のどかな里山が広がる田万里町(たまりちょう)で栽培された米を使い、やさしい味わいに仕上げたグルテンフリーのドーナツです。一つひとつ丁寧に手づくりしており、もちもち&ふわふわとした食感の発酵タイプと、ほろりとした食感と口溶けが魅力のオールドファッションタイプで展開。町内にある実店舗では、定番フレーバーから期間限定品まで、常時10種類以上をラインナップしています。安心安全な素材を使いながらも、カラフルでかわいらしいこだわりのビジュアルにも注目です。全品、卵・保存料・着色料不要。
米粉ドーナツ各種 260円(税込)~/1個
※価格は種類により異なります。
・田万里家/Tamari Ya RICE DONUT
広島県竹原市田万里町1336-4 Tel.050-8887-2128
高齢化や若年層の都市部への流出など様々な要因から、農家は慢性的な人手不足に悩まされ、次世代の担い手の確保が懸念されています。昨今は、地域コミュニティの維持が難しい状況に陥っている「限界集落」も増えています。こうした状況を解決すべく、農ライファーズ株式会社(以下、農ライファーズ)では、農村で暮らす人を増やし、地域外から訪れる人の流れをつくり、まちに賑わいを創出する活動に取り組んでいます。
その一環として、同社では広島県にある小さな集落・田万里町で米粉ドーナツ専門店「田万里家/Tamari Ya RICE DONUT」を運営し、地域の活性化と米の消費拡大を目指す中、県内外からもお客様が訪れるようになり、人の流れの原動力となっています。マネージャーとして米粉ドーナツの開発や店舗運営を担当する農村事業プロデュース部の井本彩織さんに、米粉ドーナツ開発の経緯や米づくりで地域再生を目指す想いを伺いました。
広島空港から車で10分ほどという場所にありながら、のどかな里山風景が広がる田万里町。井本さんたちは、ここで米粉ドーナツ専門店「田万里家/Tamari Ya RICE DONUT」を運営しています。
井本さんたちがつくるドーナツは、米粉を約80%使用し、大豆粉やホワイトソルガム、こめ油、オーガニック素材で仕上げています。卵不使用のグルテンフリーなので、小麦や卵にアレルギーをもつ人も楽しめます。
商品は、米粉のもちもち・ふわふわとした食感を生かした発酵タイプと、お米のやさしい甘みと軽い口溶けを楽しめるオールドファッションの2タイプがあり、常時10種類以上用意しています。米粉には、田万里町の田んぼで育ったコシヒカリを系統にもつ品種「にこまる」を使用しています。
店で販売している米粉ドーナツについて、井本さんは次のように話します。
「グルテンフリーを謳った食品は、余計なものを極力加えず、素材をそのまま使ったものが多いのですが、どうしても見た目が地味になりがちです。でも私たちは“グルテンフリー=シンプルで地味”とは考えず、素材を吟味してカラフルでかわいらしいビジュアルに仕上げました」
店内に並ぶ米粉ドーナツを見ると、確かにカラフルで華やかなデコレーションが目を引きます。どの商品もオーガニック素材を使ったコーティングやトッピングを施しているそうで、ホワイトチョコレートにビーツを加えてピンクにしたり、有機抹茶を使ってきれいなグリーンをつくっています。トッピングにはエディブルフラワーやオーガニックのナッツやドライフルーツを使っています。
商品には「彩(さい)」「花」「森」「土」など、自然をイメージした漢字を使った名前を付けたこともこだわりの一つだそうで、井本さんは「メインターゲットである若い女性に商品を知ってもらうためには、SNS映えするビジュアルやおしゃれなネーミングも大切な要素と考えています」と話してくれました。
農ライファーズでは、今回の米粉商品開発支援対策事業を活用して、急速冷凍庫などの機器を導入しました。
井本さんは「店で手づくりしている米粉ドーナツは、一日につくれる数が限られてしまいます。週末は品切れになる商品もあり、遠方から来てくださったお客様がお目当ての品を購入できなかったことも…。しかし、急速冷凍庫を導入したことで、その日の状況を見ながら商品を提供できるようになりました」と話します。
約5,000個を冷凍保存できるようになったことで、イベントや催事など短期間で大量に必要な場合にも柔軟に対応でき、当日限りの消費期限も約1カ月に伸びました。ほかに導入した機器も、製造業務の効率化やスムーズな流通、販路拡大に役立っています。
さらに、冷凍によって本来の食感や風味が変わらないように、米粉ドーナツのレシピも見直しました。
「他店で販売している米粉ドーナツを比較検討し、米粉を使ったレシピをクッキングスクールなどで紹介している料理研究家に技術提供やレシピ指導をいただきました。おかげで冷凍してもできたての味をキープできる商品になりました」と井本さんは話してくれました。
冷凍保存が可能になった米粉ドーナツについて、井本さんに今後の展開を伺うと、「冷凍保存で持ち運びしやすくなったので、田万里町の店舗以外でも積極的に販売していきたいと考えています。まずは地元である広島の駅や空港、イベント会場など、人の流れが多いスポットを利用して、皆さんに商品を知ってもらいたいですね。そして新たな販路獲得や新店舗のオープン、さらに冷凍品での通信販売につなげて行ければ」と目標を語ります。
田万里町での事業展開については、「私たち農ライファーズは、この地に暮らす人たちが守ってきた生業や地域の文化を次世代へつなぐお手伝いをしたいと考え、様々なアプローチを試みています。その一つが米粉ドーナツの製造販売です。田万里町は“田んぼがたくさんある里”から名付けられたといわれていますが、近年は高齢化が進み『限界集落』の危機に瀕しています。しかし、地域として魅力を失った訳ではありません。米粉ドーナツで田万里町を知ってもらい、多くの人が町を訪れ、地域に賑わいが戻ってくることを期待しています」と地域再生への想いを話してくれました。
最後に日本の米や米粉の可能性について伺いました。
「海外では“日本の米は安心安全でおいしい”と評価されています。グルテンフリー食品への関心も高いので、日本発の米製品は今後も需要が高まっていくと考えています。当社でも、オランダに店舗を構えて米粉ドーナツを販売していく計画を進めています」と展望を語ってくれました。
農業支援や商品開発を通して、米の消費拡大と地域再生に取り組む農ライフファーズ。今後も様々な活動に注目が集まります。