秋田県産ブレンド米粉で、小麦粉パスタ同様の調理法と味わい

秋田を拠点とする地域商社ノリット・ジャポン株式会社は、「命の根」を意味する「稲」から名付けた米加工品ブランド「IINOCHINE~イノチネ」を通じて、米どころ秋田の魅力を発信しています。10年前に誕生したこのブランドを再始動させるべく、新たな一歩として米粉麺「オリジナルブレンド ライスパスタ」を開発。食を軸とした地産品の企画・開発・販売を通じて、地方のブランディングに取り組んでいます。

試作を重ねて見出した、米粉パスタのおいしい配合

同社が米粉麺の商品企画・開発に着手したのはおよそ3年前。米の品種選定から、製粉方式、麺の製法、マーケットや販路などのリサーチを重ねてきました。

プロジェクトオーナーの加賀谷大樹さん(同社営業企画部)は、次のように振り返ります。
「当初の開発コンセプトは、代表的な米粉麺であるベトナムのフォーの生麺を、現地と同様の製法で国内製造することでした」
しかし、押し出し式の麺はできても、現地のように米粉の生地を薄く延ばして裁断する手段が見つからないことに加え、生麺は消費期限の短さがネックで販路が飲食店に限られるなどの理由から方向転換。小麦粉のパスタと同じ調理法で、同様の食味・食感を実現する米粉の冷凍パスタを目指しました。

試作を重ねて見出した、米粉パスタのおいしい配合
試作を重ねて見出した、米粉パスタのおいしい配合

「パスタに適した米粉の品種をいろいろ試した結果、高アミロース米品種の『あみちゃんまい』が、麺にして食べたときの味と香りが小麦粉のパスタに近く、とてもおいしかった」と加賀谷さん。秋田を代表する米品種「あきたこまち」の米粉も検討しましたが、香りと甘みがあるゆえにパスタとしては米の風味が勝ることから、その持ち味も生かしつつ新たにパスタ専用ブレンド米粉を開発する方針を打ち出しました。

「パスタ用に開発したオリジナルブレンド米粉は玄米粉100%でつくられています。精白米の米粉と玄米粉の麺を食べ比べるとどちらもおいしく、麺の色味や食味もほとんど差がなかったので、精米の工程が省けて栄養価が高いなら玄米粉で行こうという結論に至りました」と言葉を続けます。

残る懸案は米粉の配合や製粉・製麺方法です。令和5年度米粉利用拡大支援対策事業により、幾度もの試作を重ね、米粉の配合から製粉・製麺方法まで、あらゆる組み合わせを食べ比べながら検証。その結果、理想とする食感と味わいを実現する米粉パスタの配合を確立することができました。

水稲栽培からの商品開発、パスタソースで仕上げる

「オリジナルブレンド ライスパスタ」の商品開発は、米粉にするための水稲品種「あみちゃんまい」の栽培から始めたことも大きなチャレンジでした。

「秋田県にまだ『あみちゃんまい』の生産者がいなかったという理由もありますが、自分で田んぼに入って米をつくってみないと、商品やブランドに説得力がないと思って」と加賀谷さんは話します。ノリット・ジャポンが秋田県大仙市の農業法人から田んぼを借り、日々の管理などは同法人に委託したうえで、加賀谷さんをはじめプロジェクトのメンバーが田植えや稲刈りに通いました。

水稲栽培からの商品開発、パスタソースで仕上げる
水稲栽培からの商品開発、パスタソースで仕上げる

「米の有機栽培にもトライしました。雑草防除のためにシートを張るなど独特の工程があることや、周囲の田んぼの影響を受けたり、逆に影響を与えてしまったり、結果として歩留まりが良くないことなど、いろいろな発見がありました」と加賀谷さん。

令和4年度に試験栽培から始まった「あみちゃんまい」は、令和5年度産として商品に使う全量を収穫。加賀谷さんらが収穫した有機栽培玄米が、初回製造ロットに使われています。

パスタに適した麺の太さや形状にも試行錯誤を重ね、中太麺のスパゲッティに着地。小麦粉のパスタと同じ調理法でどんなパスタソースとも合いますが、この麺に最も合うおすすめとしてアマトリチャーナソース(冷凍品)を、秋田県産のベーコンを使って著名なシェフ監修のもと開発し、1食分のセット商品としたのも「おいしさ」を届ける工夫のひとつです。

INOCHIOブランドに込めた思いをパッケージで訴求

「米粉麺は意識の高い人たちが食べるものだと思っている方に、ぜひこの『オリジナルブレンド ライスパスタ』を届けたいです。おいしいからまた食べたいと思ってもらうことで、国産米粉の消費拡大に繋がり、おまけに栄養面のサポートやグルテンフリーにも繋がるという順序で訴求していきたいです」と加賀谷さんは新商品のマーケティングについて話します。

ブランディング・クリエイティブ制作事業も展開する同社では、NOCHINEのブランドコンセプトを伝えるために、自社のアートディレクターの監修で3食入り商品のパッケージも制作。上質感のあるデザインが、土産物店や道の駅で目を引きます。

INOCHIOブランドに込めた思いをパッケージで訴求
INOCHIOブランドに込めた思いをパッケージで訴求

「多くの人に米粉の商品を手に取ってもらえるように、米どころの秋田は米粉の加工品もおいしいというイメージをこのライスパスタをきっかけに広げていきたいです」と加賀谷さん。今後もINOCHINEから繰り出される米粉商品から目が離せません。