
有機農法でお米を育てる株式会社兵四郎ファームがパン・菓子・料理に適した米粉専用米の新品種「笑みたわわ」を開発。その米粉を100%使用した米粉パン「おごはん」を発売しました。お米ともパンとも言いがたい独自の風味があり、「笑みたわわ」ならではのふっくら感とお米ならではの甘みとうまみ、もっちり食感が楽しめます。米からできているため、キンピラをのせたり、果物とチーズをのせたり、和風にも洋風にも合います。
価格調整中
・兵四郎ファーム直営店舗
福岡県浮羽市浮羽山北登久園1657-1
Tel.0943-77-2027
・自社ECサイト(準備中)
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有機農法でお米を育て販売する株式会社兵四郎ファーム(以下、兵四郎ファーム)では、令和元年にパン・菓子・料理に適した米粉向けの新品種「笑みたわわ」を開発。今回、その米粉100%の米粉パン「おごはん」を商品化し、新店舗での販売を開始しました。商品化の経緯や今後の展望について、兵四郎ファーム代表取締役の野見山正秋さんに伺いました。
兵四郎ファームは、あご入りだしパックなど調味料を中心に製造販売する株式会社味の兵四郎の農業部門が出発点。平成16年当時、同社の社長を務めていた野見山さんが、友人がつくった農薬・化学肥料に頼らない有機農業で育ったお米に感動したことをきっかけに、翌年から農薬・化学肥料を一切使わず自然と共生する兵四郎式有機農業をスタートしました。その10年後に農業生産法人ファームとして独立。合わせて20年以上お米の生産・販売を行ってきました。


「当社の稲作のこだわりは『土づくり』です。除草剤や農薬を使用せず、有機農法で土の中の微生物を増やして適切な水管理をすることで草を生やさず、大地の栄養で豊かにお米を育てています」と野見山さん。
農業に参入した背景として、日本の農業のあり方や食料自給率の低さ、後継者問題といった課題への使命感もありました。さらに、アレルギーで好きなパンや菓子を食べられない子どもたちの存在や、世界的なグルテンフリーへの関心増加の中で、「米」で現在の食生活に合うパンのような食べ物ができないかを考え、それを可能にする米の新品種の開発を開始しました。
平成27年に農研機構との共同開発で研究段階にあった「羽919」の品種改良に着手。改良を重ね、令和元年にパン・菓子・料理に適した米粉専用米の新品種「笑みたわわ」が誕生しました。
「小麦にも負けないふっくら感とお米ならではの甘みとうまみ、もっちり感が味わえる米粉専用米です。農薬・化学肥料一切不使用の安心でおいしいお米です」と、野見山さんはそのお米の出来に胸を張ります。
「まずはこの米粉を使ってパンを焼いてくれるところを探しました。しかし、小麦粉とは勝手が違うようで、品質が安定しないなど、なかなかうまく行きませんでした。それなら自分たちでつくろうと、商品開発や製造・販売場所探しを始めました」(野見山さん)
主原料は「笑みたわわ」の米粉100%にこだわり、他に入れるのは甜菜糖や米油など最小限にとどめました。「米粉は粒度や水分量によって仕上がりが大きく変わるため、安定した品質にたどり着くまで何度も試作を重ねました」と野見山さんは語ります。
「できあがった商品はお米ともパンとも言いがたい。なので『おごはん』と命名しました。『おごはん』には『笑みたわわ』の性質がよく出ており、独特な風味と甘みがあり香ばしく、うまみが際立っています。余分なものは極力入れない方が素材の良さを引き出せると考えて、プレーンなタイプから販売することにしました。米からできているため、例えばキンピラをのせたり、イチジクと生ハムをのせたり、和風にも洋風にも合います。今後はさまざまな食べ方の提案をしていきたいと考えています」(野見山さん)


また、福岡県浮羽市で見つけた古民家を改修し、「おごはん」の製造・販売を行う新店舗を確保。米粉商品開発等支援対策事業を活用して、スチームコンベクションや発酵機、急速冷凍庫、ミキサーなどを導入しました。
「米粉100%のパンを焼成できる設備を整え、かつECサイトで販売するため解凍後も米粉の特徴を活かした食味を保つことができる急速冷凍機器を導入しました」と野見山さん。古民家改修の際に屋根や壁に「笑みたわわ」の稲藁を使ったり、コの字型の建屋の中央に田んぼをつくり、米づくりを身近に感じられるようになっています。
さらに、本事業を活用して「おごはん」のブランディングも行い、販売に必要なパックや箱、手提、発送ケースなどのデザイン化や専用のECサイトの制作も行いました。
「パッケージなどのデザインには『お米は宝』という思いを込めて、宝船のイメージを描いています。稲が帆のように見える図柄で、風を受けて海も渡る。『おごはん』を通して米づくりの発信基地としての役割も担いたいと考えています」と野見山さんは語ります。


最後に、今後の展望について伺いました。
「今回の商品開発では、米づくり・微生物・つくり手・食べる人・地域がつながる『命の循環』を感じてもらえる商品を目指しました。今後『おごはん』を“田んぼから生まれた価値を、体験として届ける商品”として販売していきたいと考えています。新店舗での体験型発信として、建屋の中心にある田んぼで稲作の循環を見ながら買い物を楽しんでもらい、餅つきや料理教室などのイベントも年間通じて開催していきます。その中で、私たちの米づくりの哲学を感じていただき、『食べることで田んぼや里山を応援したい』と感じる方が増えるといいなと考えています」(野見山さん)
新店舗とECサイトでの販売以外にも、ホテルや病院、老人施設、幼稚園、学校給食などへの展開も検討中。海外展開としてグルテンフリー志向の人が多いアメリカやヨーロッパに、『おごはん』用の米粉とつくり方を提供し、現地で『おごはん』を広げてもらうというビジネスモデルも考えているそうです。
「まずは3年で売上1億2000万円を目指していきます」と、野見山さんは力強く語ってくださいました。
※本記事は2026年1月時点の情報です