道の駅で災害時の非常物資としても使える米粉商品を開発

道の駅で災害時の非常物資としても使える米粉商品を開発

道の駅「水辺プラザかもと」の指定管理者である株式会社鹿本町振興公社。その代表取締役社長である栃原栄一さんは、長年にわたり農業にも従事し、地元の農業者をまとめる農業法人も運営しています。米、麦、大豆などの生産に取り組んでおり、米粉用米「ミズホチカラ」を生産しています。
今回、米粉商品開発等支援対策事業の補助金を活用して、ミズホチカラを使った米粉ピザや米粉トルティーヤなど複数の商品を開発しました。その背景には、道の駅が地域住民にとって災害時の避難場所になることから、防災への取り組みを強化していきたいという栃原さんの熱い想いがありました。

冷凍保存や長期保存ができて主食がわりになるように

「道の駅は地方創生や地域経営の拠点としての力を高めながら、新たな魅力を持つ地域づくりに貢献する施設です。さらに、災害時の避難場所や非常用物資の備蓄場所としても重要な役割があると考えます。そこで、非常食としても使える商品として、冷凍保存や長期保存ができる米粉食品をつくることにしました」と栃原さん。
目指すのは、「非常食要素がある」「保存期間が長い」「使いやすい」「万人受けする」「安全である」「主食がわりになる」ことをコンセプトにした商品です。

冷凍保存や長期保存ができて主食がわりになるように

水辺プラザかもとでは、2002年から米粉パンを販売しています。
「もともとは地域で地酒をつくる際に残る米の削りかすを有効活用したいという発想から、水辺プラザかもと内の『パン工房かんぱーにゅ』で米粉パンづくりをはじめました。さまざまな試行錯誤の末、独自製法を開発し特許を取得しました。『八十八パン』や『畑丸ごとパン』など売れ行きもよく、定番商品になっています。その経験をもとに今回の新商品を考えました」と栃原さん。

米粉商品開発等支援対策事業の補助金を活用して、商品開発や製造機器の導入、テストマーケティングなどを行い、現在はパッケージ等のデザイン制作を進めています。

バラエティ豊かな4種の米粉商品が誕生

バラエティ豊かな4種の米粉商品が誕生

商品開発には外部の技術講師も招き、試作を繰り返したそうです。
「お米を炊くのが面倒なときや時間がないときなどに容易に調理ができ、主食の代替としておいしく食べることができる商品を目指しました。一品だけでは顧客の購買意欲が薄れる可能性があるため、ある程度の種類が必要と考え、ピザ生地とトルティーヤ、かんぱん、グラノーラの4種類の商品を開発しました。配合やつくり方が異なるため、4種それぞれの特長を出すのに苦労しました。特に乾パンの水分調整が難しく、長期保存ができる商品として何度も試行錯誤を繰り返しました」と栃原さんは語ります。
グラノーラ以外は長期保存できるように冷凍食品としても販売。そのために、瞬間冷凍庫や真空パック機などの機器も導入しました。

米粉のピザクラストは、杵つきのミキサーで丁寧に捏ねることで、もっちり感と嚙み応えがあるピザ生地に仕上がりました。パン工房かんぱーにゅでは、さまざまな具を乗せた焼き立ても販売しますが、生地のみの冷凍品は、自宅で解凍し、お好みでのトッピングで楽しむことができます。トースターで焼くだけなので使い勝手もよく、保存食としても重宝します。

米粉のトルティーヤは、一般のトルティーヤと違い、もっちり感としっとり感があり、少し焼けばパリッとした食感がアクセントになり、いろんな食材に合わせることができます。非常事態には常温解凍で食べることができるのも大きな利点です。

米粉のかんぱんは、長期保存が可能。プレーン、ココア、抹茶の3種のフレーバーがあるので、保存食としてだけではなく、手軽なおやつとしても楽しめます。

バラエティ豊かな4種の米粉商品が誕生

米粉入りグラノーラは、地元山鹿産の米麹と肥後小豆でつくった発酵あんこと米粉を混ぜた砂糖不使用の無添加グラノーラです。味はプレーンとココアの2種類。ドライフルーツなども入っており、大人から子どもまで食べやすい仕上がりになっています。

九州管内の他の道の駅にもPR

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水辺プラザかもと内のレストランで試食イベントをしたところ、「もちもち感があっておいしい」との好意的な反響をたくさんいただき、特にピザは毎回完売するほどの人気だったそうです。
「ピザの具はチーズや玉ねぎなどの洋風のものだけでなく、地元の高菜漬けを炒めたものをのせた和風タイプなどもつくっていますが、これが好評で私もとてもおいしいと思います。やはりお米の生地なので、和風の味付けに合いますね。それに腹持ちもいい」と栃原さん。新商品の出来に手応えを感じています。

商品完成後には、九州管内の他の道の駅にも当商品の販売を広げていきたいと栃原さんは考えています。
「冷凍保存や長期保存が可能で、主食の代替品として簡単に食べることができる当商品は、他の道の駅でも商品としての魅力があり、かつ災害時の非常物資としても役立ちます。現在、九州内の道の駅の方々に防災意識と食料提供の重要性を伝えつつ、この商品を紹介しています」と栃原さん。今後は自社ECサイトの立ち上げも目指していくそうです。

「今回の商品開発によって、米粉商品の生産量・販売量を5年後までに200%アップを目指したい」と語る栃原さん。
「当地域は米の生産地帯なので、ご飯類だけでなく、米加工品をいつでも手軽に食べられるよう継続的に開発に取り組んでいきたいですね。米粉商品はいろいろな食材と合わせることができ、満足感と食の楽しみを感じることができます。また防災食としても安全性、使いやすさ、主食としての代替の可能性をとても感じています」と、今後の米粉商品の開発にも意欲的です。

※本記事は2026年1月時点の情報です