
創業90年を誇る西村機械製作所が、自社製粉機でつくった生米粉でつくるバウムクーヘン。 水分量がとても多く、驚くほどの口どけの良さが特長。いつでもどこでも手軽に、いくつでも食べられるスイーツを目指し、添加物を極力減らし、体に良い素材を使用。今後は地元・八尾の特産品でつくるオリジナルバウムクーヘンを多数企画する予定。自社至近にオープンしたカフェで、米粉の可能性と西村機械製作所の製粉機の魅力を発信していきます。
1,300~1,500円(税込)/1ホール
・直営カフェ(2026年初夏オープン予定)
・自社ECサイト(2026年4月販売開始予定)
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大阪府八尾市にある西村機械製作所が、米粉商品開発等支援対策事業に参画して成し遂げると書き記した内容は「バウムクーヘンのレシピ開発」。そしてそれを食べて、購入することもできる「飲食店の新規オープン」。でもそれは目的ではなく、手段に過ぎないのです。30年近くにわたり、米粉の浸透のために最前線で尽力してきた代表取締役社長の西村元樹さんの、米粉にかける思いをお聞きしました。
西村機械製作所は食品・科学・薬品・リサイクルなどの粉粒体機械製作やそれらを使ったプラントエンジニアリングなどを手がける、創業90年になる老舗企業。その長い歴史には驚きのエピソードも。
「25年ほど前、製粉機メーカーや米粉業者、パン屋さんなどが集まって、米粉の普及について知恵を出し合いました。その中に、私もいました。当時は“米粉”と書いて“べいふん”と呼んだり“こめこ”と呼んだり、呼称すら定まっていない状態。『これでは世に広く認知されるのは難しい』ということで、統一して『こめこ』と呼んで、力を合わせて普及を目指そう、となったのです」

集まりのきっかけは米粉でパンをつくったこと。8割米粉、2割は小麦粉で、おいしいパンがつくれたと言います。「まさか米粉で主食のパンがつくれるとは」という驚きと「主食として米粉パンが広がれば、米粉はもっと使われるぞ」という期待が生まれ、普及活動を始めたそうです。そういった由縁もあって、西村機械製作所のある八尾市には、米粉をつくる製粉所や米粉を使った菓子・パン屋さんが多いと言います。
その後も、自社で『米粉.jp』というサイトを制作して米粉の情報を発信するなど、西村機械製作所は積極的に活動を続けていますが、同時に難しさも感じていたと言います。
「米粉でパンをつくるのは、膨らまない・食感が違うなど、難易度が高い。それもあって爆発的に普及が加速しない。どういう用途をアピールすればもっと米粉の魅力に気づいてもらえるだろう、と考え続ける25年でした」

2017年、運命の出会いが訪れます。バウムクーヘン焼成機メーカーと知り合ったのです。メーカーは「小麦粉を使わず、目を引いて、地域を元気にできるバウムクーヘンのアイデアはないか」と探していたそうです。そこに西村さんが、米粉でつくるバウムクーヘンを提案します。
「バウムクーヘンなどの菓子なら使用する米粉の条件は緩く、製造するのも比較的容易。なにより日本全国、米をつくらない土地はない。地域ごとの特色を活かしたオリジナル米粉バウムクーヘンがつくれる、と思ったのです」
その提案にメーカーが興味を示し、西村機械製作所の米粉製粉機とご当地バウムクーヘンレシピ提案をセットにしてサービス化。現在、地方自治体や道の駅などで、なんと2店舗がオープンし、そのどれもが好評を博しているそうです。
この成功事例を通じて、西村さんは米粉の実力と可能性をあらためて実感。
「挑戦する勇気ももらえました。当社では個人事業でも導入できる小型の米粉製粉機を開発していますが、それでどんなビジネスができるかを伝えるのが難しく、販売に苦戦しています。数々の成功を見て、具体的に事業モデルと共に売り込めば解決できるのでは、と感じました」
西村さんは、自社の製粉機と米粉の魅力を伝えるために、西村機械製作所が自らバウムクーヘン事業に挑戦したいと考えたのです。
ちょうど自社直近の土地が売りに出たタイミングで、米粉商品開発等支援対策事業を知ることができ「このチャンスを逃してはならない」と参画を決めました。
「念願の製造場所、そして製粉機とバウムクーヘンをアピールできる店舗の設計から建築、さらに販売用のサイトや包装などをつくる初期投資に補助金を活用できました。リスク低く新事業をスタートができるはありがたかったです」
こうして西村さんは挑戦に一歩踏み出したのです。
米粉商品開発等支援対策事業では、バウムクーヘン焼成機などの設備を揃え、製造と販売を行う店舗の新設や、そのブランディングとなるデザイン制作に補助金が活用されました。
完成予定の店舗では、バウムクーヘンの購入やイートインに加え、米の製粉からバウムクーヘンづくりまでの工程を見学できるスペースも設けられています。
「この店舗はカフェだけでなく、製粉機の具体的な活用方法や事業展開を体感できるショウルームとしての役割も担います。米粉の魅力を伝える拠点となればと思っています」と西村さんは話します。そこで西村さんがなにより重要視しているのは、「事業として成功する」ということです。
「私たち自身の商品と店舗が、きちんと魅力的で成功していなければ、お客様は米粉と製粉機を組み合わせて“成功する事業”をイメージできません」
その考えのもと、西村機械製作所では地元や大阪市内の有名菓子店をリサーチし、バウムクーヘン事業のプランを具体化。八尾市の特産品を取り入れたオリジナルバウムクーヘンの企画や、レシピ開発をバウムクーヘン焼成機メーカーと協力して進めました。これらの検討や開発にも、米粉商品開発等支援対策事業の補助金が活用されています。
すでに地元の特産品であるお茶や季節の野菜・フルーツを使ったバウムクーヘンなど、様々な企画がすでにあるといいます。
店名は『cometowa』に決定。米(※)とバウムクーヘンの輪っか(○)をイメージしたモチーフを使ってデザインを組み立てて、個包装やギフト用など様々なパッケージも完成しました。※と○が組み合わさる(+)ことで新しいものが生まれる、そんな予感のあるデザインです。これらの制作にも補助金を活用しつつ、デザイン会社と協議を重ねに重ねてつくったそうです。

西村機械製作所の製粉機は湿式製粉を採用し、乾燥させない「生米粉」をつくることができます。
この生米粉で焼いたバウムクーヘンは、水分量が多く、しっとりとした食感が特長。
「いくらでもするすると食べられる食感は、思わず“飲めるよう”と表現したくなるほど」と西村さんは話します。
「いつでも気軽にたくさん食べてもらおうと、素材選びにもこだわっています。地元のものはもちろん、玄米など体に良い素材を厳選して使う予定です」
その先に見据えているのが、地域とつながるものづくりです。
「いつかは、すべて八尾の特産品、例えば酒蔵の麹などを使って、地元に還元し、作業を活性化したい……と夢は広がっています」
お店の完成は2026年初夏。それまでもマルシェや催事などに積極的に出店し、広報活動を行う予定。米粉に興味を持った人が「cometowa」とオリジナル生米粉バウムクーヘンに出会い、米粉の魅力に気づいて自分でも事業に挑戦したいと思ってもらいたい、と店舗以外にECサイトも展開して、購入の選択肢も増やす予定です。これらのPR活動やウェブ制作費用も補助金が活用でき、スムーズにスタートが切れそうだ、と西村さん。
「生米粉バウムクーヘンを八尾名物にするのが目標。たくさんの人に訪れてもらって、米粉の魅力に気づいてもらい、米粉製品を食生活に生活に取り入れてほしい。そして当社に共感して製粉機を購入し、事業に挑戦してもらえるような人が出れば、最高ですね」
そんな明るい未来をイメージして、西村さんは笑ってしめくくってくれました。
※本記事は2026年1月時点の情報です