風味豊かな「和ベーグル」で米粉の魅力を発信。さらなるファン獲得を目指す

風味豊かな「和ベーグル」で米粉の魅力を発信。さらなるファン獲得を目指す

ベーグルをはじめ、クレープやタピオカドリンクの専門店などを全国で展開している株式会社アルテゴ(以下、アルテゴ)。同社で運営しているベーグル専門店「BAGEL & BAGEL」では、2023~24年シーズンから、米粉を配合したベーグルを期間限定で販売しています。
2024~25年シーズンは、米粉を70%使用し、抹茶やきなこ、黒豆といった素材を合わせた和風仕立てのベーグルを販売。米粉の特徴であるもちもちとした食感と甘みを楽しむことができると、評判も上々です。さらに一部店舗では、併設するカフェで「米粉70%」を使ったメニューを提供。今回販売した米粉のベーグルについて、開発のきっかけと新しい米粉の楽しみ方についてお聞きしました。

米粉x和素材で、味も食感も新しい「和ベーグル」を開発

“ベーグルを通して新しい価値を届ける、発信していく”をコンセプトに掲げ、厳選素材を使って独自の製法で製造するベーグルを、専門店「BAGEL & BAGEL」や自社サイトで販売するアルテゴ。定番フレーバーから期間限定品まで、バラエティ豊かに展開するベーグルは多くの人に愛されています。
小麦粉と水、塩で生地をつくるベーグルは、ヘルシーフードとして女性を中心に人気を集めています。アルテゴでは、このベーグルに米粉を使用することで、新たな食感や風味を楽しめる製品を開発しました。

米粉x和素材で、味も食感も新しい「和ベーグル」を開発

「米粉を70%配合した生地は、小麦粉でつくるベーグル以上にもちもちとした食感を楽しむことができます。トーストすることで外側はお餅のような香ばしさが増し、中はクラムがほどよくとろけてしっとりもちもち、かみしめるほどに甘みが広がります」と話すのは、マーケティング本部副本部長の市岡直子さんです。

市岡さんとともに開発を手がけたマーケティング本部クリエイティブセクションの小島由紀子さんに使用している米粉について伺ったところ、「米粉は新潟県産の『こしいぶき』を使用しています。『こしいぶき』は『コシヒカリ』をルーツにもち、同様の食味を受け継いでいることから“コシヒカリの孫”ともいわれている品種です。当社では米粉ベーグルの開発にあたり、いろいろな品種の米粉を試しました。その結果、『こしいぶき』を採用することにしました」と教えてくれました。

2024~25年シーズンは、米粉のおいしさを実感できる「米粉70%」、抹茶と小豆を練り込んだ「抹茶と小豆 -米粉70%配合-」、きなこと黒豆を練り込んだ「黒豆ときなこ -米粉70%配合-」の3種類の米粉ベーグルを販売しました。和風仕立ての2種類について、市岡さんは「当社のベーグルは女性をメインターゲットとしていることから、健康をイメージさせる素材を使いたいと考えていました。そこで人気の宇治抹茶やきなこ、さらに黒いヘルシー食材として黒豆を選びました。これらはおはぎや和菓子などで、広く親しまれている味であること、米(米粉)との相性がよいことが決め手になりました」と話してくれました。

米粉らしい“ふんわり&もちもち感”キープにひと苦労

米粉らしい“ふんわり&もちもち感”キープにひと苦労

「開発当初は、米粉100%のベーグルを目指していました。しかし米粉の配合率が高くなると、膨らまなくなってしまうという壁につき当たってしまいました。そこで米粉の配合を調整しながら試作を重ね、米粉らしい風味をキープしつつ、当社製品の特徴であるもちもち食感も楽しめる70%配合に落ち着きました」と小島さんは振り返ります。

さらに小島さんは、米粉に加える抹茶やきなこといった素材について「『米粉70%』と同じように生地をつくっても、別の素材が入ることで生地の保水性が変わってしまい、思うように膨らみが出なくなってしまったので、その調整が大変でした。また、店頭に商品を並べた際に、強いライトの光で色あせて見えないような配合にするなど、また別の苦労がありましたね」とも話してくれました。

さまざまな試作や調整を重ねて誕生した米粉ベーグルは、期間限定品として2024年11月から販売を開始。購入した人からは「昨年食べておいしかったので、今年もまた販売してくれてうれしい」「小麦粉のベーグルとは違ったおいしさを楽しめる」という声が届いているとのこと。さらに「米粉ベーグルを通年販売してほしい」という声も多くあり、米粉製品へのニーズの高まりを実感したそうです。

3種類の米粉ベーグルと同時に、カフェを併設する店舗では限定メニューとして「米粉を味わうベーグルサンドイッチとスープのセット」の提供も行いました。これはトーストした「米粉70%」にきんぴらごぼうと照り焼きチキンをサンドし、大葉やきざみのり、糸切りトウガラシを添えたものです。サンドする具材やセットで付けるスープにも和の素材を意識し、米粉ベーグルのおいしさを感じてもらえるように工夫を凝らしました。

小島さんはメニュー開発秘話として、こんなエピソードを教えてくれました。
「ご年配のお客様から、『前日の夕食で残ったきんぴらごぼうをベーグルにはさんで朝食で食べている』という話をお聞きしました。ベーグルはチーズやサーモンといった洋の食材を使うイメージがありますが、米粉ベーグルなら和食とも合うのではと考えたのが、今回のメニュー開発につながりました」
市岡さんと小島さんは、米粉でつくる和ベーグルが30~40代の女性がメインだった「BAGEL & BAGEL」の購買層をさらに広げてくれると期待を高めています。

米粉らしい“ふんわり&もちもち感”キープにひと苦労
米粉ベーグルをもっと多くの人に届けるために

米粉ベーグルをもっと多くの人に届けるために

アルテゴが取り組んできた米粉ベーグルの開発。今後の展開について、市岡さんは次のように話します。「2011年に発生した東日本大震災で、小麦アレルギーを持つ人たちが救援物資として支給されたパンを食べることができず困っていると知り、米粉を使ったグルテンフリーのベーグルを開発してみたいと考えました。“私たちに何かできれば”と思って模索を続けていたところ、2023年に農林水産省による『米・米粉消費拡大推進プロジェクト』が始動し、米粉を使った商品の開発を本格化させました。こうした活動に参画し、さまざまなシーンで米粉の魅力を広く発信することで、米や米粉のおいしさを多くの人に知ってもらえれば。さらに地産地消や食料自給率アップに貢献できればうれしく思います」

小島さんは「米粉を使った和ベーグルは、今後もフレーバーのバリエーションを増やしてラインナップを充実させていきたいと考えています。現在のベーグルは米粉の配合率が70%ですが、今後も改良を続け、当初の目標であった米粉100%のベーグルをつくりたいです。ほかにもベーグルと並ぶ当社の人気商品であるマフィンに米粉を配合する、カフェで提供するドリンクに米糀を使うなど、やりたいことがたくさんあります」と展望を話してくれました。

こうした目標のいくつかは、すでに着手しているとのこと。これからアルテゴが発信する新商品にも期待が高まります。