
音楽療法を取り入れて福祉事業を展開する特定非営利活動法人音楽堂が米粉商品開発等支援対策事業を活用して取り組んだのが、他にあまり見られない豆乳と生おから入りの米粉パンの商品化でした。コンテスト受賞歴のあるおからスイーツで培ったノウハウを活かし、滑らかなもちもち食感を実現した米粉パンは「地域」「福祉」「食」が融合した地域と人のつながりを育み続ける持続可能な事業モデルの産物として、多くの人に幸せを届けてくれるでしょう。
250円(税込)/1個 ※セット販売も予定
※4月上旬販売開始予定
・自社ECサイト
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・音楽堂カフェ及び自社キッチンカー
兵庫県神戸市垂水区西舞子2-4-1
Tel. 078-201-5728

マリンバ奏者の小河理恵子理事長が2010年に設立した特定非営利活動法人音楽堂(以下、音楽堂)は、兵庫県神戸市を中心に音楽と福祉の融合を理念に掲げ、障がい者や高齢者の就労・生活支援事業を展開しています。演奏活動を通じて小河理事長が確信した音楽がもつ人を癒し育む力を、音楽療法として福祉活動に取り入れているのが音楽堂の大きな特徴です。
その音楽堂が今回の米粉商品開発等支援対策事業を活用して、米粉を使用したパンを世に送り出すことになりました。音楽堂が生み出す米粉のパンとはどのようなパンなのか、小河さんに話を聞きました。
音楽堂では、音楽療育による児童発達支援やグループホーム運営などの生活支援のほかに、障害をもつ人が無理なく自分らしく働ける環境を提供する就労継続支援事業も展開しています。同事業のなかで利用者がリメイクした着物を販売する傍らマルシェなどで食品も販売し、売れ行きがよかったと小河さんは話します。当初は就労支援利用者が豆腐を手づくりしていたそうですが、生産効率が芳しくなかったため、セントラルキッチンを設置したといいます。

2023年にはカフェ「音楽堂カフェ」をオープンさせ、就労支援利用者が運営。豆乳カレーやおからスイーツなどを店内で提供するほか、自家製豆腐や豆乳、生おからの販売、さらに犬用のフードも用意し、愛犬と触れ合いながらティータイムを楽しむことができます。
「就労支援利用者の皆さんがカフェで働くことにとても憧れていたんです。その思いに加えて、地域の人たちが集まって楽しい交流が生まれる、地域の人たちが応援してくれる、そんな場所をつくりたかった」と小河さんは音楽堂カフェをはじめた経緯を話してくれます。
このカフェで米粉パンを販売する予定で、米粉商品開発等支援対策事業の補助金を活用して、ミキサーやドゥコンディショナーなどの製造機器を導入し、生産体制を整備。満足できる仕上がりになるまでいまなお開発が進められています。
「試作を何度も繰り返し、マルシェや地域のイベントでテスト販売してお客様からサイズや見た目などについてさまざまな声をいただいています。セット内容なども含め、マルシェでのテスト販売をさらに進めて魅力的な商品に仕上げていきたいと考えています」(小河さん)

満足できる米粉パンがきっとできると小河さんは自信を覗かせます。「個人的な感想ですが、おいしい米粉パンになかなか出合ったことがありません。しかし、私たちがつくる米粉パンは生おからを加えることでモチモチ感が高まり、さらに豆乳も混ぜることで滑らかな食感になって食べやすさが増しています。米粉だけでつくるとモチモチ感が際立ちすぎますが、生おからと豆乳のおかげで良いバランスの食感になりました」と小河さんは現時点で手ごたえを感じていると話します。
音楽堂では、以前におからスイーツ「おからで いもをかし」がひょうごスイーツ甲子園でグランプリを獲得した実績があります。そのノウハウを生かしたおからと豆乳入りの米粉パンは、高たんぱく、低糖質、高食物繊維パンとして高い市場競争力を期待できます。小河さんは「おから+豆乳入りの米粉パンという新奇性、豆乳やおから、規格外野菜など既存事業の副産物活用によるフードロス削減効果も加味して『おからで いもをおかし』のようにコンテスト受賞を果たして、ブランド力を高めたい」とも続けます。
商品バリエーションもすでに検討され、餡、カレー、ニラ肉まん、ピザまん、昆布チーズと5種をラインアップ。惣菜パンとして展開していく計画だといいます。完成した暁には、カフェだけでなくキッチンカーやオンラインショップでの販売を予定しており、冷凍食品としての販売も視野に入れています。
これらのほかにも協力店舗への卸ルートを検討し、販売チャネルの拡充を進めている音楽堂ですが、単に売り上げだけを目指しているわけではありません。「地域」「福祉」「食」の3要素を軸にして地域で持続可能な事業モデルを構築する一環として、米粉パンを開発しているのです。


グループホームで取引している同じ地域の米農家で採れる神戸米を米粉にし、地産地消を推進。さらに地域農業支援を目的に、市場に出せない規格外の農産物を音楽堂カフェで販売するなど「地域」と「食」のつながりを大切にする取り組みを実践しています。「福祉」の観点では、就労支援利用者による米粉パンの製造を視野に入れた製造工程をプランニングし、量産の目途が立てば障がいをもつ人や高齢者を導入していく考えだといいます。彼らの社会的役割と自信醸成を促し、3名からはじめて2029年度には5名以上が製造ラインに参加、将来的な正式雇用につなげる計画です。また、「近隣のグループホームから米粉パンの生地がほしいというご要望をいただいているので、ゆくゆくは障がい者施設などにもおすそ分けできるようにしたい」と小河さんは話します。
米粉と生おからの豆乳もちもちパンの開発を着実に進める音楽堂が見つめる先にあるのは、初年度23,000個の販売目標を達成すること。そして、すでにジェラートとレトルトカレーが採用された百貨店のギフト商品に米粉パンを加えること。「高齢者がより食べやすいサイズや形状を追求した福祉向け食品の開発など『地域』『福祉』『食』がつながり続ける社会に貢献していきたい」と小河さんは最後に米粉が導く未来図について語ってくれました。
※本記事は2026年1月時点の情報です