
地域の人たちから長年愛されてきた洋菓子店のアミエルが、米粉菓子に挑戦して2年目の今年に生み出したのが彩りと香りが豊かな米粉タルトケーキ。製菓経験のないアルバイトスタッフでもおいしく焼き上げられる生地の上にはフルーツがふんだんにあしらわれ、見るのも食べるのも楽しくなる一品です。米粉菓子専門店のオープンも視野に入れているアミエルがつくる米粉タルトは、食べる人たちの笑顔をきっとたくさんつくってくれるでしょう。
米粉タルトケーキ(いちごタルト) 509円(税抜)
米粉タルトケーキ(フルーツレアチーズタルト) 509円(税抜)
・ルラシオン・デュ・クール アミエル
大阪府交野市幾野2-4-16
Tel. 072-892-1636
・自社ECサイト
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色とりどりのフルーツが宝石のように並び、焼きたての香ばしい香りが店内を包み込む。大阪府交野市で長年地域の人々に親しまれてきた洋菓子店アミエルに新しい商品が生まれました。オーナーの大川原和弘さんが見据えるのは、菓子を通じて地域とつながり、地元の素材を未来へとつないでいく循環のカタチです。
「自分たちが育ててもらったこの土地の恵みを最大限に活かし、新しい食の喜びを提案したい」という大川原さんの想いから、米粉を使った昨年に続く挑戦が始まりました。大川原さんは昨年度、米粉商品開発等支援対策事業を活用した米粉ロールや米粉フィナンシェの開発で、初めて本格的に米粉菓子に挑戦しました。そして今年度、次なるステップとして挑んだのが、華やかさとおいしさを両立させた「米粉タルトケーキ」です。「小麦粉の代用品としてではなく、米粉だからこそ引き出せるおいしさを追求したい」という大川原さんの想いが、米粉タルトケーキを通じてどのようなカタチを成すのか、話を聞きました。
今回の開発において、大川原さんが掲げたコンセプトは明確でした。それは、手軽にそして品質を担保できる製造機を導入し、製菓経験のないアルバイトスタッフでもおいしいタルトを焼き上げられる製造プロセスを構築することです。単に効率を求めるためだけでなく、将来的に店舗数をフランチャイズで拡大し、就労支援利用者が活躍できる場をつくるという、地域社会に貢献する雇用創出の基盤づくりです。
しかし、昨年度導入した成型機ではタルト生地に対応できず、一度は壁にぶつかったと大川原さんは話します。そこで、より手軽かつ確実な成型ができるタルト製造機を見つけだし、大川原さんは再スタートを切りました。昨年度の開発を経て、焼き立てであれば小麦と変わらないおいしさを実現できたと話す大川原さんですが、米粉は時間が経過すると食感が変わり硬くなる傾向があるという課題も見えたといいます。

そして、今回の米粉タルトで見えた大きな課題は、米粉特有の伸びの調整でした。小麦粉を米粉に置き換えると生地が締まりすぎてしまい、タルトらしいサクサク食感を実現するのが難しくなります。大川原さんは配合を1グラム単位で微調整し、外部の協力工場とも連携して大量の生地を仕込める体制を構築。試行錯誤の末、ついに小麦製品と遜色のない、むしろ米粉ならではの豊かな風味を楽しめるタルト生地を完成させました。

完成した「米粉タルトケーキ」は、目にも鮮やかな一品で、イチゴやブルーベリーといった新鮮なフルーツがたっぷりとあしらわれています。これらのフルーツは、形が不揃いな規格外品を農家から買い取り、自社でジャムに加工したり冷凍保存して活用しています。農家との深いつながりがあるからこそ実現できる、持続可能なスイーツの活用です。
「小麦粉アレルギーでこれまでタルトを諦めていた人にも、ぜひこのおいしさを、手に取りやすい価格で届けていきたい」と話す大川原さん。
その優しさが詰まったタルトは、店頭販売だけでなく、今後はオンラインショップを通じた販売や、他の店舗への卸販売も視野に入れています。
今回の米粉タルトや昨年開発した米粉フィナンシェなどの製造をより活発にして、現時点で小麦粉のおよそ30分の1にとどまる米粉の使用量を今年度は10倍にしたいといいます。
その目標達成に大きく貢献すると期待されるのが、カフェを併設した米粉菓子専門店を起ち上げる計画です。「『米粉専門店』を謳うことが目的ではありません。まずは地域のお客さんに『米粉ってこんなにおいしいんだ』と感じてもらえる場所をつくりたい」 と大川原さんは笑顔で米粉菓子専門店への思いを語ってくれます。
店頭に米粉でつくったケーキ類だけを並べることで、お客さんの米粉に対する反応をダイレクトに感じられます。
「既存の店舗と明確な差別化ができ、お客さんの傾向もわかってくるはず」と大川原さん自身も米粉菓子専門店の可能性に期待を寄せています。
大川原さんは、SNSを通じて積極的に顧客の声を聞き、その反響をすぐさま商品改良につなげる取り組みも進めています。大川原さん率いるアミエルの進化はほかにもあります。
「地域に根差す企業や自治体などとコラボレーションできる取り組みを模索していきたい。しかしまずは、地元で獲れる米を米粉にする流れをつくること」と大川原さんは今後について語ります。
さらに、タルト生地などを大量生産できる自前の製造環境を整え、フランチャイズ展開に向けた販売体制を構築できれば、アミエルがつくる米粉菓子が並ぶ店舗が増え、就労支援利用者を含め、さまざまな人たちの雇用を地元に創出することもできます。とはいえ、フランチャイズ展開にはまだまだ課題が多いため、地元のお客さんに米粉菓子のおいしさを知ってもらうことを着実に進めていきたいと話す大川原さん。
地元の米を使い、地元の雇用を生み、地元の笑顔を増やす。米粉タルトをきっかけに、アミエルと大川原さんは着実に地域に新しい食の喜びを広げてくれることでしょう。

※本記事は2026年1月時点の情報です