福岡名物とり皮串に米粉を使って外はカリッと中はモチッとを実現

福岡名物とり皮串に米粉を使って外はカリッと中はモチッとを実現

1978年に創業し、仕出し弁当の製造販売から事業を開始したサンフーズ株式会社は、2018年から加工食品事業や通販向けの食品OEM加工事業、ふるさと納税に関する事業やECサイト事業などを展開しています。2024年に米粉商品開発等支援対策事業の補助金を活用して地元福岡県の米を活用した「米粉プロテインバー」や「米粉プロテインバーグ」を開発。福岡県内の道の駅で販売しており、ふるさと納税ポータルサイトで福岡県須恵町の返礼品にもなっています。
今回、その経験を糧に、新たに米粉入りのとり皮串を開発しました。その経緯とこれからの展開を代表取締役の小川俊幸さんに伺いました。

米粉の特性を逆手に取ってカリッと食感を実現

福岡では昭和の時代に鶏の皮を串にぐるぐる巻いて、何度も焼きながらつくる串焼きが生まれ、現在は福岡名物として人気を博しています。

「当社が製造・販売する焼き鳥串は人気が高く、月間10万本ほど販売しています。その中でもとり皮串は特に注目度が高く、数十億の市場が存在すると考えています」と小川さん。現在の市場は主に飲食店が中心で、テイクアウト市場では、家庭での電子レンジ調理で「カリッと感」が再現しにくいという課題がありました。そこで目をつけたのが米粉です。

米粉の特性を逆手に取ってカリッと食感を実現

「これまで米粉を使った商品開発を続けてきましたが、例えば米粉を使ったフライは、冷めると硬くなりやすいという課題がありました。この特性を逆手に取ることで、カリッとした食感を生み出すことができるのではないかと、持ち帰り用冷凍食品としての商品開発を開始しました」 今回、米粉商品開発等支援対策事業の補助金を、商品開発の原料や製造機器の購入、パッケージデザインや資材の購入、販促広告などに活用しました。

とり皮串の製造では、串に巻いたとり皮をタレに漬けて焼く工程を何度か繰り返すそうです。そのタレに米粉を配合することで、外はカリッと、中はモチッとした食感を目指します。

タレに漬けた生地を寝かせることでジューシーさをキープ

タレに漬けた生地を寝かせることでジューシーさをキープ

開発では米粉の種類や配合比率、生地の寝かせ時間、焼成温度を試行錯誤し、何度も試作を重ねたそうです。
「お米の種類によって食感が変わるので、各地の米粉を取り寄せて比較しました。最終的には福岡県産『夢つくし』と岡山県産のお米を原料とした米粉を使用することにしました」
米粉は多すぎると硬くなってしまうため、配合比率を決めるのに苦労したそうです。
「最終的に、鶏皮の重さに対し約20%の分量の米粉を配合しています」
外側のカリッと感だけでなく、中側のモチッと感を出すためには、タレに浸す時間が重要だそうです。
「米粉のタレをコーティングして揚げ焼きにして、さらにタレをつけて炭火焼きで丁寧に仕上げていくのですが、揚げ焼きの後にタレに浸して半日ほど寝かせるようにしました。そうすることでタレが浸透してジューシーさを保つことができるようになりました。その後、炭火焼きで香りと焦げ目をつけますが、焼きすぎると身が縮んでしまいます。そのバランスが難しかったですね」と小川さんは開発当時を振り返ります。

方向性が定まった段階で、米粉の配合比率を2パターンに分けたサンプルをつくり、同社商品のリピーター約100人にお送りし、試食と硬さ、香り、味に関するアンケートをお願いしました。その結果を踏まえて最終調整し、商品が完成しました。

「家庭の電子レンジやトースターでも、外はカリカリで香ばしく、噛めばジューシーな味わいを再現できました。小麦粉を使用した場合に比べて軽やかな口当たりで、米由来の自然な甘みが具材の旨味を引き立ててくれます」と小川さんは仕上がりに満足。

製造にあたっては、とり皮串を揚げ焼きするための新規ライン用の専用設備を導入し、生産能力を倍増しました。また、パッケージデザインも新規に作成しました。
「商品のPR活動として、WEBのディスプレイ広告を実施しました。2025年11月と12月に集中的に広告を配信し、ランディングページで米粉を使った新食感をアピールした結果、PV数は20万PV、クリックコンバージョン率は約10%と、通販の指標としては良い結果が得られ、業務用取引もだいぶ増加しました」と順調な滑り出しとなりました。

タレに漬けた生地を寝かせることでジューシーさをキープ
柚子味や味噌味も検討中。目指すは売上3倍!

柚子味や味噌味も検討中。目指すは売上3倍!

今後この商品をどんな方に届けたいか、小川さんにお聞きしました。
「博多の食文化に親しんでいる地元の方はもちろん、これまでとり皮串を食べたことがない若い世代や全国の皆さん、健康志向・食材にこだわりを持つ方にも届けたいと考えています」 そのためにECサイトでの販売を強化しており、関東・関西圏からの注文も増えているそうです。

今後、米粉を活用したとり皮串の新しい味のシリーズ化を考えているとのこと。
「すでに柚子味を試作中です。そのほかにも、地域食材としてスパイスが効いた唐辛子味や米粉との相性が良さそうな味噌味なども検討しています」
シリーズ化や販路拡大で、現在の月間製造本数10万本(売上約1,000万円程度)を、3~4年で月間30万本(売上約2,000万円~3,000万円程度)にまで伸ばしたいと考えているそうです。

米粉を使った新商品の構想はまだまだあるそうです。
「米粉入りのハンバーグは、とり皮串のように表面をカリッとさせ、中は低温調理でジュワッと肉汁が溢れるようなものを考えています。以前開発した米粉プロテインも抹茶フレーバーを開発中で、海外展開も考えています。米粉は、食感・風味の幅が広く、和食・惣菜・スイーツなど多様な分野に応用できる非常に可能性のある素材だと感じています。また、国産米の活用や食料自給率向上の観点からも、今後ますます注目される素材だと思います。今後、米不足が解消され、米粉商品の追い風になるとよいですね」と小川さん。新商品を目にする日も近そうです。

※本記事は2026年2月時点の情報です