健康志向とおいしさを日本の米粉でつなぐピースフルな挑戦

健康志向とおいしさを日本の米粉でつなぐピースフルな挑戦

M.and.Agencyは、「食の選択肢を増やしたい」という考えのもと、アレルギー対応やグルテンフリーなど、多様な食のニーズに応える商品開発に取り組んできました。同社が手がける取り組みの一つが、ハワイ発のプラントベースレストラン「Peace Cafe Hawaii(ピース・カフェ・ハワイ)」の日本におけるライセンス管理です。そのコンセプトを踏襲した商品開発への取り組みについて、現地オーナーシェフや国内製造工場など広域にわたる関係者を代表し、Sales & Marketingの鍋田絹恵さんに話を聞きました。

ハワイ発、多様な食のスタイルを目指して

ピース・カフェ・ハワイは、ホノルル中心部に店を構え、ヴィーガンをはじめとする多様な食のスタイルを前提に、「美味しく、楽しく、ヘルシー」をコンセプトに展開しています。M.and.Agencyでは、日本展開にあたり、この思想をそのまま商品づくりに落とし込みたいと考え、その実現手段として国産米粉の活用に着目しました。

背景のひとつに、日系人を通してハワイに根付く米粉(もち粉)文化があります。スイーツを中心に米由来の粉が日常的に使われ、もちっとした食感は現地でも親しまれています。こうした文化的な親和性に加え、日本国内でも米粉への関心が高まっていることから、グルテンフリー対応を軸にした商品開発を進めることにしました。
新商品として選んだのが、主に小売向けの餃子とカヌレ。現在はラーメンの開発にも取り組んでいます。

ハワイ発、多様な食のスタイルを目指して

「餃子は、日本でもなじみ深い国民食でありながら、プラントベースかつグルテンフリーの商品はまだ限られています。ハワイではヴィーガンラーメンやヴィーガン餃子が人気であることから、日本でも同様に受け入れられる可能性があると考えました。一方、カヌレは米粉の特性を生かしやすく、近年のブームとも相性が良いことから選定しました」と鍋田さんは話します。

健康志向と食べる喜びの両立をテーマに、同社の目指す「誰もが安心して選べる食」を具体化する取り組みが始まりました。

米粉が鍵となるプラントベース商品開発

米粉が鍵となるプラントベース商品開発

ピースフルシリーズの商品開発で共通していた課題は、動物性原料が担ってきた役割を、植物性原料だけでどう置き換えるかという点でした。餃子では肉が、カヌレでは卵や乳製品が、生地や餡のまとまり、コクや食感を支えてきました。これらを使わずに、食べ手が違和感を覚えない食味に仕上げることが、開発の出発点でした。

特に餃子では、肉が生む一体感やジューシーさを植物性素材でどう表現するかが課題となりました。そこで採用したのが、餡のつなぎとしての米粉です。米粉は吸水性が高く、野菜から出る水分を適度に抱え込む特性があります。この性質を生かすことで、肉を使わなくても、餡が崩れにくく、しっとりとした状態を保つ設計が可能になりました。

開発にあたっては、ハワイのオーナーシェフが国内の製造工場に足を運び、餡のレシピや素材の組み合わせ、バランスを細かく調整。大豆ミートをベースに、堅豆腐やおからを加え、隠し味としてみそを用いることで、植物性原料のみでもコクと旨みのある味わいに仕上げています。米粉の使用量は餃子1個あたり約1%と少量ですが、食感と構造を支える重要な役割を果たしています。

一方、ピースフルカヌレでは、乳製品・卵・小麦粉を使わずに、焼き菓子としての完成度をどう高めるかが課題でした。ベース素材に豆腐を選び、米粉と組み合わせることで、生地の構造を設計。洋菓子の経験を持つ職人に依頼し、従来のレシピを米粉仕様に一から調整しました。

試作を重ねる中で、外側の香ばしさと中のもっちり感を両立させる焼成条件を追求。小さめのサイズで完成させたカヌレは、抹茶・カカオ・プレーンの3種で展開され、展示会では「米粉とは思えない」「乳卵不使用とはわからない」といった声が多く寄せられました。
鍋田さんは、「健康志向を前面に出すほど、おいしさが犠牲になる商品にはしたくなかった」と振り返ります。米粉を単なる代替素材ではなく、特性を生かす素材として捉え直すことで、制限食ではなく選びたくなる食品を目指しました。

好評価の先に見えた、国産米粉が広げる食の可能性

ピースフル餃子とピースフルカヌレは、同社にとって米粉を活用した商品展開の入り口に位置づけられています。現在、両商品は冷凍流通を前提に、調理や解凍のしやすさ、品質の安定性にも配慮し、オンライン販売での展開を視野に入れてきました。製造拠点のある自治体では、ヴィーガン対応が決め手となり、ふるさと納税返礼品への採用の話も進んでいます。

好評価の先に見えた、国産米粉が広げる食の可能性
好評価の先に見えた、国産米粉が広げる食の可能性

カヌレの食感や乳卵不使用への驚き、餃子の食べごたえに対する評価など、一定の手応えを感じる一方で、米粉を使った商品開発には課題も残っています。その一つが、ラーメンの開発です。成形の難しさや、ゆで湯が濁りやすい点、ちぢれ麺の再現性など、スープとの相性を含めて、満足のいく仕上がりにはまだ到達していません。

小規模な事業者にとって、試作や検証を重ねる商品開発は負担も大きくなりますが、米粉商品開発等支援対策事業を活用することで、納得のいく品質を追求することができたといいます。健康とおいしさを対立させることなく両立させる姿勢を軸に、これからも食の選択肢を広げる挑戦は続きます。

「簡単にはいかないからこそ挑戦し、米粉の可能性を見極める価値があります」と鍋田さん。今後は、餃子の皮の米粉化など、グルテンフリー対応をさらに進める構想も描いています。

※本記事は2026年1月時点の情報です