
パティシエ・辻口博啓氏が手がけるモンサンクレールから、米粉を使ったスフレショコラが登場。米粉をショコラやメレンゲに合わせ、軽やかな食感と口どけを実現しました。小麦粉不使用のグルテンフリー。しっとりやさしい味わい。ベリーやコンフィチュールとも好相性です。
2,600円(税込)/3号サイズ(直径9cm)
※商品・価格・容量は今後の改良や販売形態により変更の可能性あり
・モンサンクレール
東京都目黒区自由が丘2-22-4
Tel.03-3718-5200
・自社ECサイト(店頭受取)
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東京・自由が丘に本店を構える株式会社モンサンクレールは、日本のパティスリー文化を象徴する存在のひとつです。その中心に立つ 辻口博啓シェフは、素材の可能性を見極め、それを菓子という表現へと昇華させてきました。
辻口シェフが米粉の可能性に着目したのは、今から20年以上前にさかのぼります。当時、洋菓子業界で米粉を本格的に活用するという発想はほとんどありませんでした。しかし、和菓子の文化に親しんで育った経験から、米粉のきめ細やかさやしっとりとした質感は洋菓子にも応用できるのではないかと考えていたといいます。
その思いのもと、製粉会社と協力し、洋菓子用途を前提とした米粉の開発にも関わりました。こうして誕生した「リ・ファリーヌ」は、洋菓子分野での米粉活用を切り拓く存在となり、スポンジやシフォンなど多様な製品に広がっていきました。

モンサンクレールでは、米粉を用いたダックワーズを限定商品として展開しながらも好評を博し、米粉が単なる代替ではなく、独自の表現力を持つ素材であることを示してきました。
「米粉は“小麦の代替”という枠を超え、食品安全や健康、さらには持続可能な社会を支える重要な素材だと考えています」と辻口シェフは語ります。
健康志向やグルテンフリーへの関心が高まるなか、モンサンクレールは米粉商品開発等支援対策事業を活用し、ダックワーズで培った知見を基盤に、新たな米粉商品の開発と安定供給体制の構築に着手しました。その第一弾が、「スフレショコラ・リファリーヌ」です。

新商品「スフレショコラ・リファリーヌ」は、ショコラスイーツの需要が高まるバレンタインやホワイトデーを見据えて開発されました。出発点は、米粉の特性を最大限に引き出すことでした。
米粉は吸油率が低く、油脂分を多く含む配合でも重さが残りにくいという特性を持ちます。そのため、ショコラのコクを保ちながら、後味を軽やかに整えることが可能です。
「後味が軽くなることでカカオの風味がより際立ちます」と辻口シェフ。軽やかさと濃厚さという、一見相反する要素。その両立を可能にしたのが米粉でした。
その一方で、米粉は小麦粉と比べて吸水率や焼成時の状態が大きく異なります。特に気温や湿度によって生地の状態が変わりやすく、狙った食感を安定して出すことは容易ではありません。米粉をショコラやメレンゲと“ざっくり合わせる”という工程も、単純な混合ではありません。混ぜすぎれば軽さが損なわれ、混ぜ足りなければ一体感が出ない。試作を重ねながら、配合や工程を細部まで調整していきました。
「米粉はグルテンがないため、ふっくら浮かせるのが難しい食材です」と辻口シェフも認めます。この課題は米粉ダックワーズでも直面してきたもので、経験値を積み重ねながらも、再現性の確保という壁は残っていました。
そこで本事業では、焼成環境そのものを見直しました。気密性の高いスチームコンベクションオーブンを導入し、庫内の温度と湿度を精密に制御することで、気泡の保持と焼成の均一化を実現。ふくらみの再現性を高めました。
さらに、ブラストチラーや急速冷凍設備を整備し、冷却工程の精度を強化。焼成後の品質変動を抑え、安定供給を可能にする体制を整えました。設備導入は単なる効率化ではありません。米粉を安定的に扱うための「製造基盤」の構築です。全スタッフが新たな工程を共有し、試作段階から検証を重ねることで、品質のばらつきを抑制。通年で安定して供給できる体制を確立しました。
こうして誕生したスフレショコラは、軽やかさと完成度を両立させた一品となりました。そしてこの土台こそが、次なる米粉菓子の展開へとつながっていきます。
今回の取り組みは、一過性の商品開発ではありません。米粉を活用した商品の幅を広げ、継続的に提供していくための体制づくりです。ギフトなどの用途や食シーンの異なる商品へと展開していく、その第一歩にスフレショコラは位置づけられます。
今後は、百貨店催事や法人ギフト、自社ECサイトなど複数の販売チャネルを通じ、米粉スイーツを既存ラインアップに組み込み、通年での安定販売を目指します。

「米粉は国産素材としての安心感があり、食感や風味の表現幅も広い。洋菓子分野でも大きな可能性を持つ素材です。また、米粉は日本人のDNAに欠かせない食材であり、日本から世界に向けて発信できる重要な素材だと考えています」と辻口シェフは語ります。
アレルゲン対応やグルテンフリーといった観点からも、米粉の需要は今後さらに高まることが予想されます。同社では、今後5年で米粉使用量を現在の約2.5倍へと段階的に拡大する計画です。
パティシエたちの現場での試行錯誤と、設備による再現性の確立。その両輪が整ったことで、米粉は“挑戦的な素材”から“継続的な柱”へと位置づけ直されました。米粉を活かした新たな洋菓子の展開が、これから本格化していきます。
※本記事は2026年2月時点の情報です