培ってきたノウハウを生かし、県産ブランド米の玄米粉を開発

培ってきたノウハウを生かし、県産ブランド米の玄米粉を開発

国内有数の米の生産量を誇る山形県。県内で栽培されている「つや姫」や「はえぬき」といった品種は、ブランド米として全国的な人気を得ています。吉田製粉株式会社(以下、吉田製粉)では、地元産の安心安全な米を使い、米粉やもち粉などを製造している製粉会社です。同社では、今回の米粉商品開発等支援対策事業を活用して、新たに玄米専用の製造ラインを構築し、新製品の開発に取り組みました。創業75年、“お客様の満足と発展に寄与する”ことをモットーに、良質な製品をつくり続けてきた吉田製粉。新製品開発に挑戦した経緯や、地元産米を使った製品づくりについて、取締役社長の吉田伸一さんに伺いました。

高まるニーズや取引先の声を受け、玄米粉の専用ラインを新設

1950年に創業した吉田製粉は、これまで主に和菓子に使う米粉やもち粉、道明寺粉などを製造してきました。地元山形県の企業をはじめ、東北・関東・関西方面などの会社とも取引を行っています。

県産米を積極的に使用して製品づくりを行っている同社では、今回、玄米を製粉する製造ラインを新たに構築し、新製品となる玄米粉「米(まい)ふらわぁ W玄米」を開発しました。これまで和菓子用の粉をメインに製造してきた同社にとって、本格的な玄米粉の製造は初めてでした。

高まるニーズや取引先の声を受け、玄米粉の専用ラインを新設
高まるニーズや取引先の声を受け、玄米粉の専用ラインを新設

そのきっかけは、日頃から取引のある企業との情報交換の場で、玄米粉をつくってもらえないかという相談を受けたことだったと吉田社長は振り返ります。
「お客様からの要望に加え、近年の健康志向の高まりや、小麦アレルギーをもつ人やグルテンフリーの製品を求めている人が増えていることなどから、私たちも玄米粉のニーズを実感しました。さらにパンや洋菓子に米粉を使った製品の増加や用途の多様性、製粉機器の性能が向上し小麦粉と同等の製粉微加工が可能であることなどから、当社でも玄米粉の製粉に挑戦してみようと決断しました」

そこで吉田製粉では、玄米を加工する専用ラインの構築に着手。事業を活用して、米に混入している異物を検知・除去する光選別器や洗米タンク、張込専用昇降機などを整備しました。
吉田社長は「機器の設置や製造ラインの稼働調整などに少し時間がかかってしまいましたが、ようやく本格的な生産体制が整いました」と話してくれました。

積み重ねてきた技術と経験をもとに、地元産の米を積極的に活用

新製品「米ふらわぁ W玄米」は、山形県のブランド米「はえぬき」を100%使用しています。「はえぬき」は「あきたこまち」をベースに山形県で開発された品種で、収量が多く、さっぱりとした味わいが特徴です。日本穀物検定協会による食味ランキングでは、1996年から連続20年以上にわたり「特Aランク」に認定された実績があり、県内を中心に広く親しまれています。

積み重ねてきた技術と経験をもとに、地元産の米を積極的に活用

吉田社長は、かつて同社で開発し「やまがた米粉食品コンクール」で山形県知事賞を受賞した焙煎玄米粉(商品名:手軽に飲むだけ!焙煎玄米粉)の経験が、今回の開発にも生かされていると話します。
「胚芽やぬかが付いたままの玄米は、白米よりも固く、油分を含んでいるため、白米に比べて微細に製粉することが格段に難しいのですが、焙煎玄米粉で得たノウハウを生かすことで、デンプンの損傷を抑えた高品質の玄米粉に仕上げることができました」

さらに「焙煎玄米粉には、農林水産省のガイドラインに則って育てられた特別栽培米を使用しています。今回開発した玄米粉も新規需要米を使用しています。山形で操業している製粉会社として、地元で育った米でつくる製品が地域を盛り上げ、さらに米の消費拡大にもつながればうれしく思います」と製品づくりへの思いを語ってくれました。

取引会社と築いた信頼関係を製品づくりに生かす

取引会社と築いた信頼関係を製品づくりに生かす

創業75年を数える吉田製粉。吉田社長は、長年積み重ねてきたノウハウが会社の強みであると同時に、取引会社との信頼関係も欠かせないと話します。
「米は同じ品種でも、天候などによってその年の出来ばえが変わります。また、同じ年に収穫した米でも平野部と山間部では成分や水分量が微妙に異なることがあります。当社ではこうした変化を詳細に分析・データ化して調整や改良を行い、常に同じ品質の製品を提供できるように心がけています」

さらに長年取引をしている製菓会社や菓子店と、活発に意見交換を行っているとのこと。
「長くお付き合いをしている会社とは、お互い気兼ねなく意見や要望を伝え合うことができます。様々な観点から得る貴重な情報や意見をもとに調整を進め、お客様によりよい製品を提供したいですね」

今回、専用ラインを構築して開発した「米ふらわぁ W玄米」も、取引のある会社にサンプルを渡して仕上がり具合や使い勝手をフィードバックしてもらう予定です。

吉田社長は「当社製品の品質向上には、お客様との信頼関係が欠かせません。これからも貴重な意見を製品づくりに生かしていきたいと考えています。『米ふらわぁ W玄米』が吉田製粉を代表する魅力的な製品として成長し、多くのお客様に使ってもらえるように頑張ります」と今後の展開に期待を寄せています。

玄米粉は今後も需要の伸びが期待される米粉製品の一つ。吉田製粉では、今後も高品質な製品づくりに取り組み、地域への貢献と米の消費拡大に取り組んでいきます。