー商品

「米粉の魅力は小麦粉では出せない食感にあります。近年は製粉技術の向上で洋菓子にも使いやすくなってきています。狙った食感に近づけるための試行錯誤が、商品開発の難しさでもあり、楽しさでもあります」と五條さん。

「米粉商品を増やすことは、これからも変わらないテーマです。日本人にとって米は身近な存在であり、新米という言葉に季節を感じると思います。その時期に、東京駅で季節感のある商品展開をすることで、多くの人の目に触れ、楽しんでいただけたらいいですね」と五條さんは展望を語ります。

米粉を使ったタルトで、次はどのようなインパクトを生み出すのでしょうか。その展開に期待が高まります。