東京の下町・両国の地で100年以上にわたり、国産素材にこだわったあられ・おかきを提供してきた東あられ本鋪から、お米を使ったお菓子のブランド「あずま米菓堂」が新登場。「米粉クッキー」は、口に入れた時にほろほろと溶けるような食感が魅力。「米粉焼きドーナツ」は、もち米粉をメインに使用して小麦にはないしっとりとしたもちもち感を実現。日頃あられやおかきをあまり食べない若年層や海外からの旅行者にも米菓に興味を持っていただける商品が生まれました。
あずま米菓堂 米粉クッキー 380円(税込)/9個入り
あずま米菓堂 米粉焼きドーナツ 150円(税込)/1個
・東あられ本鋪 両国本店
東京都墨田区亀沢2-15-10 Tel.03-3624-3939
創業は明治43年。東京の下町・両国の地であられやおかきを普段のおやつや贈答品として提供し続けてきた株式会社東あられ本鋪(以下、東あられ本鋪)では、令和3年に小林宏太郎さんが五代目となる代表取締役社長に就任。「『あられ』文化を繋いでゆく、より良い暮らしを紡いでゆく」ことをモットーに、あられ・おかきの販売を継続しつつ、更なる成長のために新たな商品の開発を決意。目をつけたのは米粉。商品ラインナップの幅を持たせるために、甘みのある商品として「米粉クッキー」と「米粉焼きドーナツ」を開発し、お米菓子の新ブランド「あずま米菓堂」として販売を開始しました。
そもそも、なぜあられの老舗が甘みのある洋菓子の開発に挑んだのか、小林さんにお聞きしました。
「当社では、山形の契約農家から直接仕入れる米など素材にこだわって、100年以上に渡って安心・安全なお菓子をつくり届けてきました。下町の老舗としてあられ・おかきのブランドは定着していますが、その一方で、今後の人口減少等を踏まえると大幅な売上の増加が難しいと考えています。そこで、今までアプローチできなかった若い顧客層などにも米の価値に触れるきっかけになる商品の開発を考えました」
米菓という定義を、あられやおかきなどに限定しないで「米を使った菓子」と捉えれば、商品の広がりが見えて既存商品との相乗効果にもなると考えたそうです。
「両国のお店には、海外の旅行者もいらっしゃいます。でも、これまでは、気軽に日本のお米の魅力を知っていただく機会となる商品がありませんでした。米粉を使ったクッキーやドーナッツなら手に取りやすく、そこから他の米菓にも興味を持ってもらいやすい。そんな米菓の入り口となる商品を米粉でつくっていきたいと考えました」(小林さん)
「米粉クッキー」は、本来小麦粉で製造する部分をすべて米粉に置き換えた商品。ノングルテンの米粉らしい口溶けの良さが魅力と、開発を担当した新規事業部の道端信乃さんは語ります。
「口に入れたときにほろほろと溶けるような感じと米ならではの味わいが特長です。米粉の特性を前面に生かして、小麦粉のクッキーにはない食感を実現しました」(道端さん)
米粉はさまざまな種類のものを試した結果、気流粉砕法という製法で、でん粉の損傷を抑えた極めて細かい粒子の国産米粉を使用。その細かさが口溶けの良さを生み出しているそうです。
「米粉焼きドーナツ」は、もち米粉をメインに米粉と合わせて練りこむことで、小麦にはないしっとりとしたもちもち感を実現しました。
「もち米粉だけだと生地が重くなり、焼いたときに気泡がうまくできず、ふっくらしませんでした。そこで、別の米粉と合わせたところ、ふっくらもちもちの焼きドーナツができました」(道端さん)
納得のいく食感の商品ができあがるまでには半年ほどかかったそうです。
「開発当初は、小麦粉のクッキーやドーナツに近づけるにはどうしたら良いかを考えていました。しかし、米粉を小麦粉に寄せるのはむずかしいと実感。それなら、米粉の良さは何なのか、それを前面に出す方向に開発を切り替えました」と道端さんは振り返ります。
当初は、小麦との違いにとまどい、生地を膨らませるためにグルテン入りの米粉を試してみるなど、悩むことが多かったそうです。「グルテンを入れるよりも、アルファ化した米粉や鶏卵の膨張性をうまく利用すれば良いというのは後になってから気が付きました」と道端さん。
さまざまな試行錯誤の中で、最適な米粉を選定するのがもっとも大変だったそうです。
「今、米粉の市場はとても発展してきて種類も多くなり、最適な米粉を選ぶのが大変でした。でも、さまざまな特性の米粉があったからこそ、納得のいくものを見つけることができました」と道端さんは語ります。
東あられ本鋪では、これまで米を原料にした商品を数多く手掛けてきましたが、米粉を使用した商品ははじめてとのこと。
「これまでのあられなどの米菓と、今回の米粉を使った商品の製造工程はまったく違います」と小林さん。そこで、新商品の量産化のために、米粉商品開発等支援対策事業の補助金を活用して、新たに成形機やオーブン、包装機などを導入しました。
社内での試食でもとても評判が良かった「米粉クッキー」「米粉焼きドーナツ」。まずは両国本店での販売を開始し、今後、支店での販売や冷凍化によるECショップでの販売も検討中。さらなる米粉商品の開発にも力を入れていくそうです。
「まずは大きな目標として、米粉の使用量を増やして年間10トンは使うようにしたいですね。流通を広げるために、グルテンフリーのものからグルテンレスのものまで、米粉の使用割合を少し変えた商品をつくっていきたいです。店頭加工で即食としての提供や、パッケージして直営店やECでの販売、一般小売への流通、さらには輸出などの展開も考えています。また、あられ・おかき・せんべいなどを製造する際の端材を使用して、あられ屋ならではの商品もつくっていきたいと考えています」と小林さん。
そこですかさず「ちょうどいま『米粉のフロランタン』を考えています」と道端さん。すでに新たなチャレンジが始まっているようです。