米粉の洋菓子を架け橋に、社会に、未来に“心”をつないでいく

米粉の洋菓子を架け橋に、社会に、未来に“心”をつないでいく

アンティーク雑貨や家具が配され、木のぬくもりに包まれた店内でお客様を心地よくお迎えするルラシオン・デュ・クール アミエルは、大阪府交野市の閑静な住宅街で長年愛され続けてきた地元で評判の洋菓子店です。
「ルラシオン・デュ・クール」とはフランス語で「心をつなぐ」を意味する言葉で、同店が生み出すケーキやカステラ、クッキーなどの洋菓子が、心と心、人と人をつなぐ架け橋になってほしいという思いを込めて名付けられました。その架け橋に今回の米粉商品開発等支援対策事業を活用して、米粉を使用した洋菓子が加わることになりました。
米粉を本格的に使った商品開発は今回がはじめてだったという同店を運営する株式会社アミエル(以下、アミエル)代表取締役の大川原和弘さんに、米粉の洋菓子をどのような架け橋にしていきたいのか、その思いを聞きました。

自分の経験を生かして、社会のためにできること

「異業種交流会に長年参加しているつながりで、さまざまな方とお話しする機会があります。その中で米粉菓子をつくっている母娘にお会いしました。お嬢さんが健康に悩みを抱えていることで米粉を使って健康に配慮した食品をつくりたいとお考えになったそうです。近年は小麦や卵のアレルギーに悩む人たちが増加傾向にあるし、当店のお客様からも健康志向の商品をリクエストされることが増えました。その母娘の実体験をお聞きするうちに自分たちでも社会のためにできることがあるはずという思いが強くなりました」。大川原さんは米粉を使った洋菓子開発のきっかけをこう話します。
パティシエとして30年以上の経験を持つ大川原さんのキャリアの中で、米粉を使用した経験はあったものの、小麦粉を使用しない菓子づくりは今回が初めての経験でした。

自分の経験を生かして、社会のためにできること

新たに開発されたのは「米粉ロール」「米粉フィナンシェ」「米粉マドレーヌ」「米粉サブレ」「米粉クッキー」の5種類。
米粉ロールは小麦粉を米粉に100%置き換えて、京都産のこだわり卵と赤砂糖で焼き上げ、ふんわりした生地に仕上がりました。健康面に配慮し生地とともに巻き上げる生クリームは、健康面に配慮し低糖・低脂肪の北海道産を使用しています。プレーン、抹茶、和三盆、アールグレイが用意され、味のバリエーションを楽しむことができます。
米粉フィナンシェも小麦粉を米粉にすべて変えて、米粉ならではのもっちり感を生み出すことにこだわったとのこと。隠し味に濃厚生クリームを配合し、しっとりしたコクのある豊かな味わいを実現しました。その一方で「小麦粉に比べると米粉はどうしても膨らみが少ないので、保水力など小麦粉と米粉の違いを検証しながら、焼き上げの方法を工夫しました」と、大川原さんは完成までに試行錯誤を繰り返したと話します。
米粉クッキーも同様で、小麦粉に比べ硬くなってしまう食感をアーモンド粉の配合により軽くするなど、納得のいく口どけになるまでさまざまな試作にチャレンジしたそうです。

米粉の菓子づくりは、まだまだ研究開発の余地がある

米粉の菓子づくりは、まだまだ研究開発の余地がある

米粉とじっくり向き合ってその特性を学びながら、味や食感を追求していった大川原さんのこだわりは、米粉サブレにもよく表れています。「サブレには2種類の米粉を使用し、サクサク食感の白米粉を内側に閉じ込めて、周囲を焙煎玄米粉で包み込むサブレに仕上げました。この製造に必要な包餡機を補助金を活用して導入しました。米の風味と和三盆の味わいをしっかり出せた自慢の一品です」

納得できる米粉の洋菓子を生み出せたと話す大川原さんですが、米粉を使った洋菓子づくりはまだまだ発展途上とも話します。「口どけの良さなど米粉だけでは実現が難しい菓子はまだあると思います。しかし、小麦粉は長い歴史の中で進化してきました。米粉も粒度の違いなどで食感や味などさまざまな特徴をもった菓子を生み出せる余地は十分にあると思います」

米粉の可能性について話す大川原さんはさらにこう続けます。「今回の補助金をお客様アンケートにも活用し、実におよそ9割のお客様から米粉を使った菓子に関心があるというお声を聞けました。需要は間違いなく高いと感じました。そのお声に応えるべく今後はフランチャイズ化による多店舗展開に取り組み、より多くのお客様にアミエルの米粉菓子をお届けしたいと考えています。米は産地や銘柄によってさまざまな個性があります。米粉はその個性を活かすこともできるし、ブレンドすることで新たな個性を引き出すこともできる食材なので、お酒に合う大人のお菓子など、老若男女それぞれの世代に合わせた米粉洋菓子をつくっていきたいと考えています」

米粉菓子の伝道師として目指す地域活性

異業種交流会で出会ったフルーツ農家の方から市場に出せないフルーツの有効活用に悩んでいると聞いた大川原さんは「全国に足を運んで、フルーツ農家さんの悩みと洋菓子づくりをコラボレーションしていきたいと考えています。市場に出せないフルーツや地元素材を使用して、フードロス削減だけでなく地域活性もお手伝いしていきたい」とさらなる展望を語ります。

一級菓子技能士・職業訓練指導員の資格を持つ大川原さんは、フランチャイズ化を通じて地域の人たちに菓子づくりの“ノウハウ=心”を伝え、雇用創生や人材育成というカタチでの地域貢献も目指しているそうです。米粉菓子の伝道師として、これからも続々と生み出していく米粉洋菓子を架け橋に、人と人、人と社会、そして未来へとさまざまな“心”をつないでいく大川原さんの活躍が楽しみでなりません。

米粉菓子の伝道師として目指す地域活性