
保育園や学校などの給食向けに開発された、小麦粉を使用しない米粉ロールパン。お米本来の風味ともちもち食感が特長で、形がよくボリューム感も備えています。小麦アレルギーに配慮した設計で、配合と製法の工夫により、製造日から2~3日後もしっとり感を持続。1食分の個包装で衛生的に配膳でき、現場の負担軽減にも貢献します。
108円(税込)/1個入
・神戸ドンバル 千葉工場 (業務用)
千葉県千葉市花見川区犢橋町369-1
・千葉工場 無人ロッカー販売機(小売)
※試験販売中につき商品を用意できない場合があります。

株式会社神戸ドンバルは、病院や老人ホーム、幼稚園、保育園、学校などへ、主に給食向けのパンを製造・配送してきた企業です。本社を大阪府泉佐野市に置き、製造拠点は千葉工場。関東圏を中心に事業を展開し、製造から配送までを自社で一気通貫して担う体制を強みとしています。取締役の宇野大さんは、給食の現場と向き合う中で、ある課題を強く感じていました。それは「小麦アレルギーへの対応」です。
「幼稚園や保育園では、小麦アレルギーの子どもが1人でもいれば、その子だけ別メニューを用意しなければなりません。みんなと同じものを食べたくても、食べられないのです」と宇野さんは話します。小麦粉を使用しないパンへのニーズは年々高まっています。
一方、病院や介護施設の食事においては、嚥下のしやすさも重要です。従来のパンは入院患者や高齢者にとって飲み込みづらい場合があり、現場で扱いづらいこともありました。食べる楽しみを損なわないパンを届けたい。そうした思いから、同社は小麦粉を使わない米粉ロールパンの開発に踏み出します。
神戸ドンバルではこれまでにも米粉入りパンの製造経験はありましたが、小麦粉を使用せずにつくるのは初めての挑戦です。
「小麦粉を使わない米粉パンは、液体状の生地を型に流して焼き上げる方法が一般的です。しかし私たちが目指したのは成形できる生地でした」と宇野さん。お米の風味ともちもち食感を生かし、給食で扱いやすく、十分なボリューム感を備えたパンの開発が始まりました。
米粉ロールパンの開発で最も苦労したのは、生地づくりと品質保持でした。米粉にはグルテンがないため、生地がまとまりにくく、さらに時間の経過とともに硬くなりやすい性質があります。給食では製造日に発送し、翌日や翌々日に提供されることが一般的です。そのため、最低でも2~3日間はしっとり感を保つことが不可欠でした。
宇野さんらは外部の専門家から家庭用米粉パンの製法を学び、配合や工程を徹底的に見直します。生地を流し込むのではなく、塊として成立させたことが、最初の大きな突破口となりました。

次に立ちはだかったのが量産化への壁です。米粉生地は機械に通すと損傷しやすく、切れやすい性質があります。そこで米粉商品開発等支援対策事業を活用し、クロスモルダーを導入しました。従来は1度のローラーがけで生地を伸ばしていましたが、2段階でゆるやかに伸ばすことで負荷を分散し、弱い米粉生地でも安定した成形が可能になりました。
さらに、ボックスリフトやラックアンローダーを導入し、将来的な大量生産を見据えた設備体制を整備しました。加えて1個包装機を導入したことで、1食分ずつ個包装された状態で出荷できるようになりました。従来は6個入り袋で納品し、給食現場で1個ずつ取り分けていましたが、個包装にすることでトングを使わずに配膳でき、衛生性が向上。あわせて現場の負担軽減にもつながります。

こうして完成した米粉ロールパンは、社内の試食で高い評価を得ています。「おいしい」「想像以上にもちもちしている」といった声が寄せられました。現在は工場にロッカー式販売機を設置し、関係者や近隣向けの販売も始めました。
まず取り組むのは、既存の取引先である幼稚園や保育園への提案です。小麦アレルギーなどの理由で通常のパンが食べられず、自宅から弁当を持参している園児に向けて、米粉ロールパンの提供を進めたいと考えています。
さらに注力したい分野が高齢者施設です。「パンは手に持って口に運べるので、できるだけ介助に頼らずに自分で食べられれば、食事の楽しみにもつながるのでは」と宇野さん。グルテンを含まない米粉パンは一般的に消化がよいといわれており、高齢者の健康と食の豊かさを支える一助になればと考えています。
商品バリエーションの拡充にも取り組み始め、試作段階としてミニサイズの食パンなども検討。さらに、ジャムやあんこなどのフィリングを挟めるコッペパンのような商品も構想しています。あらかじめ具材を挟んで提供できれば、食べやすさの向上にも寄与します。
今後、海外からの需要増加も視野に入れ、コンタミネーションを防ぐ生産体制の確立や、将来的には専用工場の整備も検討しています。体制が整えば、ホテルや外食産業など、グルテンフリーを求める市場への展開も期待できます。
自社生産から配送までを一気通貫で行えるのは同社の強み。量産化によってより多くの人に、米粉パンを届けられる体制を強化していきます。米粉ロールパンは、運送を祖業とする神戸ドンバルにとって、「届ける」という原点を次世代へ継承する挑戦でもあります。

※本記事は2026年2月時点の情報です