
富山県産の米粉や麹、海洋深層水塩など地元の食材にこだわってつくられた4種のバウムクーヘンは、白、赤、緑と色彩豊かで見た目にも楽しいと評判の逸品です。平安時代の様式美を取り入れた「香」「今様」「木賊」は、色目だけでなく味や食感、香り、食べた後の余韻も異なり、食べ比べる喜びも提供してくれます。生産者が商品に込めた思いは、商品を通じて人と人、地域とのつながりが生まれ、喜びの輪を広げてくれるきっかけになることです。
バウムクーヘン
香ソフト(塩と甘麹)1,600円(税込) /ホール、250円(税込)/1カット
香ハード(塩と甘麹)1,700円(税込) /ホール、270円(税込)/1カット
今様(いちごと梅)1,750円(税込) /ホール、280円(税込)/1カット
木賊(抹茶とミルク) 1,850円(税込)/ホール、300円(税込)/1カット
チーズインバウム 400円(税込)/1個※店頭販売限定
・自社ECサイト
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・わの色がさね
富山県高岡市下黒田1686-2高岡イオン前S1テナント1F
Tel. 0766-54-7481

2025年5月、長年米菓子業界に携わってきたオーナーが富山県高岡市にバウムクーヘン専門店「わの色がさね」をオープンさせました。北陸新幹線新高岡駅や北陸最大級の大型ショッピングモールが近隣という好立地で営業する店内では、色華やかなバウムクーヘンがお客様を出迎えてくれます。富山県産の素材にこだわって生み出されたバウムクーヘンへの思いを、オーナーの楠芳春さんに聞きました。
楠さんは富山県高岡市出身ですが、小学生以降は関西で過ごしました。社会人となってから約20年間、京都の米菓メーカーで複数店舗の運営に携わりました。2023年に富山へ戻った楠さんは、米菓業界での経験を活かし、富山県産米粉を使ったスイーツ店の開業を目指しました。商品は和洋を問わずギフト需要を意識して検討していたといいます。
「毎年専門の博覧会が開催されるほど注目され、和菓子に比べて日持ちするバウムクーヘンの専門店に決めました」と楠さんは振り返ります。楠さんは米菓業界での経験は豊富ながら、製造に携わっていたわけではないので、レシピが豊富で短期集中で製造技術を習得できる点もバウムクーヘンに決めた理由と話します。何より米粉と相性の良いスイーツなので、富山県産の米粉を利用できることが大きな決め手だったそうです。

オープン8ヶ月前にバウムクーヘンに決めてから、商品づくりのスタートです。楠さんは「米という食材に可能性を感じつつも、煎餅などの従来の米菓は茶や白などの色味が多く、若者世代や観光客からは地味な印象を持たれがちであると、以前から感じていました。そこで日本古来の色彩様式『かさねの色目』をコンセプトに取り入れ、日本らしい優しい色合いを表現して季節感を演出することで、幅広い層にアピールできると考えました」と語ります。

そうして生まれたのが「香ソフト」「香ハード」「今様」「木賊」の4種のバウムクーヘンです。「かさねの色目」とは、平安時代の貴族の装束に用いられた季節や情景を表す色彩様式のことで、十二単のように重ねた衣服の端々から見える何層もの配色が、日本の四季の移ろいや美意識を反映しているとされています。和の様式美を取り入れることで、バウムクーヘンには珍しい華やかな色合いによる差別化を図ったといいます。
さらに「かさね(重ね)」は色目だけではありません。バター生地にそれぞれのバウムクーヘンに調和する蜜を2層に重ねてコーティングしている点も「わの色がさね」の大きな特徴です。
開発は、素材と色目の選定を同時進行で進め「富山の文化や美味しい食材を活用することを重視しました」と楠さんは商品づくりについて話します。生地には富山県産の米粉を使用し、きめ細かくしっとりした食感と優しい甘みを感じられる仕上がりに。
「香」は通年利用できるベーシックなバウムクーヘンを意識して、富山に根付く発酵食文化が育んできた甘麹と富山湾の海洋深層水から採れる塩による2種類の蜜を使用。海洋深層水塩が深い甘みを生み出す「香」は富山尽くしの商品で、一番の売れ筋だといいます。
「香」にはソフトとハードの2種類が用意され、ハードは生地の外皮がサクサク食感で、中身は米粉ならではのもっちり感を実現し、噛むほどにバターや麹の香りを感じられるのが特徴。ソフトと同じ甘麹と塩の蜜で仕上げていても、まったく違う楽しみ方ができるので、贈答品や日々の手土産など使い分けてほしいと楠さんは話します。
「今様」は、贈答品を意識して「香」と紅白セットになるような色目に。「とちあいか」のいちご蜜の甘さを梅・赤紫蘇蜜の酸味が引き立てる効果を生み、さわやかな余韻を感じられるのが評判だといいます。
インバウンド需要も意識した「木賊」には、楠さんが京都で長年過ごして親しんだ宇治抹茶を使用し、ミルク蜜との2層構造により、ミルクが抹茶の渋みをやわらげ、まろやかな味を楽しめます。
こうしてすでに好評を得ているバウムクーヘンのラインアップですが、米粉ならではの苦労や最大の特徴である蜜の完成までには、今回の支援事業で導入した機材を駆使しながら試行錯誤を重ねたと楠さんは振り返ります。「米粉なのでパサつき感がどうしても出てしまいます。そこで空気量や水分、卵白の割合などの調合を繰り返しました。また、蜜を2層構造にしたのは夏場でも常温で持ち運べるようにするためですが、蜜の素材同士の良いバランスを見つけるのにとても苦労しました」


「香ソフト」「香ハード」「今様」「木賊」4種のほかにも、ギフト需要が少ない時期に来店を呼び込む一品として、バウムクーヘンの輪の中にチーズを詰めた「チーズインバウム」や季節限定の商品など、お客様に常に楽しんでもらえる商品づくりが心掛けられています。こうした商品づくりのアイデアは、製造技術を教わったパティシエとの確かなつながりがもたらしたものと楠さんは話します。
人とのつながり、富山産の素材を活かすことでの地域とのつながりで生み出されるバウムクーヘンに込めた楠さんの思いは、屋号の「わの色がさね」に表れています。あえて平仮名の「わ」にしたのは、商品コンセプトの「和」はもちろん、人と人、地域との「縁(円)」を結ぶ、喜びの「輪」を広げるという意味も込めているからだといいます。
今後も四季のさまざまな色目にちなんだ季節限定商品を一層充実させ、富山県内で店舗拡大を目指していくという楠さんの目には、多くの人たちの笑顔が見えていることでしょう。
※本記事は2026年1月時点の情報です