レンチンだけで手軽に食べられる冷凍の米粉スパゲティ

レンチンだけで手軽に食べられる冷凍の米粉スパゲティ

岡山県で米粉の製造・販売を担う株式会社シーワンが、電子レンジで温めるだけで簡単に食べられる冷凍の米粉スパゲティを開発しました。開発を担った米粉事業部部長の田中満さんに、その経緯や米粉への思いを伺いました。

目指したのは小麦粉のスパゲティに近い“再現性が高い”冷凍麺

「電子レンジで温めるだけで食べられる冷凍の麺類は、コンビニやスーパーで多数販売されています。でも、その中でグルテンフリーの米粉麺は見かけたことがありません。小麦粉を使用した冷凍麺は当たり前の時代になりましたが、“グルテンフリー”や“米粉100%”といったジャンルは未発達です。それらが普通に買える世の中にしていきたいという思いで開発しました」と田中さんは語ります。

「米粉を使った乾麺や生麺のスパゲティは、すでに市場に存在しています。また、冷凍の米粉麺で、お湯で温めて調理するものもあります。しかし、ソース付きの冷凍の米粉スパゲティで、パッケージのまま電子レンジ調理のみで済む商品はなかなか見かけません。アレルギーなどにより小麦粉を食べられない方にも、小麦商品では当たり前の食文化を楽しんでほしいとの思いで、米粉を使ったグルテンフリー商品の開発を開始しました」と田中さん。いかに小麦粉のスパゲティに近づけるかにこだわったそうです。

目指したのは小麦粉のスパゲティに近い“再現性が高い”冷凍麺
目指したのは小麦粉のスパゲティに近い“再現性が高い”冷凍麺

「味も調理法も製造方法も、小麦粉のスパゲティに近い“再現性が高い”ものを目指しました。小麦が食べられない方にも、コンビニの冷凍スパゲティのおいしさや手軽さをそのまま感じていただきたい。そして今後、製造規模の拡大や米粉スパゲティ用のミックス粉自体の販売を考えたときに、普通のスパゲティと同じ製法で、同じ製造機器が使えるようにしたいと考えました」(田中さん)

開発の結果、極めて小麦粉のスパゲティに近い商品が出来上がりました。
「うちの子どもたちもおいしそうに食べています。一番感謝されたのが、アレルギーをお持ちの男性です。それまで食事を管理していた奥さんが入院されてしまい、何を買って食べたら良いかわからないときに当社の米粉スパゲティに出合い、『これがあれば安心』とリピーターになってくださいました」と田中さん。調理が苦手な方でも手軽に食べられる冷凍米粉麺は、顧客の心を掴んだようです。

開発では「電子レンジで温めるだけ」の難しさに直面

しかし、開発の道のりは険しかったそうです。
「これまでに冷凍の米粉うどんを開発したことがあったので、順調に進められるかと思いましたが、そうではありませんでした。米粉うどんは、お湯で茹でて調理をしますが、今回の米粉スパゲティは、パッケージのまま電子レンジで温めます。熱の入り具合がまったく異なるので、試作すると切れてしまったり、澱粉が流出して麺同士がくっついてしまったり。最初の試作の頃は食べられるものではありませんでした」と田中さんは当時を振り返ります。

開発では「電子レンジで温めるだけ」の難しさに直面

電子レンジで温めると、麺は芯の方からも加熱され膨張したり、中の成分が染み出したりします。そこで、製麺する際の加水率を変えたり、米粉に加える澱粉や油などの比率や材料を変えたりなど、試行錯誤に半年ほど要したそうです。
その間に米粉商品開発等支援対策事業の補助金を活用して、パスタマシンとパックシーラーを導入し、製造体制も整えました。

また、今回の商品は開発した米粉麺にミートソースを乗せています。こちらはグルテンフリーにこだわったものを他社から取り寄せました。
「ペペロンチーノやカルボナーラなど他の人気のソースはアレルギー対応のものが少なく現在も模索中です。現状、工場内でソースの調理が難しいため他社から取り寄せていますが、将来的にはソースのバラエティを増やしていく予定です」と田中さん。

今後は飲食店への直販やうどん・中華麺の開発も

今後は飲食店への直販やうどん・中華麺の開発も

「現状の商品はソース入りのものですが、この麺だけを使いたいという飲食店からの引き合いもあります。その場合、パッケージをかさばらない袋状のものにしたいのですが、パッケージが違うと電子レンジで調理がうまくいかないため、成分や水分量の調整などテストを繰り返しています」

さらに、電子レンジで温める米粉麺として、うどんや中華麺の開発にも取り組んでいくそうです。
「米粉スパゲティと同様に、できるだけ小麦粉の麺を再現していきたいと考えています。うどんなら、米粉に塩水を加えて圧力をかけてつないでいく。中華麺であれば、かん水を加えてラーメンらしさを再現したい。でも、かん水を少し入れるだけで、生地がうまくできません。製麺メーカーさんにもアドバイスをもらいながら試行錯誤していますが、まだまだ調整が必要です」

さまざまな麺に挑戦するには訳があります。
「グルテンフリーの市場は、それぞれの商品ジャンルでの需要はある程度限られていると思います。なので、いろんなジャンルの商品を幅広くつくっていかないと規模の拡大はできません。当社ではそのための開発を続け、最終目標としては、うどん、中華麺、スパゲッティで月間各1万食、トータルで月間3万食の販売ができればと考えています」と田中さん。試作・研究の日々がこれからも続きます。

今後は飲食店への直販やうどん・中華麺の開発も