
ドーナツや焼き菓子などを製造・販売する北川製菓では、冷凍ドーナツ「FUWADO!(ふ・わ・ド!)」を開発。同社で初となるイーストタイプのドーナツは、生地に加えた米粉や生クリームがふんわり・しっとりとした食感を生み出しています。使いやすい個包装で、室温(25℃前後)で30分ほど自然解凍すれば食べられる手軽さも魅力です。長期保存が可能で商品管理や流通にも便利な冷凍ドーナツには、同社が長年培ってきたさまざまな技術が活かされています。
FUWADO!(ふ・わ・ド!)
グレーズ 184円(税込・参考価格)/1個56g
チョコ 184円(税込・参考価格)/1個51g
・自社ECサイト
詳しくはこちら
・ル・ノール・リヴィエール
長野県上伊那郡宮田村1934-5
Tel.0265-85-4145

長野県に本社と工場を構える株式会社北川製菓(以下、北川製菓)。こちらの会社では、上質な素材を使用したドーナツやバウムクーヘン、マドレーヌといった焼き菓子の製造・販売を手がけています。今回、米粉商品開発等支援対策事業を活用して製造ラインに新たな機器を整備し、同社で初となるイーストタイプの冷凍ドーナツ「FUWADO!(ふ・わ・ド!)」を開発しました。イーストタイプのドーナツは、生地の配合から解凍したときの食感や味わいに至るまで、これまで製造してきたケーキタイプと工程が異なる部分も多く、何度も試作や検討を重ねたそうです。製品化までの道のりを、取締役副社長の守谷光司さんに伺いました。
1958年に創業した北川製菓は、本社がある長野県に直営店「ル・ノール・リヴィエール」を構えるほか、全国のスーパーや量販店、生協などでも商品を販売。一部商品はOEMでも展開しています。牛乳や卵は地元・長野県産を使用するなど、素材からこだわってつくる製品の数々は、幅広い世代の人から愛されています。
「FUWADO!(ふ・わ・ド!)」の開発に携わった守谷光司さんは「イーストタイプのドーナツは、当社で以前からつくってみたいと考えていたものの一つでした。これまで手がけてきたケーキタイプのドーナツとは異なる食感や味わいをもつ製品を開発することで、当社の商品ラインナップのさらなる充実を目指しました」と開発のきっかけを話してくれました。


「FUWADO!」は2025年6月のテスト販売を経て、7月から全国で販売を開始。その名のとおりふんわりとした食感が特徴の冷凍ドーナツは、生地に米粉が0.6%程度(配合率は商品により異なる)ブレンドされており、口溶けのよさも魅力となっています。
発売開始時は定番のチョコとグレーズの2種類でしたが、チョコレートを線状にかけた「FUWADO!ティグレ」や、生地にクリームを注入した「生FUWADO!」といった新しい味も商品化を進めているとのこと。北川製菓ではこれらの開発にあたり、米粉商品開発等支援対策事業を活用して駒ヶ根工場の製造ラインに、クリームの注入やチョコレートを線状にかける工程で使用する4列上刺注入器やデコレーターなどを整備しました。
北川製菓では、すでに米粉を使った商品を製造販売しています。米粉は小麦粉に比べて吸水率が高い一方で、吸油率は低くなります。そしてそれが食感や風味にも関わってきます。守谷さんは、ドーナツ生地に米粉を使うことの難しさを次のように話してくれました。
「『FUWADO!』は当社初のイーストタイプのドーナツということで、これまでなかった問題もありました。生地づくりではブレンドする米粉の割合を細かく調整し、何度も試作を重ねながら最適なバランスとなる配合を追求しました。また解凍して食べるため、油っぽくならないようにするなど“できたて感”にもこだわりました。これらの課題には既存製品で培ってきたノウハウを生かすことができたので、ゼロからのスタートではありませんでしたが、今回の開発で一番時間をかけた部分でした」


さらに「FUWADO!」という商品名とパッケージデザインについても、「イーストドーナツの特徴である“ふわふわ感”がお客様に伝わるように、軽快で楽しい言葉の響きや、気軽に手に取ってもらえるデザインを考えました」と、新商品に込めた想いを話してくれました。
北川製菓では、2025年7月に東京ビッグサイトで開催された海外バイヤー向けの展示会「“日本の食品”輸出EXPO」に出展。多くのバイヤーとのやりとりを通して、冷凍ドーナツが海外市場で魅力的な商品になるのではと感じたそうです。
守谷さんは「日本ではドーナツはおやつや間食というイメージがありますが、海外では朝食やランチで食べることも多いようです。展示会で海外バイヤーの皆さんに『FUWADO!』を試食していただいたところ、“ふんわりとした食感が新鮮”という当社が目指してきた部分への評価に加えて、“冷凍食品でここまでおいしくできるのか”といった驚きの声も多くいただきました。このことから、これまでとは違う“新しい”ドーナツを当社で提供できるのではと考えました」と手ごたえを話してくれました。


そこで北川製菓では、次のステップとして2026年3月に東京で開催される展示会「FOODEX JAPAN 2026」に出展を決め、準備を進めています。
「先の展示会で冷凍ドーナツの反響が大きかったことから、『FOODEX JAPAN 2026』では冷凍食品をメインにした展示を考えています。『FUWADO!』をはじめとする冷凍品が、海外バイヤーの皆さんにも、当社にとっても大きなビジネスチャンスにつながることを期待しています」
最後に、今後の米粉製品開発について展望をお聞きしました。 「『FUWADO!』に関しては、フレーバーのバリエーションを増やすことで当社を代表するブランドに育てて行きたいと考えています。当社における冷凍ドーナツのシェアは2割ほど。今回の支援事業で新たな製造ラインを整備できたので、これをフル活用して冷凍品分野の強化を進めていきたいですね。海外では、米という日本らしい素材を使うことでドーナツの新しいおいしさを知ってもらえればうれしく思います」
今後の米粉の使用については、「当社製品で使用している米粉の割合を増やすことで、米全体の消費拡大に貢献できればと考えています。また米粉は品種や粒度によっても仕上がりが異なるので、産地や品種が異なる米粉も試してみたいですね。米粉を使った新商品の開発や既存製品の品質向上など、やりたいことがたくさんあります」と話してくれました。
長年愛されてきたおいしさをこれからも。今後も北川製菓の商品展開に注目です。