おいしく使えて栄養が届く、次世代の玄米粉

おいしく使えて栄養が届く、次世代の玄米粉

大阪府吹田市に拠点を置く株式会社プラスは、「安全・安心・健康」を軸に、玄米の価値を届ける事業を展開しています。「玄米の栄養を、もっと手軽に毎日の食卓へ」という思いで挑戦したのが、次世代の玄米粉「スーパーブラウンライスパウダー」の開発です。商品開発を担当する中畑弥子さんに開発秘話と展望を聞きました。

国際特許技術で実現した「届く」玄米粉

玄米は、白米に比べて食物繊維やビタミン、ミネラルなどを豊富に含む栄養価の高い食材です。一方で、「炊き方が難しい」「独特の食感が苦手」といった声も多く、健康的だとわかっていても、家庭の食卓で継続して取り入れることは簡単ではありません。

中畑さんは、玄米の価値が十分に活かされていない現状に課題を感じていたといいます。「玄米のよさを、もっと無理なく届けられないか」。その思いから、日常の食事の中で無理なく玄米の栄養を取り入れられる新しい選択肢をつくろうと、「スーパーブラウンライスパウダー」の開発に着手しました。

国際特許技術で実現した「届く」玄米粉

その製法の最大の特長は、玄米に6,000気圧の超高水圧加工を施している点にあります。超高水圧加工とは、水の圧力を利用して食品に物理的な変化を与える技術です。玄米に高圧をかけることで内部構造に変化が生じ、栄養成分がより吸収されやすい状態へと整えられる仕組みで、この技術は国際特許を取得しています。

特筆すべきは、この加工によって「遊離フェルラ酸」を豊富に含む点です。フェルラ酸は玄米の外皮に含まれるポリフェノールの一種で、通常は細胞壁に結合した状態で存在しますが、超高水圧加工によってその結合の一部が解かれ、体内で利用されやすい形になることが確認されています。遊離フェルラ酸は、日々の健康習慣をサポートする成分として注目されています。

開発にあたっては、米粉商品開発等支援対策事業を活用し、特許付きの超高水圧加工機を導入。栄養を落とすことなく、むしろ機能性を高める製法の確立に取り組みました。

玄米特有のクセを解消、使いやすさも追求

玄米特有のクセを解消、使いやすさも追求

機能性の向上だけでなく、使いやすさも開発の大きなポイントです。超高水圧加工にした玄米を玄米粉にすることで、玄米特有のにおいや粉っぽさ、ざらつきを抑え、白米粉や小麦粉に近い使用感を実現しています。

パンや焼き菓子、ドーナツなどに小麦粉の一部を置き換えて使用することができ、生地に混ぜても味わいを損なわず、ふんわりとした焼き上がりやしっとりとした食感が得られます。「玄米とは思えない食べやすさ」と好評で、主食やおやつとして続けやすい商品となっています。

とはいえ、技術を導入してすぐに商品化できたわけではありません。加工条件の検証や粉体の調整を重ね、製菓・製パン用途での扱いやすさを追求する試行錯誤が続きました。そうした工程を経て、機能性と使いやすさを両立した玄米粉として、ようやく商品化に至ったのです。

玄米特有のクセを解消、使いやすさも追求
環境負荷低減と機能性、プラントベースに米粉の可能性

健康志向と多様なニーズに応える展開

「スーパーブラウンライスパウダー」は、まず直営店の「玄米赤飯°井上家(げんまいせきぱんいのうえや)」および自社ECサイトで販売を開始しました。「玄米赤飯°井上家」は、パン生地の材料の一部に玄米赤飯を使用するベーカリーで、玄米のよさを伝える同社の基幹店です。現在は大手量販店をはじめとする既存取引先への営業活動を進めており、今後は業務用(BtoB)と一般消費者向け(BtoC)の両面から販路を広げていく考えです。

中畑さんは「まずは国内での実績を着実に積み上げ、生産体制を段階的に強化していきたい」と話します。令和11年度までに、業務用、小売、直営ベーカリーでの展開を合わせ、年間56tの玄米粉使用を目標に掲げています。

届けたいのは、まず健康を意識している人たちです。加えて、グルテンフリーや小麦アレルギーに配慮が必要な人、子どもや高齢者の食事に気を配る家庭にも活用してほしいといいます。その実現に向けて、同社は量販店での販売実績を有し、百貨店や食品メーカー、ホテル・レストラン、ECモールなど多様な販路を通じて安定した販売基盤を構築しています。

「米粉は小麦の代替ではなく、日本のお米の価値を次の形で伝えられる素材」と中畑さん。加工技術によっておいしさ、機能性、安全性を高められることが、玄米粉の大きな可能性だと語ります。栄養価の高い玄米粉を活用することで、健康志向やアレルギー対応といった市場ニーズに応えるとともに、グルテンフリーや機能性食品への関心が高まる海外市場にも展開の余地があると見ています。

今後は保育園や学校給食、福祉施設、カフェやベーカリーなどでの業務用活用も視野に入れながら、業務用商品の拡充や加工食品への展開、防災備蓄用途の検討も進めていきます。
玄米の栄養を「食べる」だけでなく、しっかりと「届ける」ことを大切に、超高水圧加工という革新的な技術で、玄米の新たな可能性を切り拓いています。

※本記事は2026年1月時点の情報です