
米粉パンの生地をまとめる材料として一般的なサイリウムの代わりに、こんにゃく由来のグルコマンナンを使用。成形の自由度を高め、惣菜パンやマフィンなど全53アイテムを開発しました。なかでも「お結びパン」は、米粉の主食感を生かした食事向け商品。グルテンフリーでも選ぶ楽しさと満足感を実現しました。
食事系パン(7種類) 各290~480円(税込)/1個
菓子パン(5種類)各290~380円(税込)
お結びパン(5種類) 各380円(税込)/1個
パン・ア・ラ・クレム(4種類) 各490~520円(税込)/1個
マフィン(16種類) 各420~520円(税込)/1個
ミニマフィン(16種類) 各250~270円(税込)/1個
・米粉パン専門店 IYOTO(イヨト)駒沢大学店(2026年2月末営業終了)
東京都目黒区東が丘2-11-20 駒沢テラス 1F
Tel.03-6450-7765

かんながらは、飲食事業を軸に食分野で多角的に展開している企業です。数年前からは、グルテンフリーの米粉パン専門店としての取り組みを本格化してきました。代表取締役の大舘誠さんは、高級食パン事業にも携わる中で、お客様の声から新たな課題を感じるようになったといいます。
「グルテンフリーのパンは、安心して食べられても、選べる種類が本当に少ないと感じていました」と大舘さん。特に首都圏を中心に、アレルギーや体質的な理由で小麦を避ける人たちから、そうした声が多く寄せられていました。安全性に配慮するだけでなく、形や味を選ぶ楽しさまで届けたい。その思いが、商品開発の出発点でした。
当時、同社は自社の強みを打ち出すため、サイリウムを使わない米粉パンの開発に取り組んでいました。しかし、生地を安定させることはできるものの、流し込みが基本となり、成形の自由度が低いことが課題でした。 「本当は惣菜パンや食事系のパンもつくりたかったのですが、製法的に難しかったのです」と大舘さんは振り返ります。

そこで浮上したのが、こんにゃく由来の自然素材「グルコマンナン」です。サイリウムに代わる素材としてグルコマンナン粉を活用することで、カレー米粉パンやメロン米粉パンなど、多様な成型惣菜パンの開発が可能となりました。これが長年の課題を乗り越える糸口となり、惣菜パンやマフィンなど成形米粉パン53種類の新商品開発へとつながっていきます。

グルコマンナンを用いた米粉パンの製パン技術は、米粉食研究家の中村公美さん(株式会社Fete le marche)が持つ専門技術です。かんながらはこの技術に着目し、外部専門家と連携した商品開発に踏み出しました。
「自社だけで抱え込むのではなく、専門的な知見をお借りすることで、米粉パンの可能性が一気に広がると感じました」と大舘さん。中村さんの指導のもと、開発の舞台となったのは、自社が運営する小麦不使用の米粉パン・スイーツ専門店IYOTO(いよと)でした。
グルコマンナンは、成形性を高める一方で、配合や水分量を誤ると焼成後にぱさつきやすい難しい素材です。単純にサイリウムと置き換えるだけではうまくいかず、商品ごとに生地の硬さや伸び、焼き上がりの食感を細かく調整する必要がありました。
「成形はできても、おいしくできない試作も多く、何度もやり直しました」。米粉の粒度や配合、水分量を商品ごとに変え、形状に合わせて生地を設計。現場での試行錯誤を重ねた結果、流し込みに頼らない成形米粉パンの製パン技術が確立され、念願の多様な商品開発が可能になったのです。


開発した成形米粉パン53種類の中でも、IYOTOではシンプルな塩パンと種類豊富なマフィンが人気商品となりました。マフィンは大小サイズでそれぞれ、チョコチップ、抹茶、さつまいもなど16種類のフレーバーを揃え、まさに店頭で選ぶ楽しさを味わえるラインナップとなりました。
ほかにも、看板商品として支持を集めたのが「お結びパン」です。三角形のフォルムは、おにぎりを思わせる親しみやすさがあり、具材を選ぶ楽しさを直感的に伝えます。明太子やきんぴら、ツナマヨなどの具材との相性を考え、米粉ならではの主食感を生かしました。
「パンでありながら、きちんと食事として満足できるものができました」と大舘さん。グルテンフリーが代替としてではなく、積極的に選ばれる商品づくりが評価され、店頭では子どもが楽しそうに商品を選ぶ姿も見られたといいます。

一方、商品開発の拠点となったIYOTOは、惜しまれつつ閉店の節目を迎える形ですが、大舘さんは前を向きます。「今回得た技術や商品は、ここで終わりにするつもりはありません」。冷凍商品の通販として展開しながら、米粉パンの魅力を届け続けています。
今後は、新たな製造体制や新店舗出店も視野に入れ、米粉を軸とした商品開発を継続していく考えです。今回の米粉商品開発等支援対策事業で培った技術と経験は大きな財産となり、グルテンフリー市場における選択肢の拡大へとつながっていくことでしょう。
※本記事は2026年1月時点の情報です