米粉で実現した新食感、もつ鍋専門店が贈る名物「冷手羽」

米粉で実現した新食感、もつ鍋専門店が贈る名物「冷手羽」

博多もつ鍋でんは、本場・南福岡のもつ鍋専門店です。店主の陸守翔さんは、和食、居酒屋、もつ鍋で経験を積んだ料理人。もつ鍋をメインに、単品料理も幅広く提供し、タレやドレッシングに至るまで、全ての料理を手づくりにこだわっています。開業から11年目を迎えた今、新たな商品開発に挑みました。

冷やして食べる唐揚げの課題、米粉で解決

着目したのは、近年、福岡土産として浸透してきた「冷手羽」です。店では一品料理として手羽先の甘辛揚げを提供し、人気を博してきましたが、そのレシピとは切り離し、冷やして食べることを前提にしたテイクアウト専用の冷凍商品という、新しいジャンルへの挑戦となりました。

「店で出している手羽先の甘唐揚げは衣に小麦粉を使っていますが、冷やすと油で食感がもたつく印象がありました。冷やして食べる商品だからこそ、小麦粉と比べて油の吸収率が低い米粉を使うことで食感が改善できるのではないかと考えました」と陸守さんは語ります。

冷やして食べる唐揚げの課題、米粉で解決

この仮説を検証すべく「冷手羽」の商品開発に着手。イメージしたのは、解凍後も表面がサクサクと軽く、秘伝の甘辛タレの旨みが口の中にじゅわっと広がる冷手羽でした。それを実現するために、試行錯誤を重ねることになりました。

パリッと軽く旨み広がる、理想の食感を求めて

パリッと軽く旨み広がる、理想の食感を求めて

「17年間、料理人をしてきましたが、実は米粉を本格的に使うのは今回が初めて」という陸守さん。その背中を押したのは、米粉商品開発等支援対策事業による支援。商品開発に補助金を活用しました。

米粉は卸の取引先から数種類を取り寄せて試した結果、冷手羽の衣には粗いものよりも細かく挽いた米粉が合うと判断。しかし、冷手羽は普段調理している唐揚げとは製法が異なるため、揚げる温度、時間、衣を付ける量のバランスを見極めるまでには時間を要しました。

特に苦労したのは、解凍後の食味を確認する作業です。試作品を揚げた後、丸一日かけて完全に冷凍し、解凍した状態で試食する必要があったため、すぐに味見ができません。毎日、試作と試食を重ねて、半月ほどの期間を要して理想の揚げ具合を見出すことができました。通常の唐揚げの温度である180℃より高温ですが200℃よりは低い、同店のレシピに合わせた最適な温度が採用されています。

食感の決め手になるのが米粉であれば、味の要となるのは冷手羽用にレシピ開発した秘伝の甘辛ダレです。味が絡んだ揚げたてを、真空パックに詰めて急速冷凍することで、旨みを閉じ込めました。
「結果として、米粉が秘伝の甘辛ダレの旨みを引き立ててくれることがわかりました」と陸守さん。冷手羽レシピ・製造工程を確立するとともに、米粉の特性に新たな可能性も見出しました。

高評価を得た新商品、健康志向にも可能性

博多もつ鍋でんの新商品、衣に米粉を使ったテイクアウト用の冷手羽は、店のアルバイトスタッフ、常連客、そして辛口で知られる食通の友人からも高い評価が得られました。

「試食した人たちから、開口一番にタレがおいしいとコメントをいただきました。それも米粉は吸油率の低いぶんタレの味に影響しないからだと思います。冷やして食べても衣がもたつく感じがなく、揚げたてのサクッとした食感を保つことにも米粉が貢献しています」と陸守さん。秘伝の甘辛ダレは、子どもにも好まれる味に仕上げ、実際に食べた子どもにも好評だったことから、おやつやお弁当のおかずなどへの活用も期待されます。

高評価を得た新商品、健康志向にも可能性

今回の事業で、冷手羽を真空パックするパッケージもオリジナルで製作しました。博多もつ鍋でんの冷手羽は、店でお持ち帰りやフードデリバリーで販売し、今後はECサイトの開設も予定。まずは店頭ポスターでのPRを開始しました。

「米粉はグルテンフリーであったり、小麦粉よりもアミノ酸スコアが高いことも学び、良い食材だなと感じました。米粉の用途を探って、店の既存メニューだけでなく、また新たな商品開発にもチャレンジしたい」と陸守さん。米粉を知ったことで、レシピや商品開発のさらなる可能性の広がりに手応えを感じたようです。

経験豊富な料理人、陸守さんにとっても新しい食材への挑戦は発見の連続でした。もつ鍋専門店が生み出した米粉の冷手羽は、博多の新たな名物として、これから多くの人々に愛される一品となるでしょう。

※本記事は2026年1月時点の情報です