
松江市の教育委員会から学校給食用の焼き菓子の提供依頼を受けて開発した米粉クッキー。提供の翌日からのたくさんの反響を受けて市販化を決断しました。米粉の原料は島根県産「きぬむすめ」。副原料としてアーモンドパウダーを入れることで香ばしく、上質な白ごま油を入れることで生地がまとまり、サクサク感があるクッキーができあがりました。小中学校で提供した「プレーン」味に加え、「きなこ」と「チョコ」味もラインアップ。
プレーン/きなこ/チョコ 各600円(税別)/7粒入り
・自社ECサイト ※2026年3月頃販売開始予定
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・クロード洋菓子店
島根県松江市上乃木7-10-6
Tel.0852-26-7540

1979年から島根県松江市で洋菓子店を営んでいる有限会社松江クロードでは、地元のお客様の記念日や贈答シーンを中心に、季節ごとに手づくりケーキや焼き菓子を提供しています。今回、松江市の教育委員会から学校給食用の焼き菓子の提供依頼があり、米粉クッキーに初挑戦。子どもたちやその家族から大きな反響を受け、一般販売をスタートすることにしました。これまでの経緯とこれからの挑戦について、同社専務取締役の石川理早さんにお聞きしました。
「NHKの朝の連続テレビ小説『ばけばけ』にちなんで、小泉八雲や怪談をモチーフとしたお菓子を開発・販売したところ、松江市の教育委員会から学校給食用に焼き菓子の提供依頼がありました」と石川さん。子どもたちみんなが食べられるように、小麦粉・鶏卵・乳製品を使わないクッキーの製造をお願いされたそうです。
石川さんは「これまでは『おいしいバターや小麦粉を使うから、おいしいクッキーができる』という固定概念があり、卵・小麦・乳製品を使わなければ、おいしいお菓子はできないと思い続けていました」と当時を振り返ります。

案の定、はじめは小麦粉をすべて米粉に置き換えただけでつくってしまい、カチコチで歯が立たないような硬いクッキーができてしまったそうです。
「そこで、今回使用する米粉の販売元の社長さんからアドバイスをいただきながら、試作を重ねました。従来の小麦粉の焼き菓子と比較すると、クッキーやビスケットなどサクサク感が求められるものはホロホロと壊れやすい傾向があります。また、口どけが悪いという指摘もあります。今回、当社で開発したレシピでは、油脂や副原料の配合を工夫したことで、従来の小麦粉原料のクッキーと遜色のないサクサク感と香ばしさを出すことができました」

米粉の原料は島根県産「きぬむすめ」を使用。日本酒にも使う湧き水を使った二重浸透ブレンド製法と杵つき製法を掛け合わせることで、保水性の高い、口当たりの良いしっとりとした米粉に仕上げられています。
また、副原料としてアーモンドパウダーを入れることで香ばしく、上質な白ごま油を入れることで生地がまとまり、サクサク感があるクッキーができあがりました。
開発には2カ月かかりましたが、社員のモチベーションはとても高かったそうです。
「給食の時間に子どもたちが笑顔で米粉クッキーを食べている姿が想像できたからこそ、ギブアップせず、試作を重ねることができました」と石川さん。地元の13,000人の子どもたちにおいしいクッキーを届けたいという思いが、開発を加速させました。
学校給食として提供するためには、製造場所のアレルゲン対策の清掃や公的な検査も必要です。これも初めての経験ですが、社員の努力で基準をクリアすることができました。
そして完成した米粉クッキーを学校給食として提供したところ、翌日からたくさんの反響をいただいたそうです。
「子どもたちから『めっちゃうまい!』と大好評で、家でも食べたいからと親を連れて買いに来てくれる子もいます。それが一時的ではなく、今もずっと続いていて、先日もお孫さんから話を聞いたおじいちゃんおばあちゃんが買いに来てくださいました」
Instagramにも、先生や保護者から感謝のメッセージが数多く届き、その大きな反響に感動したそうです。
「アレルギーによる食制限などのためにみんなと同じお菓子が食べられなかった子が、友だちや家族と一緒に同じお菓子を食べて同じ時間を過ごせることの幸せを目の当たりにして、当社の新たな商品カテゴリとして、地元島根県産の米粉を使用したグルテンフリーの焼き菓子を販売することにしました」と石川さんは市販化の決断を語ります。
市販にあたり、小中学校で提供した「プレーン」味に加え、「チョコ」と「きなこ」味も開発しました。
「今後も小麦粉・鶏卵・乳製品を使わずに味のバリエーションを増やしていきたいと考えています」と石川さん。
量産化にあたり、米粉商品開発等支援対策事業を活用し新たに包装機を導入しました。
「小麦粉・鶏卵・乳製品を扱う従来商品とはラインを分けるため、新たな包装機を導入しました。今後も製造現場におけるグルテンフリーへの対応を進めていきたいと考えています」(石川さん)


また、米粉を主原料としたグルテンフリー菓子として新たなブランド展開を行うために、当事業を活用してロゴやパッケージデザイン、動画の制作なども行いました。
「ブランド名を『やさしいおやつ』と名づけて、米粉菓子をシリーズ化していければと考えています。新しいブランドのロゴとパッケージデザインは、島根県産の良い米と学校給食でみんなが食べたおやつというストーリーを意識して作成しています。社員の子どもたちが参加した動画も制作中で、今後、Instagramや売り場で流して『やさしいおやつ』をPRしていく予定です」(石川さん)
今後は米粉クレープや米粉シフォンケーキなどを開発していきたいとのこと。将来的には「やさしいおやつ」シリーズで同社の売上構成比率25%程度を目指していくそうです。
「今は、松江市周辺での販売が中心ですが、だれもが一緒に食べられる『やさしいおやつ』を待っている人は日本中にいます。日本中に『やさしいおやつ』をお届けするのが、わたしたちの目標です!」と、石川さんは目を輝かせて語ってくださいました。
※本記事は2026年1月時点の情報です