
土産品の菓子製造を得意とするヴィラジュニシムラが、米粉菓子の量産化に乗り出しました。地場産米を使用してつくられるフィナンシェやクッキーなど数々の米粉商品が、量産化により地元の滋賀県から東海、そして将来的に全国へと広がろうとしています。土産物市場でこれまであまり例のない米粉菓子が、観光客の目に留まり、米だけでなくその地域の魅力を広めるきっかけになってくれることでしょう。
米粉フィナンシェ 1,080円(税込)/6個
米粉ポルポロン 1,080円(税込)/32粒
しがたっぷりケーキ 1,080円(税込)/7個
※絞り型クッキー・米粉入りパイは2026年夏ごろ発売予定
・東海地方及び滋賀県内の高速道路のPA、SA、空港、駅、道の駅、スーパー、量販店など
・各社ECサイト

滋賀県東近江市に拠点を置く株式会社ヴィラジュニシムラ(以下、ヴィラジュニシムラ)は、観光土産菓子のOEM製造を主軸に、地域の素材を活かした菓子開発を行っています。同社の米粉への取り組みの原点は、代表取締役の西村友吾さんの親族が滋賀県野洲地区で米農家を営んでいることにあります。地元産米を使い、その土地ならではの土産菓子を広めたいという思いで、同社は「米粉フィナンシェ」をはじめとする米粉商品の量産化に乗り出しました。米粉商品開発等支援対策事業を活用した量産化計画について、西村さんに聞きました。
「米粉は小麦粉に比べて油を吸いにくく、時間が経つと老化してパサつきが生じやすくなる特性があり、量産化にあたって、品質の安定と賞味期限の確保という考慮すべきいくつかの課題があります。また、急増する需要に対して供給が追いつかないという製造キャパシティの問題も顕在化していました」と西村さんはまず話してくれました。
そこで今回、同社は補助金を活用してスチームラックオーブンを4台導入。蒸気の量を精密に制御できるこの設備により、米粉の特性を考慮した「しっとり感」を維持できる量産体制を構築しました。
ヴィラジュニシムラは、スチームラックオーブンの導入によって、米粉菓子づくりの課題であった温度管理と乾燥の問題をクリア。従来のオーブンでは、米粉特有の性質から焼き上がりに差異が出やすく、特に時間が経過した際の食感の維持が困難だったといいます。
西村さんは「既存の設備では米粉の食感を安定させることに限界があった」と話します。新たに導入したオーブンは、120℃の加圧蒸気を庫内に送ることが可能で、素材の表面温度と中心温度の差を抑えながら焼き上げることができます。さらに、庫内が回転する仕様によって焼きムラを防ぐ効果もあります。この熱の伝わり方の均一化こそが、量産化において品質を一定に保つための鍵になりました。

その結果、米粉の特性を活かしつつ滑らかな口当たりを両立させた「米粉フィナンシェ」や「しがたっぷりケーキ(スティックケーキ)」量産の目途が立ちました。また、米粉を配合することで硬くなりやすかったクッキーについても、熱が芯まで入ることで食感が大幅に改善されたといいます。西村さんは「生産能力は将来的に従来比で約700%まで向上する計画で、品質を維持した状態で米粉商品を安定供給する体制が整いました」と本事業の成果について話します。

ヴィラジュニシムラは、原材料に地元滋賀県産の「近江米」を使用することにこだわりを持っています。西村さんは「その背景には、近年の減反政策や米消費の減退といった地域農業の現状があります。米粉商品の需要を拡大させることで、地元の農家が安定した収入を得られる仕組みづくりに貢献したい」と米農家、そして地域活性への思いが同社の原動力だと話します。
また、同社がもつ観光土産市場での豊かな経験と知見が、米粉商品の量産化計画を推進したといいます。駅や空港などの主要な土産店では、賞味期限や食感の安定性の観点から小麦粉商品が主流で「米粉を一定割合使用した商品は、競合がまだまだ少ない。いち早く米粉商品を土産物市場に投入することが、他社との差別化を図る大きな機会になる」と西村さんは量産化の狙いを話します。
これから量産される米粉商品には滋賀県が地産地消を推進する「おいしが うれしが」キャンペーンを積極的に活用し、近江米の使用を付加価値として、地域の特色とともに商品をプロモーションしていく考えです。
これらの商品は、米粉100%でつくるフィナンシェから、食感を重視したパイなどの小麦粉混合商品まで、用途に応じた最適な配合による米粉菓子に仕上がっています。特に米粉入りパイは量産品ではあまり採用されない「折パイ」という方法で製造され、サクサクとした食感が維持できているといいます。
米粉商品を広く普及させようとする同社の目標は滋賀県内に留まりません。滋賀県に限らず全国各地で獲れる米でつくった米粉菓子がそれぞれの地の土産店に並ぶことで、地域の魅力のひとつとして観光客に認知され、全国各地の地域活性に貢献することになると西村さんは考えています。
「土産品はその土地の『顔』であり、そこで地元の米が使われていることは、観光客にとっての魅力向上だけでなく、地元生産者の誇りにもつながると思っています」と西村さんは話します。
ヴィラジュニシムラは、3年以内に月間6万個という生産目標を計画しています。その達成のために既存の取引先である大手量販店や交通インフラ拠点の販路を活かし、導入した設備と地場産米の活用、地域産業への視点を組み合わせることで、米粉商品を土産菓子市場における主要な選択肢に高めていくことを目指しています。
すでに、西村さんたちはスチームオーブンの導入により製造が可能になった「米粉入りカステラ」などの新商品の開発を進めています。米粉菓子を通じて全国の農家や製粉所を活性化させたいという思いを基に、製造インフラの整備から地域経済への波及までを見据えたヴィラジュニシムラの挑戦が続きます。

※本記事は2026年2月時点の情報です